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ジョブ型雇用の課題とは?日本におけるジョブ型雇用の展望を解説

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ジョブ型雇用は、職務内容・責任・報酬を職務単位で定義し、その要件に合う人材を採用・評価する仕組みです。

マイナビが2021年に実施した「ジョブ型雇用に関する企業調査」によると、新卒採用では28.4%、中途採用では40.8%がジョブ型雇用を導入していると回答。中途採用においてジョブ型雇用制度を導入している企業が多いことが分かります。

しかし、日本の企業がジョブ型雇用を導入・運用するにはさまざまな課題をクリアしなければなりません。

本記事では「日本企業が直面しやすい課題」と「実務で使える対策」、さらに「今後の展望」を中小企業の視点で解説します。

ジョブ型雇用の特徴

ジョブ型雇用とは、職務内容や責任の範囲、労働時間、勤務地などを明記したジョブ・ディスクリプション(職務記述書/JD)を作成し、その条件にマッチした労働者と合意の上で契約を結ぶ雇用形態です。欧米諸国で主流とされています。

ジョブ型雇用では、求めるスキルや能力を持つ人材に絞って採用をしやすいほか、社内におけるスペシャリストとしても育成しやすい特徴もあります。

ジョブ型雇用の詳しい特徴、メリット・デメリットについては、人材マネジメント専門家に聞いた「中小企業が知っておくべき「ジョブ型雇用」の導入適性と実践のヒント」もお読みください。

ジョブ型雇用導入の主な課題

日本企業がジョブ型雇用を導入するには、いくつかの課題が存在します。日本企業がジョブ型雇用を導入する際の主な課題を、現場運用に即して解説します。

日本独自の雇用慣行とのギャップ

日本で主流のメンバーシップ型雇用では、入社してから定期的に異動、ローテーションが組まれることが一般的です。1人の社員が長期的にみてさまざまな社内業務に携わるため、特定の分野に限定されず、幅広い知識や経験を持つ「ジェネラリスト」の育成に向いています。

終身雇用を前提とした日本にマッチした雇用方法であり、ジョブ型雇用はメンバーシップ型雇用とは対をなすものともいえるため、日本の労働環境や文化に合わない懸念があります。

回避策

  • 対象職種を絞り、実務に合わせて職務の範囲を定義する
  • 異動や兼務が発生した際の評価と手当の扱いを就業規則と併せて明文化する
  • 1部署で試行→振り返り→段階的に拡大する

  • ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)作成の難しさ

    ジョブ型雇用では、ジョブ・ディスクリプションを正確に作成する必要がありますが、記載する仕事内容、目標、業務フローなどは細かく規定しなければなりません。企業によっては、人事担当者が仕事内容を細かく把握できていないケースも考えられるため、ジョブ・ディスクリプション作成が難しいケースも多いと考えられています。

    項目例:目的/責務/成果物/権限/必要スキル/評価指標
    作成手順:現場ヒアリング→ドラフト作成→現場承認→法務確認

    人材確保の難しさ

    特定の専門分野に強い人材を採用するジョブ型雇用は、自社にうまくマッチすれば即戦力として期待できます。しかし、少子高齢化社会に突入している日本においては、そもそも労働市場における人材の絶対数が減少しており、特定スキルを持つ人材をピンポイントで確保するのは難しい状況といえます。

    特に、中小企業では業務が多岐にわたることが多く、専門性の高い人材よりも、幅広く柔軟に対応できる人材の方が活躍しやすく傾向にあります。ジョブ型雇用の導入には、慎重にならざるを得ない面があるでしょう。

    対応例

  • 必須要件と歓迎要件を分ける
  • スキル課題や業務に近い課題で実務力を確認する
  • 給与水準(レンジ)を求人票に明示する
  • 採用チャネルを分散し、スカウトや副業・業務委託も検討する

  • 評価制度を構築するハードルの高さ

    日本企業の多くはメンバーシップ型雇用であり、ジョブ型雇用に即した成果主義の制度に、すぐに対応するのは難しいと考えます。例えば、評価者(管理職・マネジメント層)の評価能力も高める必要があるほか、企業の期待する能力やスキルを持っていなかった社員の扱い(降格・再配置)をどのように扱うか、などの検討も求められます。

    運用のポイント

  • 職務等級と給与水準をひも付ける
  • 期初に目標と期待役割を合意する
  • 月1回の1on1で進捗確認と支援を行う
  • 期末に評価のすり合わせ(キャリブレーション)を実施する

  • 現行法との整合性

    日本の労働関係の現行法は、長期雇用を前提としたメンバーシップ型雇用に対応した制度設計となっており、ジョブ型雇用とは前提が異なる部分が多くあります。

    例えば、欧米におけるジョブ型雇用では「職務遂行能力が基準に達していない」「そのポジションの業務が不必要になった」などの理由で契約を終了することが前提となる場合がありますが、日本の現行法では、即座に社員を解雇することは基本的にできません。

  • (労働契約法 第16条より)

  • 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

    そのため、欧米のように解雇も視野に入れたジョブ型雇用は、現行法との整合性が取れず、運用が難しいと考えられます。

    *本項は一般的な情報であり、個別の対応は社労士・弁護士へご相談ください。

    社員の理解・社内コミュニケーション

    従来の雇用形態を変更することは容易ではありません。例えば、年功序列や終身雇用が当たり前と捉える世代の社員にとっては、給与水準や評価、ポジションなどの変更に対して抵抗を感じることも考えられます。

