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【イベントレポート】マイナビ・日経「2027年卒大学生就職企業人気ランキング」表彰式―「選ばれる企業」が語る、学生と向き合う実践と人的資本経営―

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2026年6月11日、株式会社マイナビは、「マイナビ・日経 2027年卒大学生就職企業人気ランキング(※)」の表彰式を開催しました。

※本ランキングは、2027年卒大学生を対象に25年10月1日~26年3月23日に実施。有効回答数は3万4905名。
【マイナビ・日経】2027年卒大学生就職企業人気ランキング | マイナビキャリアリサーチLab

文系総合・理系総合の各1位、全国7エリアの各1位企業を表彰する本式典は、マイナビと株式会社日本経済新聞社が共同でランキング事業を始めて11年となる中で、初の試みです。

狙いは単なる結果発表にとどめず、学生から支持を集める企業が日頃どのように学生と向き合っているのか、その実践を企業自身の言葉で共有してもらうこと。

特別講演には、HR GENESIS株式会社 代表取締役で、元いすゞ自動車株式会社 CHRO人事部門EVPの有沢正人氏が登壇し、「人的資本経営を加速させる新卒採用の再定義」と題して語りました。本記事では、当日語られた内容のエッセンスをレポートします。

学生と向き合う実践知の共有

これまで人気企業ランキングは、学生から寄せられた評価を「結果」として発表することが中心でした。一方で、選ばれている企業が日頃どのように学生と向き合い、どんな工夫を重ねているのか、その内容を企業自身の言葉で発信していただく機会は多くありませんでした。

学生から支持される企業の考え方、実践を共有してもらうことで、より多くの企業が学生とのより良い関係構築を進めるきっかけとし、新卒採用全体の質的向上と市場の活性化につなげたい。本表彰式は、そうした問題意識を出発点に置いています。

背景には、新卒採用を取り巻く環境の変化があります。人手不足が進み、人的資本経営の観点からも、人事・採用部門には、従来以上に戦略的な役割が求められるようになりました。

本表彰式は、学生から高い支持を得た企業の人事・採用責任者が一堂に会し、新卒採用を「コスト」ではなく、中長期的な企業価値創造につながる「人的投資」として捉え直す機会とすることを目的としています。

開会挨拶:マイナビ 渋沢喜一郎 取締役 副社長執行役員

開会に当たり、株式会社マイナビ 取締役 副社長執行役員の渋沢喜一郎が挨拶に立ちました。
日本経済新聞社とともに11年間実施してきた「マイナビ・日経 2027年卒大学生就職企業人気ランキング」について触れ、「これまでは学生から寄せられた評価を結果としてお伝えすることが中心だった」と振り返りました。一方で、学生から支持を集める企業が、日頃どのように学生と向き合い、どのような工夫や取り組みを行っているのかについて、広く共有する機会は多くなく、今回初めて表彰式を開催した背景には、学生に選ばれている企業の知見や取り組みを紹介し、参加者同士が考え合う場を設けたいという思いがあると述べました。

さらに、採用を取り巻く環境の構造的な変化にも言及しました。直近の文部科学省による学校基本調査では、現在約60万人いる大学進学者数が2040年には46万人程度まで減少すると試算されています。また、AIの進化は人材の量だけでなく、企業が求める人材像そのものにも変化をもたらしつつあります。

こうした中、「採用活動は企業の未来をつくる大切な取り組みとして、改めてその意義が問われている」と述べ、人的資本経営が重視される今、人事・採用部門には中長期的な企業価値向上を見据えた役割がこれまで以上に求められているとの認識を示しました。その上で、本表彰式が、学生から支持を集める企業の考え方や実践に触れながら、新卒採用の意義や今後のあり方について参加者がともに考える機会になることへの期待を語りました。

※出典:文部科学省による推計

特別講演 有沢正人氏「人的資本経営を加速させる新卒採用の再定義」

特別講演には、有沢正人氏が登壇しました。銀行からキャリアをスタートし、一貫して人事・採用に携わってきた有沢氏。まず強調したのは、採用に携わる人事担当者こそ人的資本経営を理解しておく必要がある、という点です。学生も企業の人的資本経営への取り組みへの関心が高まっている中、「知らないのは正直まずい」と率直に語ります。

