テレワークを成功に導く7つのアクション~605社の支援で見出した再現可能な方法~
【プロフィール】
株式会社クロスリバー 社長
株式会社キャスター Caster Anywhere事業責任者
越川 慎司
- チームA……上司と部下が2週間に1回15分以上の対話を行い、心理的安全性が確保されたチーム
- チームB……コミュニケーションがうまく取れていないと思っている人が6割以上いるチーム
チームAはBよりも会議時間が24%少ない。1人当たりの研修期間が12%多いにもかかわらず、総労働時間が13%少ない。また、チーム目標が達成しやすい(およそ50%達成できた)。
一方でチームBは、Aよりも資料作成時間が25%長く、病休・精神疾患が31%多く、離職率が18%高い。
チーム内の心理的安全性が確保されていないと、精神疾患や離職率にも影響してきます。しかし、心理的安全性が確保されていれば、テレワークの有無にかかわらず組織はうまくいきます。こういったソフト面がとても重要になります。
● 予定表とプレゼンスの共有
カレンダーは必ず公開してください。また、チャットなどの「プレゼンス機能」でオンライン・オフラインを共有しましょう。
テレワーク中に中抜けをしてお子さんを迎えに行ったり、昼食を食べに行ったりするのは悪い事ではありません。それをカレンダーに入れて共有しておくことで不要な疑いがなくなるため、カレンダーとプレゼンスは必ず共有しましょう。
● フィードフォワードの徹底
作成している資料や納品物、デザインや図面でも、完成度20%のところで1度フィードバックをもらってください。
「こんな感じで作っていますが大丈夫ですか?」と聞くことで、無駄な差し戻しがなくなります。このフィードフォワードを85社で徹底したところ、差し戻しが76%減ったという結果が出ました。
● 資料はクラウドに保存し共有
資料の保存先を、相手から見えない「マイドキュメント」にするのはやめましょう。個人の物でもクラウド上に全て共有することで、相手にもすぐ共有できるうえに検索時間は1/5に削減できます。
また、パワーポイントで保存したものをクラウドに共有する設定にしておけば、万が一パソコンのクラッシュや停電が起きてもデータを失いません。必要があればパスワードやロックをかけるなどして対応しましょう。
● 個別チャットを避け、グループチャットへ
チャットの導入率は約4割に増えていますが、個別チャットはNGです。人事の情報や秘匿性の高いもの以外はグループチャットを活用しましょう。
グループチャットの中で「@」をつけて相手を指定し、会話しましょう。「AさんとBさんが今こういう会話をしているんだな」というのを見せておかないと、「サボっているんじゃないか」、「こそこそ話をしているんじゃないか」、「私の悪口を言っているんじゃないか」という不要な疑惑が出てきてしまいます。
日本人は特に見えないものに対して不安や疑いを持ってしまいがちですので、できるだけグループチャットの中で会話をしましょう。
情報共有と同じく重要なのが感情共有です。オンライン会議でいい意見が出たら「いいね!」や「ハートマーク」ボタン、「88888(拍手)」などで感情を共有し、承認してあげるようにしましょう。すると「自分の考えを出していいんだ」という雰囲気をつくり、心理的安全性の確保につながります。
また、オンライン会議では、最初の2分だけ仕事とは関係のない雑談をすることをオススメします。雑談は、「参加者の会話から共通点を探す」というコミュニケーションテクニックです。
雑談をすることで共通項目が見つかり、話を広げることで相手の価値観が分かり、さらに価値観を共有することでチームワークが生まれます。これが心理的安全性の組み立て方です。
テレワークで生産性を下げる要因となるのが、「孤立化」の問題です。特に管理職やチームリーダーの方は、孤立化させないためにはどうしたらいいか、頭の中に入れておきましょう。例えば「最近どう?」と曖昧な質問を投げかけることは、相手からすると「自分に対する興味や関心を感じていない」、「自分は役に立ってない」と感じ、相手のモチベーションを下げてしまいます。
「忙しそうだけども、ちゃんと寝てる?」、「明日一緒に発表する会議の資料、どんな進捗具合?」というように、具体的に言語化することがテレワークでは重要です。
実は、テレワークが成功しているチームにおいて一番多い声かけは、「今ちょっといいですか?」なのです。これが言えるチームは、心理的安全性が確保できています。上司や先輩は、後輩が「今ちょっといいですか」と聞くことができる空気をしっかり作っておく必要があります。
オンライン会議の際は、「姿勢」、「口角を上げること」、「顎をしっかり引くこと」の3つがポイントです。目を合わせて喋ると相手に伝わりやすいので、オンライン営業であれば8割以上目を上げるように心がけましょう。相手と目をあわせて伝えると情報伝達率が約2倍になります。
また、特に40代以上の男性は口角を上げ、顎をしっかり引くことを意識しましょう。ビデオがオンになっている時は、大きくうなずきながら聞くことで、話す人が「自分の話を聞いてくれている」と感じます。相手の発言を促すためには口角を上げて、アイディアを出すことができる空気を作って下さい。
テレワークによって、世の中の労働時間が18%増えています。そして残念なことに、エース級の能力のある人に仕事がどんどん寄り、長時間労働の結果辞めてしまうという状況があるのです。業務をエース級に偏らせないために、時間管理を徹底しましょう。
1回15分、何に時間を費やしたか実際に振り返りましょう。どんなことに時間を使っているのかを16万人を対象に調べたところ、1位は社内会議(43%)、2位は資料作成(14%)、3位はメール(11%)という結果になりました。そして、この上位3位は、9割の会社で一緒でした。
例えば「会議のための会議」をなくす、凝ったパワーポイントを作らない、メールではなくオンラインでコミュニケーションをとることで無駄な時間を省いていきましょう。
- 労務・制度 更新日:2020/11/12
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