シナジー効果とは? 種類や生み出す方法と採用での活用を解説
シナジー効果には、「投資シナジー」、「販売シナジー」「マネジメントシナジー」の3種類があります。
投資シナジー
●投資コストの削減
投資したインフラや研究開発を共同で利用し活用することで、コストダウンを行うことができます。また、新規投資に関しても役割を決めて投資をすれば投資の重複を防ぐことができます。
●新しい価値の創造
お互いのノウハウ、研究の長所を組み合わせて、新商品や新サービスなどの新しい価値を生み出す可能性があります。
販売シナジー
●販路拡大
流通、販路、営業組織、代理店などのインフラや組織を共同で利用することで、販売チャンネルを拡大します。
●顧客単価の向上
お互いの商品をお互いの顧客に対して、クロスセルやアップセルを仕掛け、客単価向上を狙うことができます。
●価格交渉力の強化
仕入れ量を増やすことで市場に影響を与え、価格交渉力を強化できます。
●物流コスト削減
倉庫や物流、在庫管理システムなどのインフラの共有化をはかり、コスト削減が可能です。
マネジメントシナジー
●知見の共有
経営、管理層の人材の交流により、自社にない他分野の知見を得て、新規事業、新分野への進出につながります。
●人脈の共有
経営、管理層の人材の交流により、いままでになかった新たな人脈を得て、事業の発展に繋がります。
シナジー効果を産み出す方法や、その利点について
アライアンス(業務提携)
アライアンス(業務提携)は、自社と競合しない、親和性の高い商品やサービス、技術を持つ企業が提携し、お互いの長所を持ち寄りながら、協力し事業を進めます。
特に市場開拓や、新商品の開発、新規事業展開に強い効果を発揮し、事業を加速できます。
M&A
M&Aは、企業を買収し、自社にない分野やノウハウの獲得、同業者を買収することによるスケールメリットの獲得を狙います。
特にライバル企業のM&Aは、市場での支配力強化や、インフラ共有や、投資コスト削減、に大きく寄与し、効果は絶大です。
多角化戦略
自社の主力事業とは別の新規事業を立ち上げ、事業の拡大を行う戦略です。
多角化戦略は、「水平型多角化戦略」、「垂直型多角化戦略」、「集中型多角化戦略」、「集成型多角化戦略」の4つの戦略があります。
●水平型多角化戦略
「水平型多角化戦略」とは、自社が持つ既存の顧客、市場を対象として、親和性の高い商品を投入することで、既存のノウハウやインフラ、販路を有効に活用する方法です。最も、シナジー効果が発揮しやすい戦略です。
例えば、ビールメーカーが、ビール以外の別なお酒のジャンルに進出する場合、既に抱えている顧客や販路、製造技術を活用しシナジー効果を発揮できます。
●垂直型多角化戦略
「垂直型多角化戦略」とは、自社が持つ既存の市場の、上流部分や下流部分に進出する戦略です。例えば、食品メーカーが自社直営の飲食店を開業する、もしくは、高品質な農業に進出するなど、ノウハウは持っていないが、自社の既存のブランドや既存のビジネスを活かして新たな市場に進出します。
●集中型多角化戦略
「集中型多角化戦略」とは、自社が持っている「技術」などのリソースを活かして、全くことなる市場に進出する戦略です。
例えば、フィルムメーカーがその技術を応用して化粧品を開発するなど、全く異なる市場で事業を展開します。
●集成型多角化戦略
「集成型多角化戦略」とは、自社の持っているリソースとは、全く関連のない事業に参入することです。リスクの高い多角化戦略になり、他戦略と比較してシナジー効果を発揮しにくい戦略です。
上記4つの、多角化戦略のメリットは、新規事業への進出の際、現在、自社が持っているリソースを活用することで、シナジー効果を発揮し、事業の成功率を高めることができます。
グループ一体経営
「グループ一体経営」とは、ホールディング形式などで、複数の子会社を持つ企業が、重複する業務を統一して、コスト削減や企業統治の強化を行う手法です。 例えば、事業以外の非生産部門である経理組織、人事組織、それらシステムを本社で統括して、全ての子会社を管理しシナジー効果を狙います。
人事業務でのシナジー効果の活用
人事業務の現場でも、シナジー効果は発揮されます。特にホールディングス形式を採用している会社や、関連会社、子会社を所有している会社は、人事部門を統一することで、メリットを出すことができます。
人事部門のコスト削減
親会社の人事部門がグループの人事業務を一括して行うことで、グループ全体でのコスト削減を実現します。中には、人事部門を独立採算の会社として運営し、グループ各社がその人事専門会社に人事業務を委託する形式を採用しているホールディングスもあります。
採用での活用
グループ一括採用を行うことで、親会社の知名度、ブランドを利用して、より多くの優秀な人材を集めることができます。
教育・研修での活用
グループで合同研修を行うことで、研修施設の共有や、研修にかかるコストを下げることができます。
シナジー効果の注意点
お互いの現場のメリットを明確にする
アライアンスは、双方にメリットがなければ機能しません。実際、経営層が決定し、現場がメリットを見いだせずに、シナジー効果を発揮しない形だけのアライアンスになってしまうこともあります。現場が効果的に稼働するためには、現場のメリットを作り、明確に伝えることが大切です。
組織文化を理解しコミュニケーションを促進
組織には文化があり、運営手法も異なります。意思決定のプロセスが複雑になってしまったり、お互いが配慮をしてしまい意思決定の速度が遅くなる可能性や、折衷案になってしまったりするケースがあります。組織文化を尊重しつつもゴールを明確にしてコミュニケーションを促進する必要があります。
情報管理の徹底
複数の組織が関わることで、情報漏えいのリスクが高まります。お互いの管理体制に関して、事前に検討する必要があります。
これまで、シナジー効果とは何か、種類や、シナジー効果を生み出す方法、注意点などを紹介しました。
企業は、シナジー効果を活用することで、単部署、単事業では成し得なかったコストダウンや急速な事業の展開が可能になります。また、新規事業、新市場に進出する際も、シナジー効果を活かせばより成功率を高めることができます。一方で、アナジー効果が発生する可能性もあります。リスクを検証しながら積極的にシナジー効果を活用しましょう。
- 経営・組織づくり 更新日:2022/06/16
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