IT人材の採用はなぜ難しい?採用を成功させるポイントや、企業事例を紹介
企業がDX化や業務効率に取り組むうえで、IT人材の確保は重要な課題の一つです。政府の資料によると、2030年までに最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されており、人材の確保は今後ますます困難になると見込まれています。現在も、IT人材の採用は年々難しくなっており、採用活動に苦戦している企業も少なくありません。
本記事では、IT人材の採用が難しい理由、採用のポイント、採用の成功事例についてそれぞれ紹介します。
IT人材の採用が難しい理由
IT人材の採用が難しいといわれる理由を解説します。
IT人材不足と転職市場における流動性の低下
IT人材の採用が難しい大きな理由のひとつが、IT人材自体の不足です。経済産業省の資料「IT人材育成の状況等について」によると、2030年までにIT人材の労働力供給が、最大で79万人程度不足すると推計されています。
令和7年3月の「東京ハローワーク 職種別有効求人・求職状況(一般常用)」においても、「IT技術関連の職業(システムエンジニア、プログラマーなど)」の有効求人倍率は3.64倍と、製造や医療などの他の職業よりも高い値となりました。
また、日本では、少子高齢化の影響もあり、若手人材そのものの数が減少傾向にあります。そうしたなかで、企業は自社のIT人材の流出を防ぐため、高待遇や柔軟な働き方など、魅力的な雇用条件を提示する傾向にあります。現在の職場に満足しているのであれば、あえて転職をする理由はなく、IT人材が積極的に転職市場に現れない状況にあるといえます。
マイナビの転職動向調査2025年版(2024年実績)では、「ヘッドハンティングされたことをきっかけに転職活動を始めた」と答えた人は、職種全体では平均2.9%でしたが、「クリエイター・エンジニア」は5.2%と最も高い結果になりました。
このように、IT人材の需要に対して、供給が追いついていない状況に加え、企業がIT人材の引き留めに力を入れる中で、採用市場における人材の流動性が低くなっており、マッチングの難易度が年々上がっています。
関連記事:IT人材不足の現状とその理由とは?企業が取り組める対策を解説
求める人物像の設定が難しい
IT人材と一口にいっても、プログラマー、エンジニア、データサイエンティストなど職種は多岐にわたり、求められる役割やスキルも大きく異なります。そのため、「自社にとってどのような役割を担える人材が必要なの」を明確にすることが重要です。
しかし、職種やスキルの幅が広いほど、求める人物像を具体化するのは難しくなります。さらに、IT人材の採用に関する知見や適切な判断基準など社内に不足している場合、採用活動の精度は下がり、人材確保はより難しくなるでしょう。
「現場が本当に求めているIT人材」について詳しく知りたい方は、こちらも合わせてご覧ください。
IT人材を受け入れられる制度が整っていない
IT系の職種は、他の職種よりもリモートワークが浸透している傾向にあります。内閣府の調査によると、2023年3月時点で、IT業界(情報通信業)は、どの業種よりもリモートワークの実施率が高い(73.9%)という結果が出ています。
そのため、フルリモートワークを導入できていない企業だと、IT人材からの転職希望度を下げる要因につながってしまうといえるでしょう。
IT人材を採用するポイント
IT人材を採用する際のポイントを解説します。
求める人材像とスキルを明確にする
求職者の持つスキルは、採用目的と並んで重要なポイントです。スキルと一口にいっても、例えば、「システム設計」「開発」「作業スピード」など、多岐に渡ります。具体的なスキルセットを明確にすることが求められます。例えば、以下のようなスキルが考えられます。
技術的スキル |
プログラミング言語(Python、Java、C++など)、フレームワーク(React、Djangoなど)、データベース管理(SQL、NoSQLなど)、AI関連スキル( 機械学習(scikit-learn、TensorFlow、PyTorchなど)、深層学習、自然言語処理(NLP)、データサイエンスの基礎知識) |
ソフトスキル |
コミュニケーション力、チームワーク、問題解決能力、クリティカルシンキング |
業界知識 |
特定の業界におけるビジネスプロセスやトレンドに関する理解。特に、AIやデータ分析がどのように業務に影響を与えるかの理解が重要 |
また、最新の技術や知識、業務に関連した専門性はもちろん、他者と協力して業務を遂行するためには、コミュニケーション力、発想力、提案力、マネジメント力など、採用するポジションによって異なる能力が必要です。
「自社でどのような人材を採用したいのか」を明確にすることで、ターゲットとなる人材の関心を引く求人情報の作成や、適切な採用媒体の選定につながります。
例えば、経済産業省の「ITスキル標準(ITSS)」を1つの指標として取り入れたり、IT関連の各種資格所有を採用要件としたりする方法もあるでしょう。すでに活躍しているIT人材が社内にいる場合は、その社員をモデルとして求職者との比較・判断材料にするのもひとつの方法です。
働きやすい環境を整備する
IT人材の中には、ジョブ型雇用やリモートワークをはじめ、フレックス勤務、副業・兼業可能など、柔軟な働き方を求める人が多い傾向にあります。これらの環境が整備できていない場合には、一度見直してみることが重要です。
また、IT人材は、「自己成長やキャリアアップのため」に転職を検討する人が多い傾向にあります。そうしたニーズに応えるためにも、社内研修や学習機会の提供など、自身のキャリアパスを考えられる環境づくりも、働きやすさの観点では欠かせません。
