人手不足を補う説明会の工夫とは?介護法人の採用成功事例|スミレ会グループの場合【介護職採用シリーズ_vol.3】
一般的に、介護法人では、施設長などが理事長の頼りになる存在として採用と管理・人事・総務などの業務を兼務していることが多く、大変な思いをしながら採用活動を進めています。
そのような法人では、採用体制が十分でないために、以下のような状況に陥りがちです。
1.やるべきことを増やしすぎて続けられない
2. 目の前の業務に追われて振り返りができない(課題の把握ができない)
では、そのような状況にある介護法人は、状況改善のためにどのような対策を打っていけばよいのでしょうか。
今回は、上記1の状況に悩む介護法人が対策を打つ場合のポイントについて解説します。
前回(vol.2)の記事では、介護業界の未来予測をもとに、介護法人は新卒採用を積極的に行う必要があるという話をしました。
また、前回示した通り、最近の学生は、インターンシップ、説明会、面接で法人の担当者と直接顔を合わせることで、入社意欲が大きく高まる傾向があることがわかっています。
つまり、これらの「直接接触」の機会にどれだけ力を入れられるかが、今後の介護法人の採用の成否を分けるといえます。
ただ、一般的に、新卒採用では、説明会を実施して職種や業務内容に興味を持つ学生を増やしたうえで選考試験や面接 を行うため、準備から採用までの工程が多く、応募者対応にも手間と時間をとられます。
未経験の学生の志望度を高め、適性を見極めるにはどの工程も重要ですが、採用フロー全体がかなり骨の折れるプロセスといえます。
さらに近年では、採用活動のスタート前にキャリア教育の一環である就業体験、インターンシップを実施する動きも広がっています。
したがって、人手不足で採用体制が十分とはいえない介護法人が新卒採用をさせる には、
インターンシップ、説明会、面接の「直接接触」に集中的に手間と時間をかけることが大切です。
加えて、少人数でも無理なく継続できるように採用フローを見直して、学生と向き合う時間を最大化する必要があります。
なお、最近は採用活動にSNSを取り入れる法人も増えています。
SNSは多くの人に訴求できる効果的な採用施策で、トレンドでもありますが、それなりに手間がかかります。
まずはインターンシップ、説明会、面接の「直接接触」に十分に力を注ぎ、そのうえで対応できる人材が確保できるかなど、自法人の状況に応じてチャレンジするとよいでしょう。
新卒採用は継続することでノウハウが蓄積されて採用力が高まるので、「続けること」が特に重要です。
新卒採用を成功させるための対策やノウハウは無数にありますが、難易度の高いことに取り組んでも続けられなければ意味がありません。
「誰でもできる」「ラクに続けられる」ことに絞って実践していきましょう。
スミレ会グループ は計14法人からなるグループで、介護・医療・福祉・教育の4分野にわたって多数の施設を運営しています。
同グループでは、グループを統括する採用担当者と、新卒採用を予定している施設の施設長が連携して採用活動を行ってきました。
しかし、施設長が新施設の立ち上げ業務等で従来通りに採用業務を進めるのが難しくなってしまいました。
そこで、採用フローを効率化するために同グループがチャレンジしたのが、対面で実施していた説明会を録画してWEBで配信するという対策です。
動画配信というと、動画制作やWEBに関する専門知識がないと実施するのが難しいイメージがあるかもしれませんが、近年はコロナ禍の影響もあって利用しやすい動画配信のサービスが増えました。
そのため初心者でも簡単に動画を作成して配信することができるようになりました。
ここで、録画のWEB説明会を配信する場合の大まかな流れを確認しておきましょう。
【録画のWEB説明会配信の流れ】
1. 内蔵カメラ付きパソコン、ビデオカメラやスマートフォン 等で説明会を録画する
2. 編集して説明会動画を作成する
3. WEB上(就職情報サイトを使っている場合はサイト上)で説明会の予約受け付けを開始し、エントリー済みの学生に告知する
4. 予約をした学生に視聴用のURLや視聴方法をメールで案内する。URLを受け取った学生は、期限内であればいつでも動画を見ることができる
なお、説明会の手法には、対面の説明会、スミレ会グループが実施した録画のWEB説明会のほかに、リアルタイムのWEB説明会があります。録画のWEB説明会は、申し込んだ学生が都合に応じて好きな時間に見ることができますが、リアルタイムのWEB説明会はライブ配信なので、基本的には予定された開催日時に視聴しなければなりません。
マイナビの調査(※1)によると、企業が2024年卒の学生に対して実施した採用手法のうち「録画のWEB説明会」は17.6%。現状では「対面の説明会」44.1%、「リアルタイムのWEB説明会」42.1%に比べると多いとはいえません。
しかし、学生の参加・視聴数を見ると、「録画のWEB説明会」は平均4.5回、「対面説明会」6.9回、「リアルタイムのWEB説明会」14.6回。普及度が低いわりに参加・視聴数は多いことがわかります。
学生から見た録画配信のWEB説明会のメリットには、好きな時間に見られることのほか、「一時停止してメモを取れる」「何度でも繰り返し見ることができる」「スキップ戻し・送り(巻き戻し・早送り)ができる」などがあります(※2)。こうした録画配信の説明会の特性が、普及度が低いわりに高い参加・視聴数につながっていると考えられます。
※1 出典 :「マイナビ 2024年卒 企業新卒採用予定調査」「マイナビ学生就職モニター調査2024年卒 7月調査」
※2 出典 :「マイナビ2022年卒 学生就職モニター調査 4月の活動状況」
スミレ会グループでは、人手不足を補うためのさらなる工夫として、採用アウトソーシングサービス を利用し、面接の予約取り付けのために応募者に連絡する業務を社外に委託することにしました。
採用アウトソーシングサービスとは採用業務の代行サービスのことで、応募者への連絡や問い合わせ対応をはじめ、説明会や面接の代行といったさまざまな業務を、専門企業が法人の採用担当者の代わりに実施してくれます。採用フローの一部をアウトソーシングすることはもちろん、フロー全体をサポートしてもらうこともできます。
通常、自法人で面接の予約を取り付けるには、一人の応募者に対して何度か電話やメールで連絡して日程調整をしなければなりません。特に2次、3次と複数回の面接を行う場合、この電話やメールでの連絡にかなりの手間と時間をとられます。
また、同時にほかの業務も進めなければならないため、面接の日時が決定するまで応募者を追いかけきれないこともあります。
しかしアウトソーシングであれば、専門の担当者が、応募者と連絡がつくまで根気よくアプローチしてくれます。
上記の対策を実施後、スミレ会グループでは、大幅な採用業務の工数削減に成功し、限られた人数でも採用活動を無理なく進められるようになりました。
その最大の要因は、あらかじめ説明会動画を作成して配信しているため、採用活動をスタートさせてからは予約が入れば面接対応をするだけというシンプルな採用フローになったことです。
また、面接の予約取り付けの連絡をアウトソーシングしたおかげで、採用担当者が面接対応や候補者の見極めなどのほかの業務に注力することができただけでなく、面接への応募率 (動画を視聴した応募者のうち面接予約へと進んだ人の割合)の向上にもつながりました。
具体的な成果を紹介すると、説明会動画を視聴した学生が36名、面接予約したのが13名、面接に参加したのは7名。
最終的にスミレ会グループ全体で計6名に内々定を出すことができました。
- 人材採用・育成 更新日:2024/03/29
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