「20~30代社員ほぼゼロ」から本格開始した新卒採用。毎年続けることで見えてきた新しい景色とは
「このままだと会社がなくなってしまう」危機感から、新卒採用の必要性を痛感
— 今日はよろしくお願いします。早速ですが、御社が人材面で抱えていらっしゃった課題について教えてください。
三村さん: 私が当社に転職してきたのは2020年でした。部長として運営を任された建材営業部には、当時20~30代の社員はほぼゼロ。50~60代のメンバーが大半を占めていました。このまま対策をしなければ、10年後には戦力が枯渇し、事業そのものを継続できなくなってしまう。こうした危機感から、本格的に新卒採用を開始しなければならないと考えるようになりました。
それまでは、無料の就職情報サイトやハローワークに求人情報だけは掲載しておいて、もし応募があったら対応する。また、役員とつながりのある大学教授から学生を推薦してもらうといった形で、完全に内製で採用活動を行っていました。そのため、現在の新卒採用の手法をほとんど把握できていなかったんです。そこで、前職の人事担当者を通じて、マイナビさんをご紹介いただきました。
マイナビの営業担当者さんは、学生の就職活動スケジュールや価値観、志向、他社の動きや取り組み、そして目標を達成するためのプランを丁寧に説明してくださいました。こうして得た情報をもとに、月次の部門長会議などで数回にわたり、社内説得のためのプレゼンを行いました。
採用コストに関してどう合意を得るか。マイナビ担当者と二人三脚で社内を説得
— 社内を説得するに当たって、ハードルとなったことはありましたか?
三村さん: やはり、一番は金銭的コストです。それまでほとんど採用に予算をかけていなかったわけですから、採用人数1人当たり数十万円という費用感は、当初はなかなか理解してもらえませんでした。
しかし、マイナビさん以外の人材サービス企業さんからの見積もりもいくつか提示した上で、今はこの費用感が普通であること。そして、このままだと10年後、20年後に当社がどうなるかを想像してもらうことで、「採用コスト」ではなく、「未来への投資」であるという感覚を喚起するように努め、納得してもらうことができました。
説得といっても、ほとんどがマイナビ営業担当者さんからの受け売りです(笑)。一時期は毎日のように電話で質問や相談をさせてもらっていました。適切な情報提供とフォローのおかげで、無事に社内を説得してスタートラインに立てたことには、本当に感謝しています。
ジョブ型雇用と若手による会社説明会で応募者の心をつかむ
— 実際に新卒採用を開始されてみて、進捗(しんちょく)はいかがですか?
三村さん: ナビサイトへの掲載と新卒紹介を通じて、ここ4年ほど毎年採用できています。25年卒では営業職、設計職、建材管理職合わせて4名を採用することができました。26年卒は現時点で、営業職2名に内定を承諾してもらっています。
— 採用成功のポイントは、どんな点にあったと思われますか?
三村さん: 1つは、ジョブ型採用を取り入れたことです。以前は基本的に全員を施工管理として採用し、実際に働いてもらって適性を見ながら一部を他職種に異動させていました。しかし現在はそうではなく、入社時点で職種を提示し、それぞれの職務に適性のある人材を募集、採用する手法を取っています。こうすることで、学生は入社後の仕事が明確になるため、応募のハードルが下がります。
2つ目は、新卒紹介サービスの有効活用です。マイナビのキャリアアドバイザーが、ナビサイトや採用HPの文章だけでは伝わりにくい魅力まで学生に伝えてくれた上で興味喚起、意識醸成してくれました。こうして入社してくれた社員がしっかり活躍してくれているので、新卒紹介を利用して良かったと思っていますし、今後も継続して利用予定です。
そして3つ目は、オンラインによる会社説明会だと思います。気を付けている点としては、なるべくフランクに話すこと。若手社員が主体の説明会に私が同席させてもらい、その掛け合いを通して社内の雰囲気を感じてもらうこと。質問には全て答えること。そして、情報はつまびらかにすることです。
例えば私の所属する建材営業部では仕事柄、どうしても地方への出張機会が多くなります。最近の学生は出張を好まないと聞いたことがあるのですが、こうした点もオープンにしておかないと結果としてミスマッチにつながってしまうので、しっかりその必要性についてお伝えしています。
プレゼン内容に関しては、今はほとんど若手社員に一任しています。というのも、私のように長く建設業界に関わる人間は、業界外の人がどれくらい業界や当社のことを理解しているのか、どこから説明すればいいのかがもはや分かりません。逆に若手社員の方が、学生目線に立ったプレゼンができると考えています。
— 学生目線に立ったプレゼンとは、どのようなものですか?
坂本さん: 私の場合、当社の本質的な価値を理解してもらうことを一番のゴールに据えて、基本的な情報からなるべくシンプルにお伝えすることを心掛けています。例えばプレゼンの頭では、業界知識がほとんどない方でも当社を理解してもらえるよう、「土木とは?」「建設とは?」といった基本から始めます。
また、当社の事業内容は「法面工事、擁壁工事、道路拡幅工事、落石防止工事などに関連する技術開発、それに伴う工事と建材の製造販売」なのですが、これだと理解しにくいので、「当社は防災の会社です」と簡潔にお伝えしています。「災害が起こってから対応していては遅い。災害が起こらないようにし、人々の命と生活を守ることが私たちの使命です」というトークに感銘を受け、共感して入社してくれたと語ってくれた社員もいました。
三村さん: 説明会後の面接における意識醸成も、ポイントの一つです。マイナビ新卒紹介の場合、営業担当者さんがキャリアアドバイザーと連携し、学生の志望度や関心ポイント、懸念点を把握してくれています。面接時にどのような訴求をすれば志望度が高まるかを具体的にアドバイスしていただき、うまく面接で意識醸成することができました。
新卒採用を通して、戦略に基づいた「未来志向」の会社へ
— 新卒採用を本格的に開始して、社内ではどんな変化がありましたか?
三村さん: 一番大きな変化は、事業に対しても人材に対しても、戦略的な考え方ができるようになってきた点です。これまでは、たまたま来てくれた人を採用するだけで、人材戦略のようなものはありませんでした。しかし今は、事業計画の達成のために「あとどれだけ、どんな人材が必要か」を練った上で、採用計画を策定するようになりました。これだけでも、本当に大きな進歩です。
今後は若い人材が定着し、成長していくサイクルを整えていくことも必要だと考えています。現在はわれわれ世代が若手社員をレクチャーしていますが、今後も新卒採用を毎年行っていれば、だんだんと若手社員にも厚みが出てきて、入社3~5年目が1年目を教えるという、本来あるべき人材育成の姿が実現できるはずです。教えることを通して、自身のスキルや知識も身に付きますし、何よりマネジメント力向上にもつながります。こうした「教える・教えられる」の相互作用を通して、これからの当社をつくっていく人材が育っていくことに期待しています。