日本全国の学生たちを取材して見えてきた!
採用担当者が押さえておくべき学生の変化
採用活動において、以前のように母集団を獲得することや、内定承諾まで進んでもらうことが難しくなった……と感じる採用担当者の方は多いのではないでしょうか。
その背景にあるのは、「売り手市場」だけではありません。学生の志向や行動もまた多様化しており、その姿を正しく捉え、自社の採用戦略に生かしていくことが求められています。
本記事では、コピーライターとして企業の採用広報にかかわる傍ら、学生に向けた就職活動の支援を行っている北 道高さんが登場。2026年卒業予定の内定獲得者を中心に、日本全国の学生との対話や取材を通して発見した「学生の3つの変化」について、実際の事例を交えて寄稿していただきました。
採用成功の秘訣は、まず相手を正確に知ることから。リアルな学生の変化を感じてください。
採用と就活の最前線を知る立場から
初めまして。コピーライターの北です。まずは、僕の自己紹介です。
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株式会社ファンクラブ代表。コピーライター/クリエイティブディレクターとして、グローバル企業から地方の中小企業まで、これまで数百社の新卒採用に携わってきました。
また、マイナビが運営するメディア「START」にて、学生と一緒に採用サイトを楽しく見て回る「カンパニークルーズ」といったオンラインイベントを企画・運営するなど、採用と就活の両方の最前線で企業と学生のリアルを見続けています(写真は、カンパニークルーズの司会の時の衣装です!)。
今年は新たに2026年卒業予定の学生を20名以上取材させてもらい、彼ら・彼女らがどのように就活をスタートし、どういったプロセスを踏んで内定を獲得したのか。その途中で、どんなことを意識し、どんなふうにどんな決断をしていったのかといった心の内をたくさん聞くことができました。
その中で驚いたのは、数年前の学生と比べても、さまざまな点で今の学生に変化が起こっていたことです。採用の世界に長くかかわる僕自身、徐々に変わってきたと感じるものもあれば、ここ1〜2年で急激に変化したと思うものもありました。
この変化は企業と学生のより良いマッチングを図る上でも、企業の採用担当者、特に幅広い学生の情報を得にくい中小企業の採用担当者に伝えておくべきなのではと思い、本企画にて変化のポイントをまとめました。ぜひ、皆さんのこれからの採用活動にお役立てください。
取材から見えてきた学生の3つの変化
今回は、大きく3つの変化をご紹介します。1つ目が、「就活の進め方の変化」。2つ目は、「情報収集における変化」。そして、3つ目が「働くことの価値観の変化」です。それぞれ、具体的なエピソードを紹介しながら、変化の中身に迫っていこうと思います。
1.就活の進め方の変化
採用活動が一斉解禁だった頃とは大きく異なり、「この時期の学生は、この媒体を見て、その上でこのイベントに参加して…」といった就活の型はなくなりつつあります。
また、都市と地方の違いや自身のキャリアに対する解像度の違いによっても、学生の進め方に違いが出ていることも取材を通して感じることができました。
ここでは、2人の学生のケースを紹介します。こうした学生の変化を頭に入れながら、「自分の会社を受けに来る学生は、どういう就活の進め方をしているだろう?」とイメージしたり、実際に確認したりしてみると良いと思います。
● SNSを使った就活サービスに登録し、直接、オンライン説明会に参加した理系学生
ある理系学生は、SNSを使った就活サービスに登録し、「説明会に参加しませんか」というオファーがあったものを中心に選考に進んだそうです。しかも、そこから採用サイトを経由せず、直接オンラインの説明会に参加することが多かったと教えてくれました。
理由を尋ねると、「採用サイトを見るより、楽に企業のことを知れるから」とのこと。ただし、その説明会自体が長かったり、話の内容がつまらなかったりした企業は途中で離脱したそうです。一方で、最後まで候補として残っていた企業は「自分の専攻とは関係なかったけれど、人事の説明がとても面白かったから」だそう。
ここ数年、説明会の役割が変化しているとは感じていましたが、「初期の判断材料として、採用サイトよりも先に説明会を使う」という学生と出会ったことで、改めて説明会のつくり方を考え直さなければと思いました。また、自分に合った就活サービスを使い分けている学生が多くいることも、取材を通して感じた変化の一つです。
● マイナビ主催の合同説明会に参加し、偶然の出会いから選考、内定に進んだ学生
一方、就活の第一歩としての合同説明会は根強い人気があります。これはあくまで主観ですが、合同説明会に参加する学生は、地方(地元)での就職を考えている人が多かった印象です。
また、自己分析をしても、自分自身の興味や向き不向きがいまいち分からない学生、そこから次の一歩をなかなか進めない学生からも、「合同説明会での偶然の出会いのおかげで前に進めた」といった声を聞くことができました。就活の変化とともに、就活の多様化も頭に入れておくことが大切です。
2.情報収集における変化
皆さんは普段の生活で、どのくらいWEBサイトを見たり、文章から情報を得たりしていますか?それは数年前と比べてどうですか?
