経営と人材をつなげるビジネスメディア

MENU CLOSE
0 ty_saiyo__symposium_report00_251022 column_management cp_kyuyoupc_kyuyoc_keieisenryakuc_hatarakikatakaikakuc_chinagec_human_capital_managementauthor_organization_saponet

働き方改革と賃上げの好循環をめざして【賃上げと業績アップシンポジウム 2025】(セッションサマリーレポート)

/news/news_file/file/tn_keiei_t00_symposium_report04_251010_main.webp 1

各分野のプロが賃上げにつながる最新情報やノウハウをご提供
給与アップに取り組む企業の皆さんをバックアップします

政府の働きかけを追い風に、2025年度も引き続き賃上げに踏み切る企業の増加が予測されています。人手不足の昨今、賃金を上げることは、従業員のモチベーションアップ、やる気増進だけではなく、人材流出の防止や優良人材の採用が期待できるなど、企業にとって多様なメリットをもたらすもの。その一方で、賃上げの原資をどう確保するかなど、経営者の悩みはつきません。実際に採用の現場で給与条件が合わずに若手が採用しづらいなどの課題があっても、すぐに改善する手立てがないのが実情です。

そういった厳しい現実を踏まえ、本セミナーでは、「給与アップ応援プロジェクト」の一環として各分野の専門家3名をゲストに招き、賃上げに取り組む企業の皆さまに必要な最新情報を交え、それぞれの専門的見地から講義を展開。3つのセミナーでは、生産性向上や、公的支援(金策支援、補助金や助成金、経営相談サービス、税制優遇など)の活用、働き方改革など、賃上げにつながるノウハウを踏まえ、明日から取り組める改革アイデアについて具体的にご提案いただいています。

各セミナーの詳しい内容は以下のレポートでお読みいただけます。



登壇者の紹介・講演概要


【セミナー 1】
「日本経済と所得向上のために必要なこと」

  • 「日本経済と所得向上のために必要なこと」(レポート#1)
  • 馬渕 磨理子(まぶち まりこ)氏 一般社団法人日本金融経済研究所 代表理事・経済アナリスト

    京都大学公共政策大学院 修士課程を修了。トレーダーとして法人のファンド運用を担う。その後、金融メディアのシニアアナリストを経て、現在は、一般社団法人日本金融経済研究所 代表理事として企業価値向上の研究を大学と共同研究している。上場企業のイー・ギャランティ、楽待で社外取締役を務め、賃上げや企業価値向上に向けた企業経営に参画。2024年に大阪公立大学客員准教授に就任後は企業価値向上について学術研究をしている。2025年は与野党の政治家に「就職氷河期世代の所得や年金に関する政策提言」を数多く行っている。衆議院の財務金融委員会で参考人として意見陳述し、事業性融資の法案可決に寄与した。フジテレビ「Live News α」、 TBSテレビ「Nスタ」、TOKYO FM「馬渕・渡辺の#ビジトピ」などにレギュラー出演中。

講義概要

閉塞感のある日本経済の再生には、従業員のモチベーションと賃上げが不可欠。ビジネスにおける「ときめき」は創造性とモチベーションの源泉であり、従業員の「稼ぐ力」を高める。経営者が現場の声を聞き、人への投資を行うことで、企業の成長と賃上げの好循環が生まれるという、改革支援を進めるなかでの豊富な現場経験を踏まえたお話を伺いました。また、上場企業の賃上げ率開示義務化や就職氷河期世代の賃上げ政策、中小企業向けの価格交渉支援ツールなど、賃上げの追い風が吹くなか、経営者は信念をもって意思決定し、従業員一人ひとりが「ときめく瞬間」を積み重ねることで、日本経済の未来は変えられる。具体的な改革アイデアとともに、明るい展望が語られました。

目次

  • 「どうせ日本は変わらない」を現場から変える賃上げアクションとは?


  • 従業員の稼ぐ力を強くする希望の連鎖


  • 成功する経営者に必要な「5つ」の視点


  • 日本経済の再生を目指すなら、意思決定を経営者の手の中に戻すべし


  • 日本のGDPが伸びてこなかった最大の理由


  • 上場企業の賃上げ気運が強まる好機に中小企業の取るべき攻めの一手

    *就職氷河期世代の賃上げが急務
    *賃上げの原資は価格交渉で確保、ツールの活用でフェアな交渉を目指す

※この講演は2025年8月7日に行われたものです。

【セミナー 2】
「賃金アップに向けた政府政策 働き方改革と賃上げの好循環~中小企業政策を中心に~」

  • 矢田 稚子 氏
  • 矢田 稚子 (やた わかこ)氏 矢田わか子政策研究所 代表・官民連携DX女性活躍コンソーシアム 代表理事

    昭和59年松下電機産業株式会社入社、同社労働組合中央執行委員を経て、平成26年よりパナソニックグループ労働組合連合会 副中央執行委員、電機連合男女平等政策委員長。平成28年から令和4年まで参議院議員をつとめ、令和5年9月より現職。政府においては、賃金・雇用を担当し、令和6年4月からは「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム」において座長を務める。退任後は令和7年5月に「矢田わか子政策研究所」、同年7月に「官民連携DX女性活躍コンソーシアム」を設立し、現在に至る。