採用担当者が押さえておくべき人的資本経営の視点

まず有沢氏は、人的資本経営の重要な視点として、「経営戦略と人材戦略の連動」を挙げました。その実現のためには、大前提として、目指すべきビジネスモデルや経営戦略と、人材や人材戦略との間のギャップを見える化する必要がありますが、実際にはまだできていない会社がほとんどだと語ります。

有沢氏が提案するのは、経営目標を「因数分解」して共通言語に翻訳すること。例えば「売り上げ30%増」という目標があるなら、そのために必要な人員数、人材スペック、育成リードタイムまで分解し、経営と合意します。金銭価値への換算ロジックが整っていない状況であれば、まずエンゲージメントスコアや必要人員の充足率といった非財務KPIから共有してはどうか、と現実的な一歩を示しました。

新卒採用が持つ3つの戦略的価値

その上で有沢氏は、新卒採用が持つ、人的資本経営における戦略的価値を3点に整理しました。

第1に、組織文化の醸成と継承です。純粋な状態で企業理念を吸収し、次世代の文化をつなぐ「アンバサダー」となることで、組織の基盤が強固になります。第2に、内部調達能力の向上。長期の育成パスの中で、将来の経営人材の候補を計画的に生み出せます。

そして第3に、組織の代謝と革新です。特にこれからの時代において、デジタルネイティブな感覚を持つ若手には、固定概念を覆し、他社には模倣困難な独自性をもたらすことが期待できます。

近年、新卒一括採用か、通年・キャリア採用かという議論が巻き起こっていますが、有沢氏の答えは「どちらが良い・悪いではなく、ハイブリッドが最適解」というものです。

新卒採用は組織の基盤を形成し共通言語を育む「戦略的ベースライン」で、キャリア採用は即戦力・専門性・多様性をもたらす「戦術的補完」。新卒のパーパス志向と、キャリア採用者の卓越した能力を組み合わせる、「両輪の経営」が望ましいと語ります。

人的資本経営の中でも、有沢氏がとりわけ重視するのが、「最適で多様な人材ポートフォリオ」です。多様な人材が集まれば意見の衝突(コンフリクト)が生まれ、そこからイノベーションが生まれます。多様性を担保するという点においても、採用はハイブリッドが望ましいということでしょう。

採用に直結する「情報開示」とは

学生の間でも人的資本経営への関心が高まる中、求職者やステークホルダーに向けて、女性管理職比率や研修費といった単発のデータを開示する企業が多く見られますが、それだけでは足りないと有沢氏は語ります。「なぜこの企業は人材にこれほど投資するのか」を一貫して語れる“ストーリー”があってこそ、採用・育成・組織変革・成果が一本の線でつながり、企業価値にも直結するというのです。

現代の学生は、給与や企業規模だけでなく、パーパスや非財務指標にも極めて敏感です。有価証券報告書の人的資本開示にまで目を通す学生も増えています。

中でも「従業員エンゲージメント比率」「リスキリング・教育研修への投資額」「ダイバーシティ」の3点は、これからの学生が重視する領域です。だからこそ「開示が最強」であり、自ら開示できる立場になくとも、上司や経営に開示を働きかけてほしいと呼び掛けました。

結びに有沢氏は、「新卒採用は単なる人材確保ではありません。企業のDNA、そして未来につながる投資です。皆さんはその最前線にいます」――そう述べ、講演を締めくくりました。

受賞企業9社が語った、採用へのこだわり

特別講演に続いて、文系総合1位・理系総合1位、各エリア1位に選出された企業の表彰とスピーチが行われました。各社が大切にする採用の考え方を、要点とともに紹介します。

文系総合1位 株式会社ニトリ

文系総合で4年連続1位と、圧倒的な支持を集めるニトリ。揺るがぬフィロソフィーとして、「君の夢は、君を創る。」を掲げています。インターンシップでは就業体験はもちろん、その前の「Will(どうありたいか)」を学生とともに言語化する、低学年向けプログラムにも注力しています。他にも、公正採用宣言やハイブリッド型キャリア、通年採用といった画期的な取り組みを続けています。これからは、産学官が連携して一体となり、「学生と社会をつなげ、より良いキャリアを、ひいては社会を共に設計する時代」を実現したいと語りました。

