経営と人材をつなげるビジネスメディア

MENU CLOSE
0 s_saiyo_s20220602135528 column_saiyo c_kouhouc_shinsotsusaiyo

2023年卒大学生就職企業人気ランキングを振り返る

/news/news_file/file/t-20220221165400_4.png 1
2022年4月7日に【マイナビ・日経】2023年卒大学生就職企業人気ランキングが発表され、東京海上日動火災保険が2年連続文系1位。理系1位はソニーグループとなりました。マイナビでは大学生就職企業人気ランキングを1978年(1979年卒)より毎年実施しており、今回は33,159名の有効回答を得て、文系総合理系総合、文理男女各々を100位まで、理系学科系統別30位まで、理系院生50位まで、業種別 各10位まで、本社所在地エリア別各30位までと幅広く発表しています。結果そのものは発表を参照いただければと思いますが、本コラムでは新型コロナウイルスの影響下で調査された2023年卒就職企業人気ランキングの傾向や、前年と比較しての大きな流れを考察してみます。

マイナビ・日経 2023 年卒大学生就職企業人気ランキング


>2023年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング
考察の前に昨年2022年卒の結果を振り返っておきます。2022年卒採用でも新型コロナウイルスの影響を大きく受けて、巣ごもり需要の恩恵を受けた食品・出版・音楽・ゲーム・スーパーなどの業界が大きくランクを上げました。逆に常に上位にランクインしていたホテル・旅行や航空業界が打撃を受けランクを下げるという結果になり、東京海上日動火災保険の文系総合1位を筆頭に生損保業界がランクインするという形でトップ10の顔ぶれが大きく変わりました。2023年卒採用では依然として新型コロナウイルスの影響を受け続けている最中であり、この傾向に変化はあるのか?ということを見ていきます。

>2022年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング
2023年卒の文系総合のホテル・旅行業界ではPlan・Do・Seeが前年41位から12位に、JTBグループが前年35位から19位と大きく順位を上げています。新型コロナウイルスの感染状況は現時点(2022年6月)では落ち着きつつありますが、投票期間である2021年12月~2022 年 3月はまだまだ影響は大きかったはずです。ですのでホテル・旅行業界も昨年に引き続き同傾向のまま復活はまだ先ではないかと思っていましたが、アフターコロナを見据えて大きく回復の傾向が見えました。人気業界の復活は2022年卒採用で恩恵を受けていた他業界にとって2023年卒採用は苦戦する一要因になっていると予想されます。

理系総合では富士通が前年8位から3位に、NTTデータが前年6位から4位に、Skyが前年12位から7位になるなど、IT関連需要増とともに情報技術に強みを持つ企業がランクアップしています。この結果は想像できたものの、前年2022年卒では傾向として強く出ておらず、2023年卒の特徴と言えます。

また2022年卒からの継続的な流れとして、文系総合でバンダイナムコエンターテインメントが前年16位から14位に、コナミグループが40位から28位に、任天堂が46位から31位とゲーム業界の企業が多くランクを上げました。

>文系総合(2023年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング)
>理系総合(2023年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング)
エリア別では地方銀行、信用金庫のランクアップが全国的に目立ちました。北海道エリアでは北海道銀行が前年6位から4位に、東北エリアでは仙台銀行が前年13位から6位に、東邦銀行が前年20位から11位に、東海エリアでは愛知銀行が前年8位から5位に、北陸エリアでは北陸銀行が前年4位から2位に、福井銀行が前年13位から9位に、中国・四国エリアでは中国銀行が前年7位から3位に、九州・沖縄エリアでは、西日本シティ銀行が前年3位から1位となっています。

「2023年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」では地元(Uターン含む)就職を希望する学生は62.6%で2年連続で増加しています。コロナ禍によりオンラインでのインターンシップや就職活動が普及し地元企業へ目が向けられやすい環境になったことや、その中でも「安定している」「社会貢献度が高い」というイメージの強い地方銀行、信用金庫に票が入ったのではと思われます。

>本社所在地エリア別(2023年卒マイナビ大学生就職企業人気ランキング)
ここからは他の調査結果も使用して考察していきます。「2023年卒大学生就職意識調査」では企業を選択する場合にどのような企業がよいか(あてはまると思う項目を2つまで選択)を聞いており、「安定している」が43.9%(前年比1.1pt増)と4年連続で1位となっています。【図1】

【図1】企業を選択する場合にどのような企業がよいか(マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査より)

「安定している」が高いということは大手企業志向が強いと捉えられがちですが、大手企業志向は48.5%で前年比2.6pt減となり、2年連続で減少しています。対する「中堅・中小志向」は前年比2.9pt増の47.8%となり、大手企業にこだわらないという傾向が読み取れます。【図2】

【図2】企業志向(大手志向と中堅・中小志向)(マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査より)

では必ずしも「安定=大手ではない」中で、学生が支持する4年連続1位の「安定」とは何か?を考察していきます。「2023年卒大学生活動実態調査(3月)」で「企業に安定性を感じるポイント」を複数回答してもらったところ、「福利厚生が充実している」、「安心して働ける環境である」が上位2つに挙げられています。【図3】不安定な世の中故にこの2つの項目に「安定」を感じるということは「なるほど」と思える結果です。この2つの項目は制度や環境を整えることが必要と言えますが、根底では企業側の「社員のことを大事にする」という姿勢が大事なポイントになると思います。

【図3】企業に安定性を感じるポイント(当てはまるものすべて)(マイナビ2023年卒大学生活動実態調査(3月)より)

次に「売上高」「今後成長が見込まれる業界・企業である」が続きます。【図3】新しい分野に取り組んでいる、挑戦している、最先端の技術を活用しているなど、大手企業であってもそうでなくても停滞せずに、動き続けている。そんな企業姿勢こそが「成長が見込まれる」安定を感じる企業として学生の支持を集めていると思います。

最後に、今回文系総合1位の東京海上日動火災保険は業界や事業の仕組みを学生に伝えようと新卒採用向けゲーム実況動画を公開していました。ゲーム実況動画という学生に馴染みのある方法を使用した広報には、学生目線に立ち伝えようという姿勢が表れていると思います。採用広報において大事なのは伝える人数や情報量はもちろんですが、それ以上に業界や自分達の会社や仕事を学生にしっかりと知ってもらいたい、伝えたいという企業側の想いなのではないかと感じた2023年卒大学生就職企業人気ランキングでした。
  • 人材採用・育成 更新日:2022/06/08
  • いま注目のテーマ

RECOMMENDED

  • ログイン

    ログインすると、採用に便利な資料をご覧いただけます。

    ログイン
  • 新規会員登録

    会員登録がまだの方はこちら。

    新規会員登録

関連記事