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IT人材が不足する理由と企業の基本施策|育成・採用・定着のポイント

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昨今の目まぐるしいIT技術の進歩により、企業活動や業務の効率化が進んでいますが、現状では、それらの役割を担うIT人材の供給が需要に追いつかず、深刻なIT人材不足に直面しています。

マイナビの「中途採用状況調査2025年版(2024年実績)」では、正社員の人手不足感が強い職種として、3年連続でITエンジニアが1位でした。また、マイナビの「業界研究レポート 情報通信業界」によると、情報通信業の求人件数は年々増加傾向にあり、2024年では、2019年時点の約1.7倍という結果になりました。

このように、IT人材の不足感が顕著に現れているなかで、企業のさらなる発展や事業拡大に向けて、優秀なIT人材の確保が求められています。

本記事では、IT人材不足の現状、IT人材が不足している理由、企業が取り組めるIT人材不足を解消する対策について紹介します。

IT人材不足の現状

経済産業省の資料「IT人材育成の状況等について」によると、2015年時点のIT人材の供給状況をもとに推計した結果、2030年には最大79万人のIT人材が不足する見通しとされています。本データでは、将来の市場拡大見込みに沿って、高位・中位・低位の3段階のシナリオで推定され、シナリオごとの人材不足の予測は以下の通りです。

  • 市場成長が小さい場合(低位シナリオ):約41万人の不足
  • 標準的な成長の場合(中位シナリオ):約59万人の不足
  • 市場成長が大きい場合(高位シナリオ):約79万人の不足

  • また、厚生労働省の「令和6年版労働経済の分析」によると、IT企業を対象に行われた2022年度のアンケートにおいて、次のような人材不足の状況が報告されています。

  • IT人材の「量」が不足している:85.2 %
  • IT人材の「質」が不足している:86.2%
  • ※それぞれ「大幅に不足している」「やや不足している」と回答した割合の合計

    加えて、日本は諸外国に比べて、IT人材がIT企業に偏在している傾向にあります。

    この偏りを考慮すると、IT企業でさえ人材不足に直面している現状は、非IT企業にとってより深刻な問題と言えるでしょう。IT人材の持つスキルや能力を正しく評価し、採用につなげることは容易ではありません、即戦力となるIT人材を見極めるコツについては、こちらの資料も合わせてご覧ください。

    IT人材の採用難が企業に与える影響

    IT人材の採用難が企業に与える影響として、他社との競争力低下や自社開発プロジェクトの進行遅延といった問題が挙げられます。特に、Webサービスや業務システムの内製化が進む中で、必要なスキルを持つ人材を確保できなければ、開発や導入のスケジュールがずれ込み、機会損失が発生します。また、新しい技術の導入やシステムの更新が遅れることで、顧客ニーズに迅速に応えられず、市場シェアを失うリスクが高まるでしょう。

    さらに、IT人材の不足により既存社員への負担が増加することで、長時間労働や責任が過度にかかる状態が続く恐れがあります。それにより社員のモチベーションが低下し、離職率の上昇を招き、さらに人材確保が困難になるという悪循環が生まれます。

    このような事態が続けば、プロジェクトの品質や納期に影響が出るだけでなく、企業全体の生産性やブランド価値にも深刻な打撃を与えかねません。

    このように、IT人材の採用難は単なる人材不足にとどまらず、企業の持続可能な成長を脅かす重大な課題であり、戦略的な人材育成と採用施策の見直しが急務といえるでしょう。

    IT人材はなぜ不足しているのか

    ここでは、IT人材が不足している主な理由について解説します。

    IT技術の需要が急増

    最新技術の進歩により、私たちの生活や仕事のあらゆる場面でIT技術の活用が当たり前になっています。今後は、従来のITサービス(第2のプラットフォーム:クラウドコンピューティングやモバイルデバイスを活用したサービス))の需要は徐々に縮小する一方で、IoTやAIなどの「第3のプラットフォーム」への投資が急速に拡大すると予測されています。

    こうしたなか、人々の労働環境の変化にも、IT活用が求められています。

  • 紙媒体で行っていた業務を全てDX化して効率化したい
  • 資料の管理、作成、共有などをクラウド上で一元化したい

  • このようなニーズに応えるためには、高度な知識や技術を持つIT人材が求められます。しかし現状では、IT人材の供給が需要に追いついておらず、DX化が思うように進まないという課題が顕在しています。

    IT関連の職業にネガティブなイメージがある

    「エンジニアは残業が多い」「労働環境が長時間で過酷」「夜間勤務がある」など、ネガティブなイメージから、IT職を敬遠するケースがあります。実際に、エンジニア職では突発的なトラブル対応やプロジェクトの納期に追われることが多く、残業が発生するケースも少なくありません。

    さらに、IT業界は人手不足であるため、一人ひとりの業務負担が大きくなりがちです。この悪循環が長時間労働や業務過多といった状況を生み出し、IT人材不足の要因の一つとなっています。

    スキルアップや人材育成に時間がかかる

    IT技術は日々進歩しており、それを扱う人材にも常に新しい知識・スキルの習得が求められます。特に、AIやセキュリティ技術などの分野では専門的なスキルが必要です。こうした専門的スキルは短期間で身につくものではなく、一定レベルに達するまでには相応の時間と経験が必要です。