講義概要

政府は賃上げ実現のため、中小企業向けの様々な支援策を打ち出しています。しかし、その活用率は10〜20%にとどまっており、非常に「もったいない」という現状報告から講義がスタート。とりわけ賃上げの原資確保のために、政府は中小企業が取引先と積極的に価格交渉できるよう、ガイドラインの策定や調査、相談窓口の設置などでバックアップされ、価格交渉に役立つツールも公的に提供され、その他「賃上げ促進税制」や「小規模事業者持続化補助金」などの支援メニューやIT導入による生産性向上や人手不足解消を支援するサービスなど支援策は多種多様です。国が中小企業のニーズに応じて提供している支援メニューを知り、積極的に活用しない手はない、ぜひとも検討してほしいという強いメッセージをいただきました。

目次

  • 中小企業をバックアップする政府支援を徹底活用し、賃上げを実現する


  • 中小企業が価格交渉を徹底することの経済効果


  • 中小企業庁のリサーチが価格交渉をフォローアップ


  • 労務費も価格交渉の対象に、政府が指針表明


  • 中小企業をバックアップする政府支援を徹底活用し、賃上げを実現する

    中小企業が稼ぐための政府支援策メニュー

    *賃上げ促進税制の拡充及び延長
    *小規模事業者持続化補助金
    *よろず支援拠点
    *下請けかけこみ寺

  • 生産性アップ、ひいては賃上げにつながる省力化投資について

    *ITの専門知識不要、カタログ型注文で省力化投資が容易に
    *DXは業種・規模に関係なく有効、IT補助金などを役立てる

※この講演は2025年8月7日に行われたものです。

【セミナー 3】
「賃金アップに向けた政府政策 働き方改革と賃上げの好循環~中小企業政策を中心に~」

  • 小室 淑恵 氏
  • 越川 慎司(こしかわ しんじ)氏 株式会社クロスリバー代表取締役社長

    日本企業や外資ベンチャーなどを経て2005年にマイクロソフト米国本社へ入社。その後、日本マイクロソフトの役員としてExcelやPowerPointなどの事業責任者を務める。2017年には週休3日・複業を実践する会社を設立し、800社以上の働き方改革を支援。企業向けオンライン講座の受講者満足度は平均96%、行動に移す受講者は95%以上。著書は8年で32冊 『世界の一流は「休日」に何をしているのか』など累計124万部。NHK、TBS、テレビ東京、PIVOT、NewsPicksやReHacQなどメディア出演多数。

講義概要

はじめに、組織を強くし生産性を向上させるには、いわゆる「働き方改革」を進めるだけでなく、「稼げる企業になる」という目的を明確にすることが課題だという問題提起がなされました。その上で改革を成功させるには、まずリーダーが「うなずき」などで共感を示すことで従業員との良好な関係を築き、生産性を高める必要がある。また、単なる時短や育休などの「働きやすさ」だけでなく、承認、達成、自由といった「働きがい」を高める取り組みが離職率の低下や生産性向上に。若手のスキルアップを支援する「学び方改革」も定着率向上につながる、などの見解が述べられ、さらに無駄な会議の削減やAIの活用によって時間を生み出し、その時間を新規事業や人材育成に充てるなども。これらの行動と検証を繰り返すことが重要。それによって「稼げる改革」を成功させることができるという明快で希望あるお話をいただきました。

目次

  • 「稼げる改革」が強い組織を育て、生産性を格段に向上させる


  • トップ5%の企業のリーダーは口角があがっている!?


  • 「働きがい」の高め方


  • 20代30代は「学び方改革」で定着率アップ


  • 会議を変える5つのアクションで時間が生まれる


  • 時間がない中小企業の経営者こそ、AIを使いこなす時代


※この講演は2025年8月7日に行われたものです。

まとめ

シンポジウムで開講したセミナーでは、企業経営の現場や政策識者などそれぞれの専門家をゲストに迎え、賃上げに関わる具体的なノウハウなど、お話を伺いました。各氏は専門的見地から中小企業の経営者の皆様が、組織改革や給与アップの原資確保のために活用できる情報として、生産性向上のポイント、政府の賃上げ促進政策、社内改革の具体例など、具体的な方法論を展開していただいています。共通して強調されていたのは、政府の後押しがあり賃上げの機運が生まれていること、追い風を賃上げにつなげるには、いち早く行動を起こす経営判断が必要だということです。

行動あるのみ。職場環境の改善から、取引先への価格交渉、省力投資、公的支援の申請などなど、業績アップにつながるタスクは膨大ですが、コツコツ実行していくなか、徐々に表れる効果を検証していけば、良い方向に変化していく可能性は大いにある、という明るい未来を示唆する見解を伺えました。 不安定な世界経済の影響で情勢は厳しく、中小企業がすぐに賃上げできる状況ではないかもしれませんが、できるだけ早く行動を起こすこと、それが賃上げ実現に向けて3名のプロが提唱するメッセージでした。

  • Organization HUMAN CAPITALサポネット編集部

    HUMAN CAPITALサポネット編集部

    新卒・中途採用ご担当者さま、経営者さま、さらには面接や育成に関わるすべてのビジネスパーソンに向けた、採用・育成・組織戦略のヒントが満載の情報メディアです。HR領域に強いマイナビだからこそお伝えできるお役立ち情報を発信しています。

  • 経営・組織づくり 更新日:2025/10/22
  • ログイン

    ログインすると、採用に便利な資料をご覧いただけます。

    ログイン
  • 新規会員登録

    会員登録がまだの方はこちら。

    新規会員登録

関連記事