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失敗しないカジュアル面談のやり方|目的設定・注意点・当日の流れ

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最近、「選考の場に“カジュアル面談”を取り入れる企業が増えている」という話を耳にすることが増えてきたのではないでしょうか。

カジュアル面談とは、応募前の求職者と企業が、お互いリラックスした雰囲気の中で情報交換を行う場のことで、相互理解を深めることを目的としています。採用担当者にとっては、自社の魅力を自然な形で伝えられるチャンスにもなり、応募のハードルが高い人材層へのアプローチ手段として注目が集まっています。

当記事では、新卒・中途を問わず採用業務に関わる方に向けて、カジュアル面談の基本や通常の面接との違い、導入のメリット・デメリット、実施の流れなど、すぐに使える実践的な情報をお届けします。

1. 中途採用・新卒採用におけるカジュアル面談とは?

カジュアル面談とは、採用選考の前段階において、企業と候補者がリラックスした雰囲気の中で情報交換を行い、相互理解を深める場のことです。従来は主に中途採用で活用されてきましたが、近年では新卒採用においても導入する企業が増えています。

実際に、マイナビが実施した「2024年卒大学生活動実態調査」では、内々定を得た学生の67.7%が、面談や座談会、交流会などで「入社1年目の業務内容」について話を聞いたことで不安が軽減されたと回答しました。待遇や勤務地、キャリアパスなどの情報も不安解消に有効であり、こうした情報を気軽に共有できるカジュアル面談は、入社後のミスマッチ防止に貢献します。

(出典:マイナビキャリアリサーチLab「2024年卒大学生活動実態調査 (6月)」)

企業側はカジュアル面談では求職者の評価は行わず、求職者に自社の魅力を伝え、応募意欲を高めるとともに、求職者の価値観や志向性を把握できます。選考前に信頼関係を築くための手段として、カジュアル面談は今後ますます注目される採用施策だと言えるでしょう。

2. カジュアル面談と面接の違い

カジュアル面談は選考の一環ではなく、企業と求職者が対等な立場で情報交換を行う場です。対して、面接は応募者を評価し合否を決める選考過程です。具体的には、下記のような違いが存在します。

カジュアル面談

通常の面接

目的

相互理解を深め、応募ハードルを下げるための情報交換の場

採用の可否を判断するための選考

実施タイミング

応募前(企業から打診することも多い)

求職者が応募した後に実施

主な話題

仕事内容・職場環境・キャリア相談など気軽な話題

志望動機・自己PR・職務経歴などの確認

進行の主導権

双方が対等に質問・回答する形式

企業側が主導して質問を進める形式

実施場所

オンライン・カフェ・オフィスなど自由度が高い場所

原則として企業の会議室やオンラインでの実施

雰囲気

フランクでリラックスした雰囲気

緊張感のあるかしこまった雰囲気

両者を混同すると、候補者に誤解を与えるおそれがあるため、それぞれの位置づけを明確に理解しておきましょう。

2-1. 合否の判定に関係しない

カジュアル面談は、正式な採用選考に入る前のコミュニケーションの場であり、合否の判定は行いません。候補者の志望度がまだ高くない場合も多く、選考を目的とした質問や評価を行うのは不適切です。

企業の業務内容や社風を伝え、候補者に自社への関心を持ってもらうことが目的となるので、企業側はあくまで情報交換の場であると明示した上で実施しましょう。

2-2. カジュアルな服装で行う

カジュアル面談は、面接とは異なり服装の自由度が高く、スーツの着用を指定しないケースが一般的です。企業側も参加者に合わせて、ビジネスカジュアルやオフィスカジュアルで対応することが推奨されます。

ただし、カジュアルすぎる服装は企業イメージに影響する可能性もあるため、清潔感のある服装を心がけるとよいでしょう。服装自由とされることで、求職者の心理的ハードルも下がり、より本音に近い対話が期待できます。

2-3. 履歴書や職務経歴書を求めない

カジュアル面談は選考を目的とした場ではないため、履歴書や職務経歴書の提出は不要とするケースが多く見られます。求職者にとっては準備の負担が少なく、参加しやすい形式です。

企業側が事前に求職者の基本情報を知っておきたい場合も、軽いプロフィールの共有をお願いする程度にとどめることが望ましいです。

また、職歴などについて深く掘り下げた質問は面接のような雰囲気につながりやすいので、できるだけ避け、あくまでリラックスした対話を重視しましょう。

3. カジュアル面談を行うメリット

カジュアル面談は、採用活動の中でも特に「相互理解」と「応募促進」を目的とした施策です。面接とは異なる柔軟な形式によって、企業は求職者の本音に近い声を引き出せます。

ここでは、企業と候補者のミスマッチ防止や、潜在層へのアプローチ、動機形成といったカジュアル面談の代表的なメリットを解説します。

 

3-1. 企業と候補者のミスマッチを防げる

カジュアル面談は、選考色を抑えたフラットな対話を通じて、求職者の価値観や希望と企業の実情をすり合わせる場です。選考前に実施することで、企業のカルチャーや働き方を率直に伝えられ、候補者も自身の不安や疑問を率直に共有しやすくなります。

たとえば「実際のチーム構成」「評価制度」「まだ整っていない部分」など、説明会では伝えきれない情報を提供できるので、入社後のギャップ防止につながります。

互いの認識のズレを早期に確認できることから、早期離職のリスクを抑える手段としても有効です。

3-2. 潜在層にもアピールできる

カジュアル面談は、まだ転職を本格的に検討していない「転職潜在層」や、他社からのオファーを受けている求職者との接点を持つために有効な手段です。応募というハードルを設けずに企業と対話できることで、これまでアプローチが難しかった人材にもリーチできます。

