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コロナ禍における大学の就職支援はどうなっていたのか

新型コロナウィルス感染症の拡大が大学生の就職活動にも大きな影響を及ぼしました。2021年卒学生の就職活動が本格化した時期と重なり、合同企業説明会や個別企業説明会の中止、採用活動のWEB化など、今年の学生は今まで経験したことのない就職活動を強いられることになりました。
4月には緊急事態宣言も発令され自粛を余儀なくされた中で、大学の就職支援の要であるキャリアセンターはどのような状況にあったのでしょうか。
2020年6月実施の「マイナビ2020年度キャリア・就職支援への取り組み調査」から、新型コロナウィルス感染症の拡大が大学の就職支援やキャリアセンターの業務に及ぼした影響についてみていきます。

大学の学内立入り制限について

新型コロナウィルス感染症の第1波到来の中での大学内への立入り制限の有無について聞いたところ、94.6%の大学が「学内への立入り制限を実施した」と回答しました。

立入り制限開始日については、6割の大学が4月1日からの2週間以内と回答、なかでも緊急事態宣言が発令された翌日の4月8日が74校と最も多く、多くの大学が国の政策に沿った対応を取っていたようです。(図1)

図1:学内立入り制限開始日

 

3月1日以前に学内立入り制限に踏み切った大学も34校あり、内訳をみると北海道の大学が多く、他地方よりも学内立ち入り制限開始日が早い傾向にあったことがわかります。特に2月下旬からの開始が2割弱となっていて(他地方は1割にも満たない)、これは北海道で2月28日に緊急事態が宣言されたことと関連性があると考えられます。他のエリアをみてみると、東海地方は4月中旬の制限開始が多く、こちらも4月10日に愛知、岐阜、三重の3県が独自の緊急事態宣言を発出したことが影響していると思われます。(図2)

図2:エリア別学内立入り制限開始状況

 

一方で、学内立入り制限の解除は5月25日の全国的な緊急事態宣言解除後の6月1日が最も多く、7月1日以降も学内立ち入り制限を続ける大学も30校ほどみられました。(図3)

図3:学内立入り制限解除日

7月中旬以降の全国的な感染者数の増加に伴い、立ち入り制限をこのまま続けていく大学も少なからずありそうです。

学内立入り制限の中、キャリアセンターの対応は

では、キャリアセンターはどのような対応をとっていたのでしょうか。
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、通常の取り扱い業務などについて何らかの変更を行ったキャリアセンターは84.6%ありました。(図4)変更を行った時期は「4月上旬」が5割強で、緊急事態宣言発令に伴う学内立入り制限の影響が大きいようです。実際、変更を行った際の開室状況について聞いたところ、「閉室した(閉室していた+開室していたが閉室した+時間を短くして開室していたが閉室した)」キャリアセンターは46.4%でした。一方、通常通り「開室していた」キャリアセンターは37.0%で、「時間を短縮して開室していた」の16.7%と合わせると、53.7%のキャリアセンターは開室して学生への支援を続けていました。

図4:新型コロナウィルス対策として通常業務の変更を行ったか


学生からの相談対応はどのように行われていたのでしょうか。実際の対応方法を複数回答で聞いたところ「電話」(87.1%)、「メール」(86.7%)、「WEB」(77.6%)の順で挙げられました。学生への支援を「閉室中のためストップ」したキャリアセンターは0.7%ほどで、開室閉室に関わらず、何らかの形で学生への支援が行われていたことがわかります。

図5:学生からの相談対応


特筆すべきは、「WEBによる対応が初めて(今回の対応以前は行っていない)」というキャリアセンターが9割近かったことです。(図6)WEBで行った支援(複数回答)は、就職相談全般(93.1%)、模擬面接(85.4%)、エントリーシート添削(84.6%)が多く挙げられました。その他の取り組みを自由記述から拾ってみると、ガイダンス、合同説明会、就職支援講座、低学年時キャリアデザイン講座等の動画配信などが挙げられました。

