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入社手続きを電子化して採用コストを改善しよう

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入社手続きは、雇用契約書や雇用保険、社会保険などの複雑な手続きが多い業務です。ゆえに電子化に成功すれば、大幅な生産性の向上、コスト削減ができます。当記事では、入社手続き電子化のメリットや導入による注意点などを紹介します。

入社手続きの電子化が進む背景

入社手続きは、社内向けの契約書や労働条件通知書、通勤交通費(定期)の申請、住所などの申請の他に、健康保険や雇用保険、厚生年金などの行政向けの書面も必要で、大量の紙での処理が必要です。煩雑な書類の記入や管理は人的ミスが起きやすく、情報の伝達や管理も困難にします。ここでは、入社手続きの電子化が進む背景を説明します。

採用動向の変化

転職が当たり前の時代になり、企業は新卒採用以外にも多くの中途採用を実施するようになりました。通年を通して新入社員が入社し、採用担当者の作業量も増加しています。

人員の不足

前述の通り、採用担当者の業務は増える一方で、しかも、労働人口の減少により、一人あたりの業務量は増加傾向にあり、現場の業務効率化が求められています。

社会保険の電子申請義務化

政府は、行政手続きにかかるコストを大幅に削減するために、行政手続きの電子化を進めています。既に、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・介護保険・労災保険などの行政手続きが電子化され、2020年4月より、以下のいずれかに当てはまる企業は、電子申請が義務化されています。

  • 資本⾦、出資⾦または銀⾏等保有株式取得機構に納付する拠出⾦の額が1億円を超える法人
  • 相互会社(保険業法)
  • 投資法人(投資信託および投資法⼈に関する法律)
  • 特定目的会社(資産の流動化に関する法律)

もちろん、上記以外の企業も、電子申請を活用できます。

テレワーク化への対応

コロナ渦により出社しての紙ベースの事務処理は、従業員の健康リスクも配慮する必要があります。電子化が進めば、テレワークにより、場所を選ばない柔軟な働き方が実現します。

データ保管の利便性

雇用にまつわる書類は、法的に保管が義務付けられていて、紙ベースのさまざまな書類を保管する必要がありました。しかも、重要な個人情報のため鍵のかかった保管場所で適切に管理保管をしなければなりません。これらの書類を電子化し保存することで、場所を取らずに効率的な保管ができます。

データの閲覧の利便性

紙ベースの書類の場合、鍵のかかった保管場所から、大量のファイルの中から必要な書類を探す必要がありました。電子化することで、セキュリティのかかったクラウド上のファイルを検索し、素早く閲覧することができます。

労働条件通知書と雇用契約書の電子化

行政向けの手続きの他にも、雇用者と労働者の間で結ぶ書面の電子化も規制緩和されました。

2019年4月より、今まで書面での交付が労働基準法で義務付けられていた労働条件通知書に関して、労働者が希望した場合は、メールやデジタルデータでの発行も認められるようになりました。

以前は、雇用契約書をデジタル化しても、労働条件通知書は書面発行が義務付けられていたため、紙と電子データ両方の発行が必要でしたが、労働条件通知書の電子化が認められたことで、ひとつにまとめた「労働条件通知書 兼 雇用契約書」の電子版が発行可能になりました。

入社手続き電子化のメリット

書類作成の工数が大きく減る

多くの申請書の記入が必要だった入社書類の作成を大幅に効率化できます。名前や生年月日、住所のように何度も記入を求められるデータを一回の登録で済ませたり、マイナンバーや一部のデータを入社予定の従業員に管理画面から直接入力してもらうことで、人事スタッフの工数や、入力ミスを減らすこともできます。

書面でのやりとりが減る

紙ベースでは、署名や捺印が必要な書面は印刷して、入社予定の従業員に郵送や手渡しなどを行う作業が必要でした。電子化により、クラウドでのサインを行うことで、業務の効率化が図れます。

電子申請で、即処理できる

紙ベースでは、年金や雇用保険など複数の役所に往訪したり郵送する必要がありました。中には提出期日が定められている書類もあります。電子申請ならば、それらの処理を、事務所にいながら処理できます。しかも、メンテナンス時を除き、24時間申請可能です。

入力や書類の不備をチェックできる

必要な項目の記入漏れなどを入力時に自動チェックできます。書面のときにあった記載漏れでの差し戻しなどの業務の手間が大幅に減ります。

個人ごとに進捗を管理できる

個々の新入社員の手続きを管理するには膨大な作業が発生します。システムで管理することで、個人ごとの新入社員の手続きが、どのステップまで進捗し、どのステップで止まっているのか、止まっている理由など、一目瞭然で管理できます。