今年50歳になる自分自身でも、圧倒的に動画コンテンツやSNS、最近ではAIなどを使って情報収集をしています。新しいものを躊躇なく取り入れる学生ならなおさらでしょう。
また、そうした学生たちにとっては、これまでの情報提供のやり方が思っている以上にハードルになっていることもあるのです。ここでも2人の学生の取材に代表される変化を紹介します。
● 「採用サイトは使いにくい…」「どこから見ればいいの?」と答える学生
マイナビが主催する大学生向けのオンラインイベントで、さまざまな採用サイトを学生たちと一緒に見て回っていると、「採用サイトは使いにくい…」「どこから見ればいいの?」という声を事前事後のアンケートなどから目にする機会が増えています。
先ほどの理系学生も、「楽に情報を得るために、オンラインの説明会を利用する」という話をしていましたが、実は今の学生たちにとってWEBサイトそのものにあまりなじみがありません。したがって、採用サイトも想像以上に使い慣れていないものだということに気付かされました。
もちろん、これからも情報プラットフォームとしての採用サイトは重要だと思いますが、学生との初期接点でのコミュニケーションは、読むより見るもの、UIが分かりやすいものへと工夫する必要があるのではと思います。例えば、若手社員にショート動画を制作してもらって掲載するなど、トレンドを意識した情報提供に挑戦することも大切です。
● 実際に自分が見聞きしたもの、発見したものを信頼する学生
企業の採用広報物に対しては、少し前から「良いことばかり書いているのではないか」と懐疑的に思う学生が増えてきたなという印象を持っていました。
就活で失敗したくない学生たちは、口コミサイトなどもよくチェックしますし、少しでもリアルな情報を得たいと思うのも当然です。取材からも、企業のリアルな情報を得るため、学生たちが自分なりにさまざまな情報収集術を駆使していることが分かりました。
例えば、ある学生は、企業の人間関係の良さを知るために、説明会そのものではなく、社員同士のコミュニケーションに注目していました。
一人の社員が話している時に、他の社員がどんなふうに聞いているか。その様子から会社の人間関係の良さをチェックするというのだから驚きです。どんなに説明会スライドで「アットホームな職場」とアピールしても、その説明をする社員の横で何も聞かず黙々とPCで作業する社員がいては台無しというわけです。
また、インターンシップ先で出会った別の会社の人に憧れて、志望する業界自体を変えた学生とも出会いました。インターネットやSNSで情報があふれ返っている現代。「リアルに出会った人の情報」という価値は以前にも増して大きくなっていると感じます。
そこで、説明会などでは社員と本音でフランクに話ができる時間を増やしたり、オフィスをある程度自由に見学できる機会を設けたり。参加した学生たちに「自分でリアルな情報を手に入れたぞ!」と思ってもらえる機会の提供が大切になってくると思います。
また、学生はこちらが想定していないところにも注目しています。「隠せない」「ありのままが評価される」と思ってコミュニケーションに臨みましょう。
3.働くことの価値観の変化
終身雇用が崩壊し、転職や副業も当たり前になりました。おそらく、企業と働き手の関係はよりフラットなものになっていくでしょう。そうした影響もあり、就活に臨む学生も働くことに対する価値観が大きく変化、多様化しています。
今回は、その中でも特に知っておいてほしいケースを2つ紹介しますので、ぜひ覚えておいてください。
参加した学生からしたら「聞きたいのは、そこじゃないのにな…」と興味を喚起できないまま、お互いにご縁がなく終わってしまわないよう、価値観の変化を意識しながら、コミュニケーションを組み立てていきましょう。
● あえて規模の小さなグループ企業への就職を選択した理系の大学院生
取材をした学生の中に、化学系の大学院2年生がいました。彼は最初、大学時代の学びを生かし、大手の化学メーカーを志望していたそうです。
しかし、「自分自身が働く上で大切にしたいことは何か?」を自問した結果、「若いうちから多様な業務や人と携わり、人としての経験の幅を広げたい」という答えにたどり着きました。
そして、大きなプロジェクトの一部に携わり、専門性を高めていく大手より、プロジェクトの規模は小さくてもさまざまな業務を経験できるグループ企業を志望したというのです。
「大手だから」「有名だから」という学生もまだまだ多いですが、「こんな企業で働きたい」ではなく、「こんな自分になりたい」という価値観から企業を選ぶ学生が確実に増えています。ぜひ、「うちの会社に入れば、こういう学びや経験があって、こういう成長ができる」ということも伝えてみてください。
● 業界や仕事の内容より、どんな環境でどんな人と働くかが大切な学生
