新卒採用プロセスに関するギャップ調査 -求職者・人事担当・現場 におけるギャップの解明を目指して-
少子化、働き方の変化など、「新卒採用」を取り巻く環境は継続的に変化しています。
今回、マイナビ総合研究所は、新卒採用における採用プロセスや価値観等について比較を行うことを目的に、有効回答数総計6,000名を超える大規模調査を実施いたしました。本調査では、求職者(当時の内定者=現在新入社員として企業に入社している方)、現場社員(面接等に関与したことのある社員)、人事担当者(採用プロセス検討に携わる方)の三者を対象に、同様の質問における認識ギャップにどのようなものがあるのかを検討しました。
調査概要
| 調査目的 | 新卒採用プロセスにおける、三者の認識ギャップを把握すること |
|---|---|
| 調査方法 | インターネットリサーチ |
| 調査期間 | 2026年3月 |
| 調査対象 | 求職者(内定者)/現場社員(面接関与者)/人事担当者(採用プロセス検討者) |
| 有効回答数 | 求職者 1,010名 人事担当者 2,421名 現場社員 2,573名 総計 6,004名 |
補足:今回、「人事担当者」(新卒採用について、戦略を検討し実行する業務)、求職者(採用される側の人材)のほかに、「現場社員」についても調査を行っております。
人事担当者が計画した採用計画を実施するうえで現場に立つ(インターンシップやOBOG訪問、応募前からの面談会や採用説明会、面接官等)存在として、人事社員とは別の集団として捉え、調査を実施しました。
以下、調査結果より一部設問について単純集計の結果をご報告いたします。
詳細データや分析による、より学術的なご報告は今後別の記事にてご報告予定です。
(1)応募のタイミングにおける、求職者が重視している価値観と人事・現場が自社の求人へ応募(エントリー)してもらうために重視していることの比較
項目を同一とする設問についての補足:
〇人事担当者および現場社員には、
「新卒求職者に自社の求人へ応募(エントリー)してもらうために、(求職者に伝えること、感じてもらうべきこととして)重視しているもの」について回答を求めました。
これは、エントリーを検討している求職者に対して、企業としてどのような情報を押し出していくべきか、どう感じてもらうべきかを人事担当者及び現場の担当者がどのように考えているかを把握するための質問です。
一方、
〇求職者(内定者)には、
応募するかどうかを判断する段階において、各項目が「自分にあてはまったか」を回答してもらっています。
比較してみると、すべての項目において、現場社員の「当てはまる」と回答した割合は人事担当者よりも低い水準にとどまっていました。
また、多くの項目で現場社員よりも、人事担当のほうが「求職者」の回答割合に近い数値となっています。人事担当と求職者の回答差を比較して人事担当の回答割合の方が高い項目を挙げてみると、差として他の項目間よりは数字は多くないですが、「権限を与えてもらえる(差:7.0pt)」「企業理念への共感(差:5.4pt)」などがありました。人事担当と現場社員の差として大きい項目は、面接官等の仕事姿勢や雰囲気、社内の雰囲気や会社への愛着、教育育成制度等、企業カルチャーや人材に関する項目に多く見受けられました。
本設問においては「募集段階」に特に限定されますが、現場社員と人事担当者の間には、重視する基準や意識に違いが生じている可能性が示唆されます。つまり、人事担当者が募集広報のために「重要だから打ち出したい」と考えていることが現場社員から必要十分に求職者に伝えられているかというと、必ずしもそうではない可能性があるということです。
(2)求職者が「自分にある」と思う能力と、企業が新卒新入社員の活躍に重要だと感じている項目の比較
次に、求職者がそれぞれの項目に対して「自分が保有している」と感じる度合いと、企業(現場・人事)が新入社員の活躍のために重要視している項目の度合いを比較してみます。
表は、それぞれの回答対象別に、項目を度合の合計(保有している/重視している、の割合、実査時には7段階に分けて度合いを聴取しており、上位3選択肢の合計値で比較)順に並べたものです。特に特徴的だと感じた部分に色を付けました。
