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日系企業のアルムナイ活用事例⑥~KPIは決め過ぎない。「面白そう」から始まった「モトカン」が目指す、 “共創”の土壌づくり~(関西電力株式会社)

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人的資本経営の重要性が叫ばれる中、退職者を「辞めた人」ではなく、「社外のパートナー」と捉え直す動きが加速しています。インフラ企業として長い歴史を持つ関西電力株式会社も、その一つです。

同社はアルムナイコミュニティ「モトカン」を立ち上げ、退職者との新しい関係構築に挑んでいます。しかし、その目的は再雇用よりもむしろ、より幅広い関係づくりに焦点が当てられているようです。

そこで今回は、運営事務局の坂本康様に、コミュニティ立ち上げのリアルな裏側、マイナビが提供するアルムナイネットワークサービス「YELLoop」を選んだ理由、そして多くの企業が悩む「KPI設定」に対する独自のアプローチについてお話を伺いました。

  • 坂本 康 様 関西電力株式会社人財・安全推進室 D&I推進・人財開発グループ

    2021年関西電力入社。法務部門(4年間)を経て、25年から人事部門にてキャリア(中途)・障がい者・一部新卒の採用担当として従事。その他アルムナイコミュニティ「モトカン」の運営事務局を務める。「人が好き」という性格を生かし、現役社員とアルムナイをつなぐハブとして活動中。

Q. まずは、アルムナイコミュニティ「モトカン」を立ち上げた背景からお聞かせください。

最初は、「単純な好奇心」から始まったというのが本音です。ここ数年、日本企業でもアルムナイ(退職者)とのつながりを大切にする動きが活発化していますよね。「面白そうな動きが世の中で始まっているから、関西電力でもまずはやってみよう」という、ポジティブな動機がスタート地点でした。

もちろん、その根底にはしっかりとした目的があります。当社を卒業された方々の多くは、決して会社を嫌いになって辞めたわけではないはずです。退職後に社外で多様な経験を積み、活躍されている彼らを、単に「辞めた人」として関係を断つのではなく、その知見を共有し合い、将来的に新たな価値を一緒に生み出していきたい。そうした「協業」や「共創」の土壌をつくることが、私たち事務局のミッションです。

アルムナイコミュニティに対しては、一般的には「再雇用(カムバック)」のための人材プールとしての役割が期待されていると思います。当社においても、もちろん結果として再入社につながればうれしいのですが、入り口としての目的は「再雇用」ではありません。

まずは「関西電力出身」という共通項を持つ人たちが集まり、ビジネスの種の元になるような「協業」が生まれる環境を目指しています。現在はまだ立ち上げから間もないため、そのための「土壌づくり」に注力している段階ですね。

Q.アルムナイコミュニティのツールとして、YELLoop(エーループ)を導入された決め手は何だったのでしょうか?

私が引き継いだ時には既に導入されていたのですが、実際に運営してみて「これを選んで正解だったな」と感じる点は、大きく2つあります。

1つは「信頼性」です。退職者に「コミュニティをつくったので登録してください」と案内する際、どこの誰が運営しているかが分からないツールだと、個人情報を登録するのに抵抗がありますよね。

その点、YELLoopは人材業界大手のマイナビが運営しているサービスなので、「マイナビさんのシステムなら安心だね」と、案内を受け取る側も心理的なハードルが下がります。これは事務局として非常に案内がしやすいポイントです。

もう1つは、「UI(使い勝手)とサポート」です。マニュアルを読み込まなくても、「5分触れば使い方が分かる」UIは素晴らしいと思います。また、サポートの手厚さも魅力です。私たちが何か施策に迷っていると、担当者の方が「他社ではこんな事例がありますよ」「この投稿はこうした方が見られやすくなりますよ」と、先回りして提案をくださいます。単なるツール提供だけでなく、運営の伴走をしてくれる点は非常に心強いですね。

Q.現在は具体的にどのような活動をされているのですか?

現在は約100名のアルムナイの方々に参加していただいており、主な活動はオフラインでの懇親会(忘年会・新年会など)です。東京と大阪で開催し、まずは「モトカンって楽しい場所だな」と感じてもらうことに主眼を置いています。

参加者からは、非常に好評です。転職して新しい環境に身を置くと、どうしても最初は緊張しますよね。一方で、かつての同僚や「関西電力」という共通言語を持つ仲間との集まりには、独特の「心理的安全性」があります。

「新しい会社未満、昔の会社以上」といいますか、利害関係なくフラットに意見交換ができる、非常に居心地の良いサードプレイスになっているようです。

また、異業種・同職種間の情報交換も活発です。例えば、私は法務出身ですが、同じ「法務」出身でも、今は弁護士として活躍している人、コンサルタントになった人などが集まります。「今の会社はここが良いけれど、関電のここはすごかったんだな」といった話で盛り上がったり、そこからビジネスの相談が生まれたり。

実際に、アルムナイの方々同士で仕事上の付き合いが始まった、という事例もあるようです。

Q.アルムナイ制度は「KPIの設定」や「社内理解」に悩み、立ち上げに二の足を踏んでしまうという声も聞かれます。御社ではどのように目標設定をされていますか?

私の個人的な考えですが、「最初からガチガチに計画を立て過ぎない」ことが一番大切だと思っています。
もし私たちが立ち上げ当初に、「年間5名の再雇用」といった明確な数値目標(KPI)を掲げていたらどうなっていたでしょうか。おそらく、その数字を達成するためだけの活動になってしまい、今のような「楽しそう」「何か一緒にやろう」という自由な発想や広がりは生まれなかったと思います。

特に当社のような大きな組織では、一度計画を固めると変更が難しい側面もあります。だからこそ、「とりあえず始めてみる」「走りながら考える」というスタンスで余白を残しておくことが、結果的にコミュニティの可能性を広げることにつながっています。

もちろん、企業の活動としてコストをかけている以上、長期的には成果が求められます。
ただ、それは必ずしも直接的な「再雇用数」だけではありません。私が今注目しているのは「アルムナイによるリファラル(紹介)」と「ブランディング」です。

アルムナイが「関電ってやっぱり良い会社だったな」と思い続けてくれれば、彼らの周りに転職を考えている優秀な人材がいたときに、「関電はお勧めだよ」と紹介してくれるかもしれません。「辞めた後も良い関係が続く会社」という事実は、採用ブランディングにおいても強力な武器になります。

無理に再雇用を狙うのではなく、アルムナイが当社のファンであり続けてくれる状態をつくること。それが巡り巡って、採用やビジネス協業という成果につながると信じています。

Q.最後に、今後の展望をお聞かせください。

今後は、全社規模の集まりだけでなく、もう少しセグメントを分けた交流も仕掛けていきたいですね。

例えば「人事部門の同窓会」のように、特定の専門性や部署に絞った集まりです。共通の話題も多くなりますし、より具体的なビジネス協業の話も生まれやすくなるでしょう。現役社員にとっても、社外で活躍するかつての先輩・後輩から刺激を受ける貴重な機会になるはずです。

アルムナイコミュニティの運営に正解はありません。だからこそ、まずは担当者が楽しみながら、走りながら、自分たちなりの「形」をつくっていく。それが成功への近道ではないでしょうか。

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  • 人材採用・育成 更新日:2025/12/26
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