アルムナイ採用とは?メリット・デメリットから導入のポイントまで徹底解説
近年、採用戦略の一つとして注目を集めている「アルムナイ採用」。
ここ数年ですっかり定着した採用市場の「売り手優位」環境による採用難や人材の流動化を背景に、自社を退職した元社員=アルムナイを再び採用する動きが広がっています。
この記事では、アルムナイ採用の基本からメリット・デメリット、成功させる導入ポイントまでを分かりやすく解説します。
アルムナイ採用とは?
「アルムナイ採用」とは、自社を退職した元社員(アルムナイ)を再雇用する採用手法です。かつては「出戻り採用」などと呼ばれていました。
聞き慣れない言葉ですが、 「アルムナイ(Alumni)」はもともと“卒業生”を意味する英語で、そこから転じて企業を卒業した人材を指す言葉として使われています。
人材採用が難しくなっていく中、退職を「縁の切れ目」とせずに一つの「人材プール」と捉え、つながりを維持して採用につなげるのが、アルムナイ採用です。
アルムナイの「一度は自社での勤務経験がある」ことを生かした「信頼できる即戦力人材を確保できる方法」として導入する企業が増えています。
アルムナイ採用が注目される背景
近年、アルムナイ採用が広がる背景には、以下の3つの大きな変化があります。
(1)終身雇用からキャリア自律時代へ
- 転職が当たり前になり、「一社にずっと勤める」時代ではなくなった
- 優秀な人材が多くの企業で経験を積み、さらに高価値の人材として中途採用市場に登場するようになった
(2)採用競争の激化と即戦力ニーズ
- 労働人口の減少により、採用難易度は年々上昇している
- 新卒採用だけではカバーできず、多くの企業で「即戦力」人材の確保が課題となった
(3)「人的資本」の考え方が浸透し、人材への積極的な投資が行われるようになった
- 人材を「資源」とみる考え方(ヒューマンリソース)から、「資本」と捉えて積極的な投資をする考え方(ヒューマンキャピタル)への転換が進行し、退職者とのコネクション維持にも投資がしやすくなった
- 「退職した社員=失われた人材」ではなく、将来の採用資産として捉える考え方が拡大
この背景から、アルムナイ採用は企業の採用戦略の重要な柱になりつつあります。
アルムナイ採用のメリット
アルムナイ採用には、企業・アルムナイ双方にとって大きなメリットがあります。
(1)企業側のメリット
① 採用コストを削減できる
- 自社との関係性がすでに形成されているアルムナイを採用するため、求人広告・エージェント費用が基本的には不要となる
② 即戦力人材を確保できる
- すでに自社での就業経験があるため、業務やカルチャーの理解にかかる時間が最小限で済み、短期間で活躍可能
- 転職後に獲得した新しいスキルや知見を生かし、在職時よりも活躍してくれる可能性もある
③ 採用リスクを軽減できる
- 在職時の業績評価や実績を把握しているため、スキル面でのミスマッチが起こりにくい
- 書類や面接で見極めが困難なパーソナリティも把握できているため、一般的な中途採用よりも選考の不確実性が低い
(2)アルムナイ本人のメリット
- 魅力の再発見:転職によって「前職」を客観的に見る視点を得ることにより、在職時には気付かなかった魅力を再発見できる
- カルチャーミスマッチの可能性が低い:アルムナイ採用で離職した企業に戻る場合、その企業のことを深く理解しているため、カルチャーミスマッチ(社風が合わない)が起こりにくい
- 経験・スキルの還元:転職先などで獲得した経験・スキルを、元いた企業に還元することができる
アルムナイ採用のデメリット・課題
一方で、アルムナイ採用には注意すべき課題もあります。
(1)不公平性への不満・摩擦の再燃
- アルムナイが在職時よりも優遇されると、長期勤続よりも一度退職した方が評価されると感じ、既存社員が不公平感を覚え、モチベーションが低下する可能性がある
- アルムナイ本人が在職時に持っていた周囲との摩擦(人間関係など)が再燃する可能性がある
(2)定着率リスク
- 再雇用しても、前回の退職理由となった要因が改善されていない場合、短期間で再度退職するケースもある
- アルムナイが現在の自社にフィットするかを見極めるプロセスが必要
(3)組織活性化とのバランス
- アルムナイ採用ばかりだと、新しい視点が入りにくくなり、事業継続性が低下することも
- 多様性を損なわないよう、他の採用手法とのバランスが重要
他の採用手法との違い
アルムナイ採用と似ていて混同されやすい採用手法に「ジョブリターン制度」「リファラル採用」があります。
これらは似ているようで、大きく異なるため、違いを整理しておきましょう。
こうした違いを理解しておくことで、自社に合った採用手法を選びやすくなります。
アルムナイ採用を成功させる導入ポイント
アルムナイ採用を効果的に導入するには、制度設計・コミュニティ構築・情報管理の3つが重要です。
(1)制度設計を明確にする
- アルムナイ採用の対象者・評価・待遇条件を明文化し、社内で不公平感が生まれないようにする
- 特に、勤続よりも退職の方が後々評価されると感じられると逆に退職者を増やすことになるので、社員が納得できる透明性のある制度にする
(2)アルムナイコミュニティを整備する
- 退職者向けの専用サイトやSNSグループを活用し、自社との関係性を継続できるよう仕組み化する
- 単にコミュニティを立ち上げるだけでなく、定期的な情報発信・イベント開催などで関係を維持することも重要
(3)情報管理体制を強化する
- 退職後も元社員(アルムナイ)の個人情報を保持することになるため、個人情報取り扱い規定と情報セキュリティ対策の見直しが必須
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アルムナイ採用を導入する際に押さえておきたいポイント
即戦力人材を効率良く確保できる採用手法として注目されるアルムナイ採用。
改めて、導入する際は以下の3点に注意し運用していきましょう。
- 制度設計を明確にする
- コミュニティを整備する
- 情報管理を徹底する
「アルムナイ採用とは何か?」を正しく理解し、自社に適した形で導入・運用することが成功のカギです。
- 人材採用・育成 更新日:2025/10/27
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