    ジョブ型雇用を導入するには、代表・経営層が強い意志を持って改革することが求められるが、社員の賛成を得られずに独走してしまうと、社員の意欲低下や離職につながるでしょう。

    ジョブ型雇用を導入すると決めたのであれば、導入の意義、メリット、評価制度などを社員へ周知徹底し、時間をかけてでも、社員からの理解を得ることが必須です。

    加えて、管理者・評価者への教育も必要です。ジョブ型雇用では、業務の成果や遂行状況を職務ごとの基準に照らして客観的に評価することが求められますが、そのためには、社員の職務に対する理解や、フィードバック能力、マネジメント力が必須といえます。

    進め方の例

    社内の納得感を高めるため、まずは一部部門での試験導入(パイロット)を前提に、段階的に進めます。

  • 全社説明会で背景と進め方を共有する
  • Q&A集を配布し、相談窓口を設ける
  • 試験導入の目的・期間・対象範囲を事前に明示し、実施後は結果(数値)/学び/次の対応を1枚にまとめ、社内チャット+定例で共有する

  • 導入・運用コスト

    ジョブ型雇用を導入するには、人件費や時間的コストなどを含む、さまざまなコストを伴います。上述したように、ジョブディスクリプションの作成や、それに基づいた人事評価制度の策定などを、職種ごとに検討する必要があります。

    これらの制度を定着させるためには、管理職層への周知や運用体制の整備など、制度全体を支える体制の構築にもリソースを割かなければなりません。ジョブ型雇用を本格的に導入する前に、一部部門での試験導入や効果検証を通じて、コストと効果のバランスを見極めたうえで判断することが重要といえます。

    日本におけるジョブ型雇用の展望

    日本における今後のジョブ型雇用の展望として、どのようなものが考えられるのでしょうか。

    賃金・人材活用の最適化

    ジョブ型雇用では、社員の「職務の内容や成果」を評価する職務等級制度が一般的です。しかし、職務設計や評価制度が整っていなければ、公平性や納得感を欠き、逆に人材流出を招く恐れがあるでしょう。

    こうした課題に対する解決策として重要なのが、「職務の定義の明確化」と「賃金体系の最適化」です。具体的には、社員のスキルや成果に即した職務等級制度を構築し、役割と報酬の紐づけを透明化することが必要になります。

    意欲と能力を持つ若手人材にとって、公平性を感じられる運用を行うことで、モチベーションアップの向上や定着率の改善、生産性の向上につながります。

    ハイブリッド型雇用の導入

    長らく運用されたメンバーシップ型雇用を廃止し、ジョブ型雇用へと切り替えることは、決して容易ではありません。しかし、メンバーシップ型雇用の基盤を残しつつ、ジョブ型雇用の利点を取り入れる「ハイブリッド型雇用」であれば、比較的導入ハードルが低いといえます。メンバーシップ型の基盤を残しつつ、職務定義・評価・報酬をジョブ型へ寄せる運用です。

    具体的には、ジョブ型雇用の中核となる以下4つの要素を、メンバーシップ型雇用に組み込むことで、企業は自社の社員をよりジョブ型雇用に近い形で評価、育成、採用していくことが可能となります。

  • 組織の可視化:業務内容や責任の範囲をより明確にして、適材適所の人材配置とともに、社員1人ひとりのキャリアを伸ばす。

  • 採用の多様化:従来のポテンシャル採用(新卒一括採用)に加えて、特定のスキルや能力、専門性に基づいて採用する「ジョブ型採用」 を取り入れる。

  • 給与の可視化:年功序列から職務内容の評価へと切り替え、それに伴った賃金・報酬体系にする。職種における業界の平均給与などを、自社の報酬体系に反映させる。

  • コースの選択制:研修やリスキリングなどを導入し、社員が自社でのキャリアパスを選択できる環境を整備する。

  • いきなりジョブ型雇用へシフトするのではなく、従来の雇用基盤を残しつつ、徐々にシフトしていくことでスムーズな移行を目指せます。

    今後の法制度・社会動向の変化

    先述した通り、日本では「解雇を規制する法令」があるため、欧米のようなジョブ型雇用に完全に入れ替えるためには、現行法との親和性が課題とされています。今後は、労働契約法や労働基準法の見直しが検討される可能性もあるものの、現時点では明確な改正案は公表されていません。

    社会的には、成果主義・多様な働き方の拡大が背景にあり、企業は職務定義の明確化と、評価制度の整備に注視していくことが重要と考えられます。

    ジョブ型雇用の導入する前に課題を知っておこう

    欧米諸国では主流であるジョブ型雇用は、日本におけるメンバーシップ型雇用とは対をなす雇用形態です。それゆえに、日本の企業が導入・運用するにはいくつかのハードルがあります。

    しかし、ジョブ型雇用の導入により、社内人材をスペシャリストとして育成したり、年齢や年次に関わらず、公平で公正な評価をしたりすることが可能となるメリットは見逃せません。企業の競争力向上や、若手人材の早期活躍が期待できるという利点もあります。

    一部の部署部門からジョブ型雇用の試験運用をはじめたり、メンバーシップ型雇用と掛け合わせた「ハイブリッド型雇用」を導入したりなどの選択肢から、自社に合った方法で導入を検討してみてはいかがでしょうか。

    • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

      HUMAN CAPITALサポネット編集部

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    • 人材採用・育成 更新日:2025/09/09
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