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日系企業のアルムナイ活用事例⑧~定年後も緩やかにつながり、活躍し続けるシニアコミュニティのつくり方~(株式会社ニコン日総プライム)

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人材の流動化が進み、退職者との関係性を新たな資産として捉え直す「アルムナイ」の活用が広がっています。その多くは、中途退職者の再雇用(カムバック採用)やリファラル採用、協業や知見交換を主目的とするものです。しかし、株式会社ニコン日総プライムが2026年7月に立ち上げたアルムナイコミュニティは、少し趣が異なります。

同社が主な対象とするのは、65歳の"第2定年"を迎えて会社を卒業していくシニアの方々。「働く意欲のある誰もが働き続けられる社会をつくる」という経営理念の下、卒業後も孤立することなく、緩やかにつながり、活力を持って働き、生き続けられる——そんな場をつくることを目指しています。

これまでもメールや紙の社報を通じた、ごく小さなアルムナイ関係は存在していました。それをマイナビが提供する、組織とアルムナイの新しい関係づくりを支援するコミュニティサービス「YELLoop(エーループ)」で仕組み化し、双方向でフラットにつながれるコミュニティへと育てようとしています。

本記事では、立ち上げの背景と目的、YELLoop導入の決め手、そして稼働直後だからこそ見えてくる運用の工夫について、キャリア開発・事業戦略部長の水谷洋司さんと、立ち上げを実務で担う谷合友梨さんにお話を伺いました。

  • 株式会社ニコン日総プライム 水谷洋司さんのポートレート写真
  • 水谷 洋司さん 株式会社ニコン日総プライム 取締役兼執行役員 キャリア開発・事業戦略部長

    20年以上にわたり人材サービスとキャリア支援に携わり、これまで4,000人超にキャリア開発プログラムを提供。シニア社員の活躍推進とアルムナイネットワークの構築を推進している。

  • 株式会社ニコン日総プライム 谷合友梨さんのポートレート写真
  • 谷合 友梨さん 株式会社ニコン日総プライム キャリア開発・事業戦略部

    2021年4月に営業事務として入社。アルムナイコミュニティでは立ち上げの実務全般を担当。

Q. アルムナイコミュニティを立ち上げた背景からお聞かせください。

水谷さん: まずは弊社の事業についてお話しした方がいいですね。

弊社は、株式会社ニコンを60歳で定年退職された方が所属する人材サービス会社です。ご本人の希望にもよりますが、最長で65歳まで株式会社ニコンとグループ会社の仕事をご紹介しています。

このような事業内容から、企業理念は「働く意欲のある誰もが働き続けられる社会をつくる」としています。そこで、65歳の"第2定年"を迎えて卒業していく方々に、さらに活力を持って暮らしと人生を過ごしていただくための場を持ちたかったのです。

株式会社ニコン日総プライム 水谷洋司さんのポートレート写真

谷合さん: 理想をいえば、いつまでも意欲を持って自律的に働き続けていただきたいと思っています。しかし、社会的にシニアの就業機会はまだまだ限定的です。そのため、現役時代からの人的ネットワークを生かして次の機会をつかんでいかれる方と、そうでない方の差が大きいのです。そこで、多くの方に会社や社会とのつながりを維持していただくための「仕組み」をつくりたいと思っていました。

これまでもメールや紙の社報の送付などを通じた、ごく小さなアルムナイ関係はありました。それを今回、YELLoopで仕組み化して、もっと活気を生み出し、運営も効率的に行いたいと考えたのが、直接的なきっかけです。会社と個人が1対1でつながるだけでなく、アルムナイ同士も横でつながる、双方向かつ緩やかなグループをつくりたいと考えました。

Q. 卒業された方が活力を持って生きていくことを支える、という意味合いが強いのですね。

水谷さん: いつまでもフレッシュでい続けていただくためにも、誰かと会話をする、つながっている、ということがとても大事なので、再雇用よりも「つながり」を重視しています。

もちろん、社内や同じ卒業生の先輩方から、「こういうことができる人はいない?」と私たちにお声掛けいただいて、第2定年後の仕事につながることもあるでしょう。ただ、私たちが目指すのはもっと一人ひとりが自律的に次のキャリア、次の楽しみを見つけていくことのできる環境です。会社が常にその中心にいなければならない、とは考えていません。

むしろ、私たちがいなくても、そういうことが「普通」に起こる環境をつくることの方が、私たちの目指す社会には近づいていくと考えています。だからこそ、OB・OGの方々が横でつながれて、お互いに活力の源になれるような「場づくり」に注力したいと思いました。

谷合さん: 実際、当社では22歳から74歳くらいまで、幅広い年代の社員が一緒に楽しく働いています。お互いのつながりが強く、絆を大切にする社風です。その良さをアルムナイコミュニティにも生かしたいですね。

Q. 数あるサービスの中で、YELLoopを選ばれた決め手は何だったのでしょうか。

水谷さん: 導入に当たっては、私から谷合にプロダクトの調査・選定を託しました。他社のサービスは、どちらかというと中途採用(カムバック採用)に関する機能に強く、規模も大きく、操作が難しそうだ、という第一印象がありましたね。