ひと昔前は、「業界→会社→職種→教育制度→働く環境」という順番で企業を絞り込んでいく学生が多くいました。
しかし、取材やアンケートの回答を通して感じるのは、その順番が逆になっている学生が増えているということです。つまり、「働く環境」や「教育制度」から企業を探しており、「何をしたいか」より、「どんな人たちと働きたいか」を重視しているのです。そのため、志望している企業の業界や仕事内容はバラバラという学生も少なくありません。
この世界ではよく「最後の決め手は、人」と言われてきましたが、「最初のきっかけも、人」という学生が増えています。だからこそ、こうした価値観の変化を意識しながら、コミュニケーションの中身や順番を組み立てていきましょう。
企業規模にかかわらず、もっと学生を知るべし
今回は3つのポイントに絞って、学生の変化、学生のリアルを伝えてきました。採用担当者の中には、学生のイメージが10年前、20年前で止まってしまっている人もいるのではないでしょうか。
ここ数年で就活を取り巻く状況や情報収集の方法、そして、学生たちの価値観も変わってきているのです。ぜひ、その変化を意識するようにしてください。
また、こうした学生の変化にしっかり対応すれば、企業の知名度や規模にかかわらず、採用の確度は上がります。採用まで至らなかった場合でも、「あの会社は自分たちのことをよく分かってくれている」と好感度は確実に上がりますし、そうした一つひとつのコミュニケーションの積み重ねが、次の年、その次の年に大きな効果として返ってきます。
取材を踏まえ、予算をさほどかけずにも、簡単に挑戦できることをまとめました。
ぜひ、参考にしてみてください。
凝った採用サイトより、リアルな採用サイト
学生は決して、デザインや仕組みが凝っている採用サイトを望んでいるわけではありません。本当に知りたいリアルな情報がどれだけ分かりやすく整理されているかが大切です。
採用担当者が自分たちの会社や仕事のことをしっかり理解した上で、ポジティブな面もネガティブな面も最新の情報を掲載している採用サイトを目指しましょう。
仕事に求める価値観でマッチングを目指す
学生たちの仕事に求める価値観が多様化しているにもかかわらず、他社と同じような打ち出しをしていませんか。
「こういう人にとっては、最高の職場なのになあ」と思える部分を見つけ出し、その部分のエッジを立ててマッチングを目指しましょう。採用人数が多い企業には難しい戦法だからこそ、中小企業にも勝ち目が生まれます。
最初から最後まで、“人”が決め手となる
仕事に対する思いや、社内の雰囲気といった“人”の部分は、企業の大小にかかわらず、勝負できるポイントです。
学生たちもリアルな交流から、「どの会社の人たちが、自分に合うだろう」と探すようになっています。オンライン説明会やインターンシップ、学内セミナー、合同説明会など、リアルな接点こそ“人”を生かしていきましょう。
採用担当者はモチベーションを上げるプロに
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます。
最近の学生の変化、学生のリアルについて、関心を持っていただけましたでしょうか。
私自身、こうした就活の変化、情報収集の変化、価値観の変化によって、採用担当者に求められる役割やコミュニケーションも大きく変わると思っています。
企業のことや仕事のことを聞きたいだけなら、AIに聞けばいいという時代がすぐそこに来ています。そうした中、学生がわざわざ企業の説明会に行く理由をどれだけつくることができるか。参加した学生に「ああ、この説明会に参加して良かった」と思える体験をどれだけ提供できるか。
もっと言うと、「あなた」という採用担当者と会って、話を聞いた学生が、「この会社で働いてみたい」「この仕事をしてみたい」とモチベーションが上がることこそが、採用担当者のゴールになっていくと思うのです。
さらに、これからの採用担当者、ひいては人事にはもう一つの大切な仕事もあります。それは、学生も、働いている人たちも、心から、「この会社で働きたい」と思える職場環境にしていくこと。
隠し事ができない時代。ありのままを評価される時代。だからこそ、学生に関する情報だけでなく、自分自身の仕事内容もアップデートしてみてください。私たちもそのための支援を、これからも全力で行っていきます。
●生の行動変化をより深く理解したい方には、以下の記事も役立ちます。実際の学生の声や、母集団形成に向けた採用広報の基本を整理した内容をご紹介します。
●HUMAN CAPITALサポネットについて
採用・育成・組織戦略ご担当者さまの課題に寄り添う、 マイナビの情報メディア「HUMAN CAPITAL サポネット」。
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