理系総合1位 味の素株式会社

理系総合1位の味の素は、「人財の雑木林のような組織でありたい。だからあなたのままで会いましょう」というメッセージを軸に、採用を展開しています。「採用した人、受け入れる組織、双方を“不幸にしない”採用活動」を方針に据え、入社前後のギャップを生まないコミュニケーションを徹底。リアルを正直に伝えた結果、入社後3年定着率は100%を達成。掲げるメッセージと実際の活動の「一貫性」を、最も大切にしているといいます。

東北エリア1位 アイリスオーヤマ株式会社

コーポレートメッセージ「アイ ラブ アイデア」を掲げるアイリスオーヤマは、ユーザー視点の発想を採用にも生かし、学生視点を生かした採用を実践しています。企業理念の第1条は、「会社の目的は永遠に存続すること」。オイルショック時のリストラを教訓に、以後は社員をリストラしないと宣言してきました。年功序列を排し、年齢・性別・国籍を問わない抜てき人事と、失敗しても再挑戦できる「三車線人事(復活人事)」が文化として根付き、頑張る社員を公正に評価する仕組みを、学生にも率直に伝えています。

関東・甲信越(東京除く)エリア1位 イオングループ

小売をはじめ、金融、不動産、サービス・専門、国際事業まで、多様な事業を総合的に展開しているイオングループ。年間延べ約40億人に上る来店客と事業との結び付きを「社会」と捉え、より良い社会の実現のために成長を続けています。そして採用も、単に人を集めることではなく、社会や未来を自分事として挑戦し続ける仲間との出会いと位置付けています。グループ横断型の合同採用イベントを通じて、学生が業界や仕事を横断的に理解できる機会を提供し、一人ひとりに合った進路や会社の発見につなげています。

北陸エリア1位 株式会社クスリのアオキ

石川県白山市に本社を構えるドラッグストア、クスリのアオキ。北陸で6年連続1位、全体でも文系17位・理系43位を獲得した原動力は、1day仕事体験への徹底した注力です。昨年度は約9,800名が参加し、10点満点で平均9.1という高評価を得ました。参加者には「あなたはなんのために働きますか?」という本質的な問いをかけ、理想の人生を描いてもらいます。そして、その実現のために必要なキャリアから逆算する就職活動を、学生とともに考えています。

関西エリア1位 Sky株式会社

BtoB企業ゆえの知名度の課題に向き合い、テレビCMなどで認知を広げてきたSky。インターンシップの拡充や、学食を100円で提供するといったユニークな施策で学生との接点を増やしてきました。さらにその先で伝えたいのは、「社風」です。等身大で、迎合しないコミュニケーションを互いに取った上で、納得した人に入社してもらう。選考では退職者の理由まで開示し、同じ理由での早期離職を防いでいます。

中国・四国エリア1位 マツダ株式会社

1920年に広島で創立したマツダ。歴史上の数々の困難を地域とともに乗り越えてきた歩みから、「人を思い、人の力を信じる」という原点を大切にしています。前向きに誠実に挑戦を続ける姿勢が、学生の共感につながっているといいます。採用の主軸はインターンシップで、28年卒向けの夏には、13領域・約70のコースを用意。現場で人と仕事にじっくり向き合う体験への評価は高く、本ランキングの結果につながったのでは、と語りました。

九州・沖縄エリア1位 アイ・ケイ・ケイホールディングス

九州・沖縄で4年連続1位のアイ・ケイ・ケイホールディングス。ウェディング事業を中心に展開する会社です。採用活動の信念は「誠実・信用・信頼」、そして「自分以外はお客さま」という姿勢です。学生を選考対象ではなく、「一人の可能性ある若者」と捉え、社員全員で採用活動を行う「全員採用」を掲げます。徹底した個別対応、夢を語る「ファン作り」、苦しい部分まで伝えてギャップを生まない「リアルの開示」を実践し、「人は人でしか磨かれない」という言葉に、伴走型採用への思いを込めました。

新卒採用を、企業価値創造のエンジンへ

「選ばれる企業」が一堂に会した本表彰式では、規模や業種の違いを超えて、共通する姿勢が浮かび上がりました。学生を一人の未来ある人として捉え、リアルを正直に伝え、入社後の成長まで見据える――その実践は、有沢氏が語った「採用は投資である」という思想と確かに響き合っていました。

新卒採用を中長期の企業価値創造につなげる。本表彰式が、参加者の皆さまと読者の皆さまにとって、その実践を始める一歩となれば幸いです。

  • 人材採用・育成 更新日:2026/07/15
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