    そのため、「即戦力」となる人材の育成が間に合わず、現場で活躍できる人材が不足してしまうのも大きな課題です。

    少子高齢化に伴う労働人口の減少

    日本は少子高齢化が進行しており、、労働力の中核となる「生産年齢人口(15~64歳)」は、1995年をピークに減少傾向が続いています。2050年には5,275万人と、ピーク時より3,000万人以上の減少が見込まれています。

    こうした人口構造の変化は、若手人材の減少をもたらし、IT分野のような専門人材の確保を一層難しくします。国内総人口の減少と高齢化に伴い、IT人材不足も今後ますます深刻化すると考えられます。

    企業が取り組めるIT人材不足・定着への対策

    ここでは、企業が実践できるIT人材不足・定着への対策を解説します。

    社内教育制度を充実させる

    人材不足解消の方法のひとつとして、既存社員を自社で活躍できるIT人材として育成する方法が挙げられます。既存社員であれば、自社の業務や職場環境への理解が既にあるため、新たに採用する場合と比べて業務やプロジェクトを円滑に進めやすいといえるでしょう。社員にとっても、スキルや技術の向上は、社内での新たなキャリアパスの構築にもつながります。

    社内教育には、eラーニング、社内研修、資格取得制度などを活用しましょう。また、既存のIT人材には、より高度なスキルや知識を身につけられる研修を実施することで、専門性を高め、業務の幅を広げることも期待できます。

    人材の流出を防ぐ

    いくら社内で育成しても、社員が転職してしまうと育成コストやノウハウが流出し、企業にとって損失となります。そのため、既存社員が定着できる環境づくりが欠かせません。

    転職理由としては「自己成長の機会不足」「将来への不安」などが挙げられますが、これに対して、研修制度の充実やスキルアップ支援、待遇改善、キャリアパスの提示などが有効といえます。

    また、新規採用したIT人材が早期退職しないよう、内定後のフォローや入社後のOJTなども重要な対策となります。IT人材が定着する職場の作り方について、詳しく知りたい人は、こちらも合わせてご覧ください。

    採用力を高める

    IT人材不足の解消には、自社の採用力向上も欠かせません。自社で働くことの魅力やメリットを求職者に明確に伝えられれば、求職者の関心を高めることにつながります。

    そのためには、自社で採用したい人物像(スキル、経歴、資格など)を明確にするとともに、その人物像を具体的なプロフィールに落とし込んだ「採用ペルソナ」の設計が重要なポイントとなります。

    また、業務内容、働き方、待遇、社風といった情報を求人や採用活動を通じて発信することで、ミスマッチ防止と入社意欲の向上につながります。

    働き方・処遇の改善

    労働環境や処遇の改善も、IT人材確保の有効な施策です。例えば、リモートワークを導入することで、遠方に住んでいるIT人材の採用も選択肢に入れることが可能となります。

    自社で導入できるのであれば、ジョブ型雇用やリモートワークといったフレキシブルな働き方を提供できることを、採用活動を通して求職者に伝えられるとよいでしょう。

    また、給与や福利厚生の見直しを行い、業界水準に見合った処遇を提供することも重要です。特に、IT業界ではスキルに応じた報酬体系を整えることで、優秀な人材を引き留める効果が期待できます。

    外注・外部人材を活用する

    社内でIT人材を確保したり、新たに採用することが難しい場合は、派遣社員やフリーランスといった外部人材の活用も有効な手段です。既に経験やスキルのある人材を採用することで、一から教育するコストも抑えられます。

    IT人材は、フリーランスで活躍している人材も多く、自社の業務内容やニーズに合った外部人材を活用することで、業務効率性や生産性向上が期待できます。

    ただし、外部人材を活用する際には、社内の文化や業務プロセスに適応できるかどうかを考慮し、適切なマネジメント体制を整えることが重要です。

    ITツールの導入・DX化の促進

    社内業務にITツールを導入し、業務効率化を図ることも重要な対策です。これにより、社内の貴重なIT人材のリソースを本来注力すべきコア業務に集中できるため、IT人材不足の対策としての効果も期待できます。

    ただし、ITツールの導入やDX化の推進をするには、IT人材の力が必要になることも考えられます。それらの施策に取り組む際には、金銭的・人員的な導入コストを考慮し、段階的に進めることが求められるでしょう。

    オフショア開発を活用する

    オフショア開発とは、自国以外でソフトウェアの開発などを委託することです。例えば、ベトナムやインドなどの国々にある海外企業に開発を外注することで、コスト削減やリソース不足の解消につながります。

    また、場合によっては、海外企業と共同開発を通じてグローバル進出を図ったり、自社にはないノウハウや技術を取り入れたりすることで、自社の競争力を強化することにもつながります。

    一方で、言語の違いや時差、セキュリティ・情報管理などの課題も生じるため、オフショア開発を進める際は、こうしたリスクや追加コストも十分に考慮する必要があります。

    IT人材不足の対策は早期に取り組むことが重要

    少子高齢化や生産年齢人口の減少が進む日本では、2030年までに最大79万人のIT人材が不足すると予測されています。こうした状況のなかで、企業が優秀なIT人材を確保するには、採用力や待遇の向上に加え、社内教育の充実、外部人材の活用といった多面的な取り組みが求められます。

    今後さらに人口減少が進むと予想されるため、IT人材不足の解消に向けた施策には、早期の着手が必要となるでしょう。

    • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

      HUMAN CAPITALサポネット編集部

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    • 人材採用・育成 更新日:2025/08/06
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