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低学年調査にみるキャリア教育の効用

キャリア教育(正課)必須化の背景

3月1日に企業の広報活動が解禁となってから2ヶ月。内々定率という言葉がニュースなどでも度々取上げられています。4月5日リリースのマイナビ2019年卒大学生内定率調査において、3月末時点の内々定率は、前年同月比3.2pt増の9.5%(2018年卒3月:6.3%)と、約10人に一人は既に内々定を受けていることになり、今年の就職環境も売り手市場です。これは、10数年前には考えられなかった状況です。

政府統計の就職率で比較してみると、文部科学省発表の学校基本調査では2017年4月に就職した学生(学士のみ)の全卒業者にみる割合は76.1%と、この20年で最高値を記録しました。一方2010年4月に就職した学生の割合は、全卒業者の60.8%と、2017年よりも15pt以上低い状況。これは、2008年のリーマンショック以降の景気後退に伴い2009年卒では内定取り消しが続出したこと、2010年卒では採用数の減少や、採用停止等がなされたことによるものでした。就職も進学もできないまま卒業し、それをきっかけに社会に出られなくなった学生も増加しました。2011年卒学生の就職環境もさほど変わるものではありませんでした。

「就職者数」「就職者の割合」出所:文部科学省・学校基本調査、「就職率」出所:厚生労働省・文部科学省・大学等卒業者の就職状況調査〔2017年4月1日現在)

 

キャリア教育の必須化に伴う、低学年向けのキャリア教育(正課)

そんな状況の中、2011年4月から施行された文部科学省の「大学設置基準の第42条の2」では、「大学は、当該大学及び学部等の教育上の目的に応じ、学生が卒業後自らの資質を向上させ、社会的及び職業的自立を図るために必要な能力を、教育課程の実施及び厚生補導を通じて培うことができるよう、大学内の組織間の有機的な連携を図り、適切な体制を整えるものとする。」と規程されました。大学の存在意義としてキャリア教育の必要性が定められ、大学では学生がスムーズに職業的社会に進めるよう教員、キャリアセンターなどが連携を図りキャリア教育やガイダンスを実施していくことの必要性が高まりました。この大学設置基準変更後にマイナビが全国の大学就職支援担当部署・窓口向けに行った「2011年度キャリア・就職支援への取り組み調査」では、低学年次からキャリアガイダンスを「実施している」大学は74.8%と前年を4.8pt上回り、またキャリア教育に関して、キャリアセンターや就職課が大学授業内での正規のキャリア科目の設置・運営に関わっているかどうかについては、6割ほどの大学で協力体制を構築し始めていると回答されていました。

当時から7年が経ちます。昨年の6月に行った「2017年度キャリア・就職支援への取り組み調査」での「キャリア教育(正課)の実施の有無」の問いに対しては87.5%が「実施している」と回答しています。2011年度からみると12.7pt 増加し正課としてのキャリア教育が浸透し、広がりをみせています。また、同調査でキャリア教育の開始時期をきいたところ、大学1年次から行う大学が84.1%(2011年度比7.6pt増)と、低学年から多くの大学がキャリア教育に取り組んでいることがわかりました。

 

低学年のキャリア意識

一方、学生側の意識はどうでしょうか。低学年のキャリア教育について、弊社で初めての調査となる「2018年 大学生低学年のキャリア意識調査」をみてみましょう。

自分のやりたい仕事について「(具体的な(19.8%)+ぼんやりとした(54.9%))イメージがある」と回答した学生は、74.7%と低学年の4人に3人は何らかのイメージを持っています。ただ、この半数以上がぼんやりとしたイメージがあるとの回答であることから、低学年ではいろいろなものに影響を受けて「なんとなく、こんな仕事をしたいな、あんな風に働きたいな」程度の感覚なのでしょう。