会社とIT人材のニーズのギャップについて詳しく知りたい方は、「IT人材の採用課題・ミスマッチ解決! 職場にマッチする人材を採用・定着させるコツ」も合わせてご覧ください。
自社で働くことの魅力を伝える
IT人材は、業界を問わず多くの企業から採用を求められており、待遇や条件、働きがいや成長機会など、さまざまな観点から転職先を検討します。そのため、企業としては「なぜ自社を選ぶべきか」を明確にし、自社の魅力を的確に伝えることが重要です。自社で働くことによるメリットは、求人情報の中で具体的に示すことが求められるでしょう。
例えば、「研修制度が充実しており、継続的にスキルアップできる」「将来的なキャリアパスが明確である」など、具体的に明示すれば、求職者が働く姿をより具体的にイメージしやすくなります。
複数の採用手法・採用媒体を活用する
昨今では、企業の採用活動に活用できる多様な媒体やサービスが提供されており、採用の目的やターゲット層に応じて、手法を組み合わせることが可能です。特にIT人材の採用においては、ポジションやスキル要件に応じて適切なチャネルを選定し、アプローチを行うことが重要です。
IT人材に特化したサービス |
エンジニアやIT系専門職に特化した転職サイトや人材紹介サービスでは、ITスキルを持つ求職者が登録しているため、専門性の高いポジションとのマッチングがしやすいという特徴があります。 |
ダイレクトリクルーティング |
企業がスカウト型の採用プラットフォームなどを活用し、求職者に直接アプローチする手法です。 |
リファラル採用 |
自社の社員や関係者などから、自社にマッチしそうな人材を紹介してもらう手法です。 |
SNS採用 |
X(旧Twitter)やLinkedInなど、各種SNSを活用して人材を見つける手法です。 |
転職フェア |
IT業界をテーマとした転職イベントでは、複数の企業がブースを出展し、求職者とその場で直接関わることができます。 |
関連記事:転職エージェントとは?企業が活用するメリットや仕組みを解説
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IT人材採用の成功事例
IT人材の採用につながった事例を紹介します。
採用広報に取り組み、企業からの情報発信を強化
アンリミ株式会社では、SES(システムエンジニアリングサービス)を担うIT人材の内定承諾率が低いという課題がありました。その理由としては、企業理念、社長の人柄、社風、入社後のイメージなどが求職者へ正確に伝わっていないこと、業界未経験者の採用も多く、業界イメージと実務内容などに齟齬があったことがあげられます。
そこで、マイナビ転職と連動できる「+Stories. /プラスストーリーズ」を導入。求職者へ、社風を伝えるコンテンツとして「未経験からエンジニアになった社員のインタビュー記事」「社長紹介の記事」などを掲載したことで、未経験者の業界に対するネガティブなイメージの払拭や、企業風土の理解促進につながりました。
結果として、内定承諾率が20%程度から60~80%にまで改善し、無事にIT人材の獲得にも成功しました。
関連記事:企業側から情報を発信することで未経験者の不安が払拭され、低下していた内定承諾率が改善。企業理解が深まる効果も
転職フェアへの出展で採用プロセスを短縮
複数のIT関連事業を展開するアコードワークス株式会社では、その業務内容や案件の多様さから、求職者へ具体的な業務内容を伝えにくいという課題が見つかりました。求人への応募数や内定承諾数の減少が続いた最中で、マイナビ転職フェアにて自社ブースを出展。
転職フェアでは、ブース来場者とその場でコミュニケーションが図れるため、口頭・映像・資料などを活用し、具体的な業務内容の説明ができます。求職者も働くイメージを掴めるようになり、ミスマッチの防止につながったほか、採用工数の削減にも効果的な事例となりました。
関連記事:転職フェアでは、働くイメージが伝わりやすい。母集団形成とともに、ミスマッチ減少と採用プロセスの短縮に成功。
転職サイトと検索エンジンの併用で入口を広げる
IT保守サービス事業などを手掛ける株式会社SHINKOでは、実務に関連した知識や、経歴を持っている求職者を中心に探していました。そこで、マイナビ転職を活用したうえで、マイナビ転職に掲載中の求人原稿の広告を、検索エンジンからの検索でも辿り着けるように出稿を行うことに。
2つの入口を設けたことで、求人情報がより多くの求職者の目に留まり、継続的な人材採用の維持が実現しました。応募のあった求職者へは、スピード感のあるレスポンスに取り組むことで、選考中の辞退率減少や、採用率の強化にも効果的となりました。
関連記事:マイナビ転職+検索エンジンへの広告出稿で求職者と出会える入口を増やす。安定的な中途採用を継続
適切なターゲット設定でIT人材にアプローチを
少子高齢化などを理由に、IT人材の採用はますます難化しています。優秀なIT人材を獲得するには、自社の労働環境や処遇を改善したり、求める人材像・スキルなどをしっかりと明確にしたりすることが求められます。
昨今では、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用、転職フェアなど、さまざまな採用活動、採用媒体を活用できます。自社の採用目的や、ターゲット層にマッチした手法を取り入れることも、採用活動における1つの選択肢として活用してみてはいかがでしょうか。
- 人材採用・育成 更新日:2025/08/07
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