それらと比べ、YELLoopは私たちのユーザーであるシニアの方々にとっても使いやすそうだと感じられたのが決め手でした。

谷合さん: 私自身、システム関連は苦手な方なのですが、初回の打ち合わせから、ご担当の皆さんの柔らかい雰囲気を感じられたのも良かったですね。本当に初歩的な質問にも、分かりやすい言葉で丁寧に答えていただけて、これなら私にも運営できそうだなと思えました。

株式会社ニコン日総プライム 谷合友梨さんのポートレート写真

メールでお送りした質問にも電話で素早く回答をいただけるなど、しっかりしたサポート体制が期待できたことも良かったですね。一緒に伴走してもらえる安心感がありました。さらに、マイナビが運営されているという信頼性も退職者にご案内しやすいだろうと思えたことが後押しになり、スムーズに決めることができました。

Q. オープンに向けて、どのような準備をされたのでしょうか。

谷合さん: 最大の課題は、シニアの方々がこうしたシステムに慣れていらっしゃらないことでした。その課題をどう解決してシステムに取り込んでいくかを考えたとき、マイナビの皆さんから他社の事例や運用方法、案内チラシの作り方などをいろいろ共有いただけたことが、とても参考になりました。

その上で、当社ならではの「よくある質問集」を作成しました。まず大事なのは、これがどういうシステムなのかをきちんとお伝えすること。特に個人情報の取り扱いを気にされる方が多いので、「登録した方と運営者以外は、誰も見ることができません」ということを、資料の最初にはっきりお伝えするようにしました。不安をまず取り除いた上で、固くなりすぎず、楽しさも感じてもらえる内容を意識しています。

水谷さん: 言葉の壁も工夫のしどころでした。私自身、最初に「アルムナイ」という言葉を聞いたときは「何それ?」というところから始まったんです(笑)。ですから、昔からなじみのある言葉に置き換えてお伝えすることにしました。「オンラインのOB・OG会」とか、「社内のSNSグループ」とか。

その上で、参加した後に楽しみやすいよう、求人情報とニコン日総プライムからの情報発信だけでなく、将来的には趣味のコミュニティも育てていきたいと思っています。やはり、元ニコン社員なのでカメラが趣味の方も多くいらっしゃいますから、ご自身で撮った写真をみんなに見てもらえるような、そんなコミュニティができたらと思っています。

Q. 会員の皆さんに安心して使ってもらうために、工夫されたことはありますか。

谷合さん: シャイな方にとっては、何もない場所にいきなり放り込まれても書きづらいですよね。ですから最初に決めたのは、コミュニティを引っ張ってくださる方をスカウトして、事前に登録・投稿していただくことでした。

社内の推薦で、もともとニコンで人望が厚く、社外でも周囲の方々とつながりをもって楽しくやっていらっしゃる方を2名ご紹介いただきました。

今回の取り組みについてオンラインでお話ししたところ、「いい取り組みだね」と快諾してくださいました。「投稿は1つでいいですよ」とお伝えしたのに、お二人とも2つずつ投稿してくださったんです。

水谷さん: 人選には基準がありました。活躍するシニアのロールモデルであること。ただ、あまり肩書きをお持ちだった方だと、周りが萎縮してしまうこともあります。

だから、心理的安全性を大切にして、あえて"身近に感じる人"を選びました。気軽にコメントを入れられるような雰囲気をつくりたかったので。

入口の段階で「ここはカジュアルに何でも発信したり、交流したりしていい場所なんだ」と伝わることで、後から登録される方も動きやすくなると思っています。

Q. コミュニティをスタートされてみて、現時点での手応えはいかがですか。

水谷さん: 数値目標としては、まず当期末までに登録者50名を一つの目安に置いています。しかし、先に人数だけを伸ばしていっても、「冷めたコミュニティ」になってしまっては意味がありません。

株式会社ニコン日総プライム 水谷洋司さんのポートレート写真

このネットワークは、私たちが目指す「シニアの活躍」を進める上での資産であると同時に、会社としての姿勢を社外に示すものでもあります。私たちがシニアの活躍を推進していることが、他の企業の皆さんにも伝わっていく。そういう意味でも、大切にしていきたい取り組みです。

Q. これから、具体的にどのように情報を届けていきますか。

水谷さん: 私たちは、アルムナイの方々を大きく2つの文脈で捉えています。引き続き働く機会を求める方と、働くことよりも「みんなとつながっていたい」方です。

まず常設のコンテンツとしては、求人情報を出し続けることが一つの軸になります。加えて、皆さんニコンが好きな方がほとんどですから、社内から発信される情報を届けていきたい。

会社を卒業した後に新聞で見るニコンと、会社の中から発信されるニコンとでは、温度感が違いますからね。そうした社内報のような情報が定期的に届くことで、「あの人が辞めたのか、じゃあ久しぶりに連絡してみようか」「そろそろ、また少し働こうかな」といった、交流のきっかけも生まれると思うんです。

まずは安定的に情報を出して、その先に、アルムナイ同士が自律的に活性化していく状態を目指したいですね。

谷合さん: シニアの方の中には、最初は控え目でも、一度お話しし始めると話題が尽きない方もいらっしゃいます(笑)。趣味のページなどを通じて、皆さんが遠慮なく発信できる場をつくっていきたいですね。今後の盛り上がりを楽しみにしています。

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  • 人材採用・育成 更新日:2026/08/17
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