では、何に影響を受けて仕事をイメージしているのでしょうか。「やりたい仕事について考えるとき、影響を受けていると思うこと」を複数回答で聞いたところ、「大学職員、教授の話(授業含む)」(37.7%)が最も多く、次に「インターネット上の情報」(31.4%)、「両親の話」(30.0%)と続きました。現状では「大学職員・教授の話」に影響を受けていることがわかります。

事実、回答者全体の約半数が、大学に入ってからこれまでに1、2年生向けの「キャリア教育」や、「キャリアガイダンス」を受けたことがあると回答しています。「今後1、2年生向けのガイダンス等が実施される場合に参加したい(参加してもよい)」の回答も全体の8割を超えており、低学年向けの「キャリア教育」・「キャリアガイダンス」への学生の意欲は高いといえます。

低学年向けのキャリアガイダンス参加経験者の意識

それでは、低学年向けの「キャリア教育の授業」や「キャリアガイダンス」への参加経験の有無にフォーカスしてデータをみてみましょう。

前段の、「やりたい仕事についてのイメージができているか」を参加経験の有無で比較すると、参加経験有の83.6%が「イメージがある」と回答、一方参加経験無しの学生は14.8ptも低い68.8%でした。また、「イメージがある」と回答した中でイメージのある仕事に、「(とても+ある程度)向いている」との回答も参加経験有は72.6%と経験無しの学生よりも7.0pt高い結果となりました。「キャリア教育の授業」や「キャリアガイダンス」に参加したことで、将来の仕事についてイメージができ、さらに、適性についても考えることができるようになっています。つまり「キャリア教育の授業」や「キャリアガイダンス」への参加によって、早期から自己分析を行う機会が与えられたのです。

今後、低学年のうちに受けておきたいガイダンスの内容についても、参加経験有は「就職活動に関する知識」が50.7%(無し43.2%)、「どんな仕事が自分に向いているか」48.9%(無し43.5%)、「インターンシップについて(メリットや参加方法、注意点など)」47.6%(無し37.9%)、「働くことに関する基礎知識(労働法や生涯賃金についてなど)」47.2%(無し37.4%)、「世の中にどんな仕事があるか(業種や職種の説明)」40.1%(無し29.6%%)などがいずれも4割を超えています。言い換えれば、就職についての知識全般はもちろんのこと、業界、職種、自己分析などについてより知りたいと考えており、就職活動に対して既に一歩を踏み出しています。参加経験無しの学生で、「知りたいことは特にない(7.7%)」が参加経験有の回答を4.8pt上回っていることは、就職活動や社会に出て働くことを意識する機会が少ないからなのでしょう。

「将来やりたい仕事のためにやっている(既にやったを含む)こと」に対する回答では、「資格取得や、そのための勉強」(51.6%)がトップで参加経験無しの学生(38.3%)との差が13.3ptと大きいこと、将来の就職活動のための「準備を既に始めている」+「そろそろ始めようと思っている」(参加経験有49.1%、参加経験無し26.5%)では、倍近い差が出るなど参加経験有の学生の働くこと(就職活動)への意識の高さがわかります。

低学年からのキャリア教育(正課)は、キャリアを意識する上で重要なファクターとなる

期間の短いスケジュールの中で、就職活動を効率的かつ有効に進めていくには、広報活動解禁の3月までに自己分析、業界・仕事研究、企業研究、などを仕上げておくことが肝要です。低学年からキャリア教育・キャリアガイダンスを受けることで意識を高め、早期から職業観を形成して自己分析や業界・仕事への理解、企業研究を進めていけば、期間が短い中でも焦らずに就職活動に臨むことができるでしょう。

売り手市場である現在においても低学年からのキャリア教育の役割はとても重要で、今年大学へ入学した1年生にも積極的に参加してほしいものです。

文部科学省「学校基本調査」

厚生労働省・文部科学省「大学等卒業者の就職状況調査

マイナビ大学生就職内定率調査

キャリア・就職支援への取り組み調査

2018年マイナビ大学生低学年のキャリア意識調査