図6:以前からWEBによる学生への支援を行っていたか


ではWEBによる支援の課題にはどのようなことがあったのでしょうか。今年の就職活動の課題とこれからの支援についての意見(自由記述)から抜粋してみてみます。


・オンライン支援の充実、支援行事のWEB化
・WEB対応が続くことによる学生のモチベーション維持
・WEB活用した選考で企業がどのようなポイントを見ているのかが明確に見えにくい
・WEBを活用した就職支援が学生に対して効果的に実施できているかが不安
・WEB試験に対応した環境整備(学内、個人)が必要となる
・オンライン型と対面型を共存させた就職支援
・WEBガイダンスやセミナーなどで学生を惹きつける内容をどのように作成していくか


上記のようにセキュリティやネット環境整備のようなハード面と、学生を惹きつけるコンテンツなどのソフト面、そして、WEB選考対策やWEBでの就職支援への効果検証等が挙げられました。ウィズコロナ時代の新生活様式の中では、WEBを通じた支援が特別なことではなくなることから、今年明らかになった課題を次年度以降しっかりクリアしていく必要がありそうです。

就職活動への影響

新型コロナウィルスの感染症が就職活動に及ぼした影響についても先述の自由記述からみてみましょう。


・新型コロナウィルス感染症の影響による合同企業説明会の中止などから、学生と企業との接点が例年より減少しており、企業理解・仕事理解の不足によるミスマッチが生じる懸念がある。このため、内定獲得後の学生も含め、就職活動継続中の学生の企業選択に関わる支援が必要だと考える
・採用計画が土壇場で変わる等、学生が不安になる要素がとても多い。また、そのような状況を把握することも難しく、支援方法に苦慮している
・内定承諾書を早期に提出させることをなくしてほしい
・学内で健康診断が実施できないため、健康診断書の発行もできない
・都内での就職活動に対する不安(感染リスク)
・企業の業績悪化に伴い、内々定取消が増えるようであれば、内々定保有者への指導も変える必要が出てくるように感じています
・進路未決定者の早期把握と採用活動継続企業の状況把握
・これから本格始動する企業の情報をキャッチし、例年よりも多い未内定学生を中心に漏れなく情報提供を行い、特に就職活動に乗り遅れた学生(WEB選考の対応が乏しい、応募企業が少ない等)のフォローアップを行う。
・新型コロナのリスクを考慮した上で採用計画が練られる22年卒以降の就活が心配
・インターンシップの中止による学生の職業・企業理解の機会損失、就職先のミスマッチ、視野を広げる機会の損失


上記のような課題が挙げられました。合同企業説明会がなくなることで、「偶発的に企業を発見」する機会が減少し、志望する業界や企業の幅を広げられない学生も多いようです。
採用計画の見直しや、内定取り消しの情報も出始め、例年以上に最新の情報収集が重要になっています。
さらには進路未決定者への支援、すべてWEB選考で内定を獲得した学生の就職先とのミスマッチ、2022年卒以降の就職活動への懸念、来年のインターンシップ参加の可能性等、予測がつきにくい状況が続きそうです。

最後に

これらの課題は、キャリアセンターだけで解決できることではなく、採用側の協力も必要不可欠です。
特に2021年卒の進路未決定者については、キャリアセンターの支援とともに、企業の積極的な採用活動が欠かせません。キャリアセンターとの連携に加え、採用活動継続中であることの周知や説明会情報の更新、さらには自社にエントリー済みの学生に対する再アプローチも今年は有効な手段になる可能性が高まっています。
WEB面接では、できるだけリアルな情報や会社の雰囲気が伝わる情報を学生に提供するよう心がけ、ミスマッチを防ぎましょう。
2022年卒以降の学生に対してのWEBによるインターンシッププログラムの充実は、新型コロナウィルスと共生していくうえで早急に取り組まなければなりません。

大学のキャリアセンターにおいても、感染拡大に伴って再び緊急事態宣言が発令されたり、学生のクラスターが発生したりといったことで、再び学内立入り制限という事態になる可能性があります。
ウィズコロナ時代の就職活動は今年限りではないでしょう。これまでの売り手市場からの転換期にこそ、就活生は大学の就職支援に大きな期待を寄せるはずです。
ウィズコロナ時代の就職支援へのキャリアセンターの取り組みに対して、企業も、そして我々就職情報会社も協力しあって、この未曾有の事態における採用・就職活動を進めていければと思います。