経営と人材をつなげるビジネスメディア

MENU CLOSE
1 s07_20240425124332 column_saiyo c_keikakuc_kouhouc_shinsotsusaiyoauthor_kawamoto

インターンシップに選考を課すべきパターン3選&オープンカンパニーの選考はどうする?

/news/news_file/file/thumbnail_s-column-222.webp 1
インターンシップの参加率は年々上がっていて、今や学生にとっては参加するのが当たり前のイベントになりつつあります。

インターンシップ・仕事体験参加状況 ※10/5~10/14調査時点まで

出典:2025年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査~中間総括~

そうしたインターンシップ人気の傾向と、三省合意の改正によるインターンシップの定義の明確化も影響し、近年ではインターンシップの参加に選考を課す企業が徐々に増加。最新の調査によると2割程度の企業が実施しているようです。

インターンシップ・仕事体験の選考の割合

(n=1,467)
出典:2024年卒企業新卒内定状況調査
シーズアンドグロース株式会社の代表・河本英之さんは、インターンシップ選考を課して参加学生を選ぶことができる人気企業と、それ以外とで二分化されつつあると分析しています。

インターンシップに選考は課すべきなのでしょうか。課すべきパターン、課さない方が良いパターンそれぞれについて、詳しく伺いました。

インターンシップの選考を「行うべき」3つのパターン

— 今日はよろしくお願いします。インターンシップの参加に選考を課す企業が増えているようですが、その状況をどのように分析されますか?


河本さん: はい。1つには三省合意の改正による影響があるでしょう。
採用と大学教育の未来に関する産学協議会(2022年8月)
「産学で変えるこれからのインターンシップ —学生のキャリア形成支援活動の推進—」をもとにサポネット編集部にて作成
河本さん: 現在、正式に「インターンシップ」の名称を使えるのは、上図でいうと「タイプ3」と「タイプ4」だけです。どちらも就業体験などを必須としており、5日間以上の期間が必要とされています。

この条件を満たすとなれば現場の負担は大きく、以前のように「来る者拒まず」で多くの学生を受け入れることは困難ですから、選考を課して少人数を受け入れる体制を敷いている企業が増えています。

— インターンシップに選考を課すべきなのは、どのような場合だと思いますか?


河本さん: インターンシップに選考を課すべきパターンは3つです。

インターンシップに選考を課すべきパターン1:有名企業・人気企業


河本さん: 1つ目は、そもそもインターンシップの希望者が多すぎて現実的に受け入れ不可能という場合です。
有名企業や、人気のインターンシップコンテンツを持っている企業では、受け入れ枠の何十倍もの学生が参加を希望することが普通にありますが、三省合意改正後のインターンシップでその人数を受け入れることは現実的に不可能なので、選考を行って人数を絞ります。
選考の難易度はさまざまで、先着順・エントリーシートのみ・エントリーシートと面接のみ・本選考とほぼ同様など、どのような学生を集めたいかという目的に応じていくつかのパターンが考えられます。

インターンシップに選考を課すべきパターン2:質の高い選考母集団を形成したい場合


河本さん: もう1つが、優秀な学生だけをインターンシップに招いて質の高い就業体験を提供し、強力に入社の動機付けをしたいという場合です。
改正された三省合意に即したインターンシップで得られた個人情報は採用活動に使えますので、この方法を取ることで非常に質の高い母集団形成を行うことができます。
インターンシップにかかるコストが上がった分、その成果を確実に得たいという企業側の思惑から、よく取られる方法です。

ただし、基礎的な企業の知名度、人気度は必要となります。
まったく知らない、志望動機もない企業のインターンシップに参加するために選考を受けるのは、時間的コストがかかる印象から学生に避けられてしまい、結果として選考が機能しないという本末転倒な状況にもなり得ます。

インターンシップに選考を課すべきパターン3:選考そのものを参加の動機とする場合


河本さん: 最後に、知名度のない企業でもインターンシップによって学生との早期接触を図りたいという場合、あえて選考を課すことで参加者を集めるという方法があります。方向性は以下の2つです。

選考によって学生の質をそろえ、高品質なインターンシップ体験を提供する方法

インターンシップが乱立した結果、質の低い体験しか得られないものも存在するため、そこに不満や不安を持った学生を対象とします。
一定レベル以上の学生だけを集めて質の高い体験を提供することを広報することで、インターンシップによる成長体験を強く希望する学生が集まることが期待できます。

インターンシップの選考にフィードバックを行うことを約束する方法

「エントリーシートや面接の練習として受けに来てください」と広報し、実際に選考を課した上で、合否だけでなく、エントリーシートと面接の受け答えにフィードバックを行います。
これは多くの学生にとって十分なインターンシップ参加のインセンティブとなるため、の方向性よりも高い効果を期待できるかもしれません。

インターンシップの選考を「行うべきではない」2つのパターン

— 一口にインターンシップの選考といっても、いろいろな方法がありますね。逆に、選考を「しない」という選択をとる理由はありますか?


