日系企業のアルムナイ活用事例⑤ 〜グループ横断の「財務アルムナイ」コミュニティが、事業に新たな広がりをもたらす〜(NTTファイナンス株式会社)
30万人超の従業員を擁するNTTグループ。人材流動性の高まりや人的資本経営が注目される中、2023年12月にグループ横断の「NTTグループ財務人材アルムナイコミュニティ」を立ち上げました。
「財務」という専門性を軸に、共通の知見や課題を持つ人々が集まり、再入社だけを目的とせず、ライフステージに応じた協業や知見交換など、多様な価値を生み出せる場として緩やかにつながり続けていく。オンラインとオフラインを組み合わせながら、そんな持続的な関係性の構築をめざして運用されている点が、このコミュニティの大きな特徴です。
今回は、財務人材アルムナイコミュニティの事務局であるお二人、NTTファイナンス株式会社の牧元響也様、木戸智也様にお話を伺いました。
Q. なぜ、職種(財務)に特化し、かつNTTグループ横断のアルムナイコミュニティを立ち上げようと考えられたのでしょうか?
昨今の雇用情勢の変化を受けて、当グループの財務分野でも新卒採用だけでなく、専門性を有した経験者を採用する動きが加速しています。
そうした中で、当グループで財務を経験された方々が、退職後も他社の財務部門や会計事務所、コンサルティングファームなど同じ専門領域で活躍されていることに注目しました。
中途退職されたアルムナイの方々と、時間が経過しても緩やかにつながることができる関係性が築ければ、将来的な採用に限らず、情報交換や連携という多様な形での協業も可能になるのではと考えたのが、きっかけの一つです。
また、「財務」という職種そのものが、企業の垣根を越えた共通言語を有していることも大きなポイントでした。
当グループは従業員数30万人を超える大きな組織ですが、財務分野では各グループ会社の財務部と当社(NTTファイナンス)が連携して業務を実行しているため、現場ではすでに会社を超えた横のつながりが形成されています。
このような理由から、当グループの財務領域は退職後でもアルムナイ同士が話題を共有しやすく、コミュニティ化との親和性が高いと考えました。
Q.アルムナイの方々に注目された背景には、グループで働く従業員のキャリア観の変化もあったのでしょうか?
2023年度に、当グループが事業変革と新事業領域拡大を強力に推進し、幅広い分野で新たな価値を創造・提供していくために、新たな人事給与制度を導入しました。
これにより、社員が高い専門性の獲得に意欲を持ち続けながら、キャリアビジョンの実現ができるよう年次・年齢や在級年数ではなく、「専門性」を重視して評価や給与・人事異動が決まる仕組みとなりました。社員が専門性を意識しながら、自律的なキャリア形成を行うことができるように変化してきています。
こうした背景からも、専門性の高い財務領域において、そのスペシャリスト同士をつなぐアルムナイコミュニティには価値があるのではないかと考えたのです。
また、以前は中途退職の方々との公の接点はありませんでした。だからこそ、グループを横断した「財務」特化のアルムナイコミュニティをつくるという新しい挑戦に価値があったと思います。
Q. 現在、どのような方針でアルムナイコミュニティを運営され、どのような効果を感じていらっしゃいますか?
私たちのアルムナイコミュニティでは、「退職と同時に、一度は途切れたアルムナイとの関係を新たに構築すること」を第一の方針として運営しています。
具体的には、マイナビのアルムナイ活用支援サービス「YELLoop」のプラットフォームを活用した、オンラインでの情報発信と年2回のオフライン交流会が主な取り組みです。
オンラインでの情報発信は、NTTグループの最新トピックスの共有や、アルムナイの方々・グループ各社の財務部長などへのインタビュー記事の掲載などを実施しています。
再入社を促進するのではなく、緩やかにつながりながら、コミュニティの方々にとり新しい情報や考え方を獲得できる有益な場になることを意識し、長期にわたる関係構築をめざしているところです。
Q. そのような理想がある中、YELLoopを選んだ決め手は何だったのでしょうか?
他のアルムナイコミュニティサービスは「再雇用」に特化されて設計されているものが多い中で、YELLoopは使い方の自由度が高く、「緩やかに、長くつながる」ことを実現できそうと感じたのが一つの決め手です。
また、導入からコミュニティ運営全般に対する手厚いサポートを受けることができる点も魅力的でした。実際、いつも丁寧にサポートいただき、感謝しています。
加えて、ビジネスの話などセンシティブな話題を扱うことも想定していたので、高セキュリティ環境であることも条件の一つとして挙げていました。その点でもYELLoopは、当グループのセキュリティやガバナンスの基準に合致しており、非常に安心して利用できる点も、導入の決め手の一つになりましたね。
Q. オフライン交流会では、どのようなコミュニケーションが取られているのでしょうか?
オフライン交流会は、オンラインを通じて緩やかにつながったアルムナイの方々とより深い関係性を築いたり、新たな出会いの機会として開催しています。2025年の2月には、第3回目の交流会を開き、コミュニティ全体の4割程度の方にご参加いただきました。
「かつて同じ部署だった方と再会できた」「職場は違ったけれど、同じプロジェクトに関わっていたことが分かって驚いた」などの声が聞くことができ、私たちとしても大変うれしく思いましたね。
また印象的だったことは、「財務」という共通領域でつながるからこそ、初対面でも共通の話題があるため、すぐに打ち解けられていたことです。現在はそれぞれ別の職場にいる皆さんが、財務という共通項からそれぞれの知見を交換し合い、AIなど最新技術の活用状況についての議論をされていたりしました。
実際、そのような交流の中から、個人でコンサルティング業を営んでいる方と当グループとの間に新しいビジネス連携が生まれるなど、具体的な成果も生まれつつあります。
Q. なぜ、アルムナイ採用を前面に出さず、“緩やかなつながり”を重視しているのでしょうか?
NTTグループ退職後も、財務分野の第一線でご活躍されているアルムナイは数多くいらっしゃいます。設立前のヒアリングでは、皆さん退職理由はさまざまですが、当グループ自体にネガティブな感情を抱いているわけではないことが分かりました。
また、財務は法改正への対応という業界共通の課題も多く、再入社という形以外でも多様な協力関係を築ける領域です。だからこそ私たちは、アルムナイが持つ「かつての仲間とのつながりを維持したい」という自然な気持ちに応えることを重視しました。誰もが気軽に参加できる、そんな「緩やかなつながり」こそが、コミュニティの永続的な発展につながると考えたのです。
もちろん、キャリアや働き方の優先順位は、ライフイベントなどにより変化します。そうした変化の際に、「居心地のいい、長く関われるコミュニティ」があれば、相談や再度の関係構築をしたいときに、自然に声を掛けられる「窓口」にもなり得ると考えています。
この「緩やかなつながり」は、既に具体的な成果も生んでいます。先ほどお話しした新しいビジネス連携に加え、実際に当グループへ再入社された方もいるのです。その方は、他社を経験しライフステージが変化したことで、当グループのワークインライフが実現できる環境に、改めて魅力を感じられたそうです。
Q. 今後、このアルムナイコミュニティをどのように発展させていきたいですか?
2023年12月にこのアルムナイコミュニティを立ち上げて、そこから半年で30名、現在はさらに登録者数を伸ばしています。
今後は、オフラインの交流会だけでなく、オンラインの交流会の開催などを通じて、ネットワークを広げるとともに、アルムナイ同士やNTTグループとの財務に限らない新しいビジネスの創出や共通の課題に対する対応など、個人だけでなく、その先の企業間でもつながる機会の場となればうれしいですね。
- 人材採用・育成 更新日:2025/10/16
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