また、面談をきっかけに企業に好印象を持ってもらえれば、将来的な選考やリファラルにつながる可能性も高まります。

選考に至らなかった場合でも、企業のファンやタレントプール形成に役立つ点が魅力です。

3-3. 効果的に動機づけできる

カジュアル面談では、候補者の関心や疑問に応じた柔軟な対話が可能なため、画一的な企業説明よりも深い理解が得られやすい特徴があります。1対1で対応することにより、候補者の興味に合わせた情報提供がしやすくなり、企業の魅力がより伝わりやすくなります。

結果として、当初は応募を迷っていた人材が選考に進むきっかけになるケースも少なくありません。質疑応答を通じた信頼形成や共感の獲得が、志望動機を高める大きな要因となります。

4. カジュアル面談を行うデメリット

カジュアル面談は企業と候補者の相互理解に役立つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。面談の目的が曖昧になることで方向性を見失ったり、候補者に過度な期待を持たせてしまったりするリスクなど、以下で主な注意点を紹介します。

4-1. 目的が不明瞭になりやすい

カジュアル面談は自由度が高い分、企業側の準備が不十分だと「何のための面談か」が曖昧になるリスクがあります。話すべき内容や目的が定まっていないと、候補者にとっても不完全燃焼の場になってしまい、面談後に「何を伝えたかったのか分からなかった」「ただ雑談をしただけ」といった印象を与えてしまいます。

担当者ごとの対応に差が出ないよう、基本的な運用方針やガイドラインをあらかじめ整備しておくことが不可欠です。

4-2. 求職者に期待を持たせやすい

カジュアル面談は選考ではないという前提にもかかわらず、企業の説明内容や雰囲気によって、候補者が「内定が近い」と誤解することがあります。たとえば、業務内容やチーム構成の詳細に踏み込みすぎた説明は、候補者に過度な期待を抱かせる要因になりかねません。

情報提供のバランスと、面談の位置づけを明確にする配慮が必要です。

4-3. 選考前の工数が増える

カジュアル面談の導入によって、企業側の採用工数は増加します。

候補者との日程調整や担当者の割り振り、面談後のフィードバック共有など、通常の選考プロセスにはないタスクが発生します。加えて、候補者ごとに対応内容が異なるため、情報の整理や対応品質のばらつきも課題となり得ます。

特にリソースに限りのある中小企業では、カジュアル面談の対応が採用全体の負荷となる可能性があるので、導入の際は実施体制や効率化の仕組みを十分に検討する必要があります。

5. カジュアル面談の進め方

カジュアル面談の効果を最大限に発揮するには、適切な準備と段階的な進行が欠かせません。ここでは、面談を効果的なものにするための事前準備と、当日の流れにおける各ポイントについて解説します。

5-1. 事前準備

カジュアル面談の質は、事前準備によって大きく左右されます。

まず、求職者に向けて自社の概要や組織体制が分かる資料を事前送付しておくと、当日はより踏み込んだ話が可能になります。

併せて面談を担当する社員のプロフィールも伝えておくと、候補者の安心感につながるでしょう。

現場の従業員が同席できれば、業務のリアルな様子やチームの雰囲気を伝えられ、理解促進に効果的です。特に専門職の採用では、同職種の社員の参加が望ましいです。

現場担当者が身に付けるべき面接力のポイントはこちらも参考にしてください。
関連記事:現場担当者が身に付けるべき面接力とは? 採用を成功に導く「見抜く」「惹き付ける」の極意

5-2. カジュアル面談の流れ

カジュアル面談を誰が担当するかは、面談の質や候補者の印象に直結します。面接とは異なり、求職者との信頼関係を構築することが目的のため、話しやすく親しみやすい人物が対応しましょう。

採用担当者が基本となりますが、募集部署のマネジャーや若手社員、現場で実際に働いているメンバーが加わると、企業のリアルな姿を伝えやすくなります。特に「自社の魅力やビジョンを自分の言葉で語れる人」や、「相手の立場に立って対話できる人」は適任です。

その上で、以下のような流れに沿ってカジュアル面談を進行すると、相互理解を深めやすいでしょう。

1

自己紹介

面談の冒頭では、お互いの緊張を和らげるために自己紹介を行います。業務内容だけでなく趣味や人柄にも触れると、信頼関係を築きやすくなります。

2

面談の目的説明

面談が選考ではないと明示し、あくまで相互理解を目的とする場であると伝えることで、候補者に安心感を与えましょう。

3

候補者の現状確認

現在の転職活動の状況や、仕事に求める価値観を確認しながら、候補者にとって必要な情報を提供できるよう話す内容を調整します。

4

企業説明・質疑応答

業務内容や社風、制度などを候補者の関心に応じて柔軟に説明します。質問にも適宜応じながら、双方向の理解を深めていきます。

5

候補者の質問対応

質問が出やすいように声をかけたり、雑談を交えたりしながら、候補者が聞きたいことを安心して話せる雰囲気を作ります。

6

今後の選考案内

応募意欲がある候補者には、当日中に今後のステップや選考の流れを案内します。対応のスピードが印象や意向に直結します。

まとめ

カジュアル面談は、企業と求職者の間に信頼関係を築くための重要なコミュニケーションの場です。選考要素を排除した自由な対話が可能なことから、候補者の本音を引き出しやすく、入社後のミスマッチや早期離職の防止にもつながります。

一方で、面談の目的や位置づけを明確にしないと、候補者に誤解を与えるリスクもあるため、事前の準備や面談担当者の選定には十分な配慮が必要です。

採用活動をより効果的に進めるために、カジュアル面談のメリットとデメリットを正しく理解し、自社の採用方針に合わせて柔軟に運用しましょう。

※当記事は2025年6月時点の情報をもとに作成しています

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

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  • 人材採用・育成 更新日:2025/07/23
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