企業は「コミュニケーション能力」は上位で割合も高い(現場74.1%、人事82.0%)ですが、求職者では8位、55.5%とさほど高くありません。また「主体性」の項目は、企業ではいずれも7割以上の回答者から選択されており、おおよそ中位ですが、求職者では10位(51.2%)と差のつく結果となりました。
(3)採用におけるAIの利用に対する意識
新卒採用において、近年企業の利用、受験者ともに増えているのが「新卒採用活動へのAIの導入」です。こちらに関しては、人事担当が新卒採用にAIを取り入れる目的や現状についてと、求職者がAI面接に抱く印象に関する個別の設問についてそれぞれの結果をご報告します。
〇人事担当(企業)が採用にAIを導入する目的とは
人事担当に、AIを採用活動に利用する目的について「応募」と「選考」に分けて聞きました。結果、いずれも回答者の4割程度が「導入していない」と回答しました。また、特に応募プロセスにおいては選考プロセスよりも「業務の効率化」「コスト削減」を目的に導入していると回答した割合が高い結果となりました。
〇求職者が「AI面接」に対して抱く印象とは
この数年、面接においてAIを活用する企業も増えています。受験する側としての「AI面接」に対しての印象を訪ねたところ、「良い印象(やや良い+非常に良い
を含む)」と回答した割合は「どちらともいえない」「悪い(やや+非常に悪いを含む)」とおおよそ意見を3分する結果となりました。
AIを「自分で」使うことが珍しくない求職者たちの中には、「企業が採用において」AIを使うことに対してもよい印象を持っている求職者が相当数いることが見て取れます。
まとめ
今回、3者間の同項目の設問(応募時に重視していること)を比較して、「求職者」と「人事担当」の間の差だけではなく、「人事担当」と「現場社員(面談や面接で学生に接触する)」の間に、求職者(学生)に応募してもらうために重要だと感じていることの差もあることが印象的でした。
今後、インターンシップ等を通じて求職者となる可能性のある学生に社内を見てもらう、応募前の面談や会社見学を実施する際にあたっては、学生との接触可能性がある現場社員に対して人事担当が先んじて何を伝えるべきかを検討する助けになると考えます。
また今回は単純集計における結果の報告ですが、より詳しく分析を行うことで、具体的にどのような要素がこういったギャップに関連しているのかも明らかになることを期待したいと思います。
また、求職者が「自分が保有していると考えている能力」と、社会人が「新入社員が活躍するために重要だと考える能力」については、単純集計でもはっきりと差が見られました。
今回は順位を拾ってその差を言及しましたが、%で見ると、社会人2者(現場従業員・人事担当者)のほうがすべての項目で高い割合で「重要である」と考えていることがわかります。
企業が応募促進を行う際には、対象となる学生に対して、「入社後に必要となる能力」として学生に伝えたり、「選考時に重視すること」として、採用広報に組み入れることを考えたりもできると考えます。
最後に、AIの新卒採用への活用は、確かに人事担当の業務を「手数的な面」で効率化してくれる可能性がありますが、一方で求職者の企業へのイメージにも留意し、彼らに「見える部分」でAIを使うべきか、またはバックオフィス的な業務としてのAI活用にとどめるべきかについては、企業ごとに慎重な検討が必要ではないかと考えます。採用に留まらない業務全体へのAIの導入等に関しては、他記事・調査でも言及しておりますのでご興味があればぜひご覧ください。
働き方と生成AIに関する定点調査 -人とAIの共創社会はどのようにして成るか-|マイナビ 総合研究所推進室
従業員における生成AIへの認識と利用頻度の関係分析【分析報告】総合研究所推進室
今後も、本調査に関する単純集計データの公開、他設問間での詳細な分析、考察を通して皆様によりお役立ていただける情報共有となる記事やページ等を作成予定です。 お読みいただきありがとうございました。
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- 調査・データ 更新日:2026/05/15
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