タスクの漏れやミスを減らすことができる

紙ベースでの処理をデジタル化し、チェックし不備に対してアラートを出すシステムを入れることで、人的なミスや手続きの漏れを無くすことができます。

属人的な管理を避けられる

担当者しか理解していない属人的な管理から抜け出し、上長や関係者が、いつでも管理画面で状況を把握できるようになり情報共有が進みます。人事担当者が異動や退職しても、漏れなく引き継ぎできます。

労務・給与管理・稟議などバックオフィスの一元化

労務管理システム・給与管理システム・稟議システムなどの複数のシステムを連携し管理することでバックオフィス部門の業務コストを下げることができます。

情報管理の合理化

各書類は、法律で定められた年数、保管をする義務があります。特に個人情報に類する書類は、セキュリティのある場所に適切に保管しなければなりませんでした。そのため鍵のかかった書庫などに書類をファイリングして保管をしていました。

これらの書類を電子化することで、物理的な保管庫は不要になり、オフィスの縮小化によるコスト削減やファイリングや整理するための工数も削減できます。

検索性の向上

情報が必要になったときに、書庫の中の大量の書類の中から該当の書類を探す必要がありました。電子化によって、検索性が高まり情報にアクセスしやすくなります。

また、法律で定められた保管年数を経過した個人情報は、速やかに削除することが好ましく、大量の書類の中から、保管年数の失効した書類のみ、手と目で探して削除する必要がありました。しかし、電子化によって、削除すべき書類のみ自動的に抽出し削除することもできます。

コストの削減

電子化により、郵送にかかるコスト、紙やコピーにかかるコスト、保管場所のコストなど、多くのコスト削減が実現します。

入社手続き電子化の導入準備

業務の洗い出し

現在の業務を洗い出し、フロー図を作成し、工数が大きい業務や課題を抽出し、優先順位や要件を整理します。

プロジェクトの範囲を定める

入社手続きは、採用や、経理、給与計算、稟議などのあらゆるシステムに関連します。今回のプロジェクトでは、入社手続きの作業のみを電子化するのか、他のシステムの連携まで行うのか、プロジェクトの範囲を定めます。

業者の選定を行う

プロジェクトの範囲が決まり、要件が整理できた段階で、業者の選定を行います。複数の業者からの提案を比較検討して、自社に最適なシステムを選びましょう。

電子証明書の取得

健康保険・厚生年金保険・雇用保険・介護保険・労災保険などの各種行政の電子申請には、電子証明書の取得が必要です。

電子証明書は、法務省のホームページから「商業登記電子認証ソフト」をダウンロードして、ソフトから「電子申請発行申請書」や「鍵ファイル」を作成したのち、登記所へ出向いて手続きする必要があります。

入社手続き電子化の注意点

大幅な業務改善ができる入社手続きの電子化ですが、便利になる分、導入や運用には注意点があります。リスクを理解した上で導入を進めましょう。

セキュリティの強化

電子化により業務工数が大幅に減る一方で、データに簡単にアクセスできてしまう課題があります。しかも、労務・給与管理・稟議などバックオフィスなどと連携していた場合、個人の全情報にアクセスすることが可能になりセキュリティリスクが高まります。しっかりとした対策を施しましょう。

セキュリティ対策の事例

  • 管理画面へのアクセス権限を役職や役割で細分化し、業務に関係しない従業員はアクセスできないようにする。
  • 外部のネットワークからアクセスできないように、アクセス制限やアクセスできる端末を厳しく管理する。
  • 各個々人のIDとパスワードの管理を徹底するように指導する。
  • 定期的に不正アクセスが発生していないか監視する。

システム導入コストが発生する

便利になり業務の効率化が図れる一方、システムの導入にはコストが発生します。現在は様々な管理システムが販売されているので、自社の規模や業務に見合った適切なコストのシステムを導入しましょう。

生産性を上げるための計画

導入による業務効率化で工数に余りがでます。その余った工数を活用して、より生産性が高まるように事前に業務設計を行いましょう。

入社手続きや、それに関わる行政手続きは電子化によって大きく効率化できます。しかし、便利になる分、簡易にデータにアクセスできるためシステムのセキュリティ強化を慎重に行わなければなりません。リスクを理解した上で、自社に最適なシステムを導入しましょう。

  • 人材採用・育成 更新日:2022/06/22
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