河本さん: はい。インターンシップに選考を課すべきでないパターンが2つあります。

インターンシップに選考を課すべきではないパターン1:前年度の振り返りができていない場合


河本さん: 前年度の振り返りから、年度ごとに採用ターゲットの見直しをしている企業の場合、夏インターンシップの選考は前年度の選考が終わる前に実施する必要があるため、そもそも選考をするだけの要件が定まっていないということがあります。
その場合には厳密な選考ではなく、学部学科、専攻分野、希望職種などざっくりと分けて抽選や先着順などでインターンシップ参加者をスクリーニングし、インターンシップ実施時にもグループ分けをして、体験の質が落ちないよう工夫しながら対応する方がいいかもしれません。

インターンシップに選考を課すべきではないパターン2:企業・インターンシップの人気度に自信がない場合


河本さん: もう1つは、選考を課したところで学生が集まらないのではないか……と不安が残る企業です。
先ほどもお伝えしたように、選考そのものをインターンシップの魅力として打ち出す方法もありますが、それ相応の人的リソースを必要としますので対応が難しいと考えている場合も、こちらに含まれます。

そもそも受け入れ可能な人数以下の応募しか見込めない場合はあえて選考をする必要はありませんし、ある程度スクリーニングをしたい場合でも面接のみなど、ごく軽いものにしておいた方がいいでしょう。

選考なしでオープンカンパニーを提供する方法も

— 中にはインターンシップがそもそも実施できないという企業もありそうですね。


河本さん: はい。「インターンシップをやりたいが、改正された三省合意に即した形だと工数がかかりすぎて実施できない。他の方法はないか」といったご相談はよくいただきます。

その場合におすすめなのが、改正された三省合意に定められた中では最もライトなプログラムで実施できる「オープンカンパニー」の実施です。

— オープンカンパニーとはどのようなものですか?


河本さん: 個社や業界に関する情報提供を目的とした、5日間未満のプログラムです。

採用担当者と数名の協力社員の稼働だけで完結するグループワークやロールプレイなどによる仕事体験の提供も実施可能で、現場での受け入れが必要ない方法で学生との接点をつくることができます。

方法論は三省合意以前のインターンシップと同様で、自社・業界理解につながる学習コンテンツによって学生に学びを得る機会を提供し、自社を印象付けおくことが目的となります。

インターンシップは工数的に実施が難しい場合でも、就職活動の早期化傾向に対応して早い段階で学生と接点をつくることができなくては、採用母集団の形成すら難しい。採用成功への道は遠くなるばかりです。

なので、こうした方法を用いる、または併用することをおすすめしています。

— オープンカンパニーでも選考を課すべきですか?


河本さん: 河本さん:学生の質をそろえたい場合や、選考そのものを参加の動機付けにしたい場合、または人気企業で学生が集まりすぎてしまうときには選考を課してもいいでしょう。
「門戸を広く」するためにオープンカンパニーを実施する場合は、選考はしなくても良いと判断される場合が多いと思います。

オープンカンパニーでの仕事体験は学生にとっても魅力的なオプションに

— オープンカンパニーは工数をかけられない企業にとって早期接触のいいオプションになりますね。


河本さん: そうですね。しかも、実は学生にとってもある種の「受け皿」として機能するという面があります。

人気の高いインターンシッププログラムのほとんどは選考が課されるため、参加したくてもできなかった、という学生が多く発生する可能性が非常に高いのです。

そうすると、就職活動が本格化する前の夏休みという貴重な時間を無為に過ごすことになってしまいます。そんな学生たちにとって、選考なし、またはライトな選考で参加できるオープンカンパニーは、仕事、業界、会社について理解を進めるいい機会となるはずです。

企業にとっては大手のインターンシップに参加できなかった優秀な学生と接点をつくるチャンスともなるので、Win-Winな関係をつくり出すことができるのではないでしょうか。

— 今日はありがとうございました!


柔軟な施策運用で就活の早期化に対応

三省合意の改正によって「インターンシップ」の定義が明確化し、企業から学生へキャリアについて学び、考える機会を提供することがより一層求められるようになりました。

一方、改正への対応は2025年卒から始まったばかりで、まだまだ対応できないという企業も多いのではないでしょうか。
そういった場合に、インターンシップ以外のオプションとしてオープンカンパニーを用意して対応する方法は、学生にとっても利益が大きく、良い接触機会となるはずです。

学生ファーストの立場は崩さず、柔軟に対応しながら皆さまの採用が成功するよう、HUMAN CAPITAL サポネットでは今後もサポートを続けていきます。
  • Person 河本 英之
    河本 英之

    河本 英之 シーズアンドグロース株式会社 代表

    2005年、株式会社リンクアンドモチベーション入社。その後、同社の人事を担当し、08年に全社MVPを獲得。10年に採用コンサルティング・育成コンサルティングを専門とするシーズアンドグロース株式会社を創業し、現職。

  • 人材採用・育成 更新日:2024/04/26
  • いま注目のテーマ

RECOMMENDED

  • ログイン

    ログインすると、採用に便利な資料をご覧いただけます。

    ログイン
  • 新規会員登録

    会員登録がまだの方はこちら。

    新規会員登録

関連記事