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2027年卒採用の市場動向をデータで整理するセミナーレポート

/news/news_file/file/A64962_2027年卒 市場動向報告会 ―データで整理する「今」と「これから」_2校_722x306.webp 1

本記事は、2026年4月に開催した「2027年卒 新卒採用市場動向報告会」にてお話しした内容をもとに構成しています。

「市場動向報告会」は、株式会社マイナビが例年4月・7月に開催している、新卒採用市場や学生動向の変化を解説するセミナーです。例年、多くの企業の人事担当の方にご予約いただいており、採用戦略を考える上での情報収集の場としてご活用いただいています。

新卒採用を取り巻く環境は年々変化しており、その年の採用市場に合わせたより戦略的な施策が必要となっています。今回は、2027年卒の採用市場を振り返った上で、今後の採用戦略を考える道筋を整理していきます。

2026年卒 採用市場の振り返り――一言で表すなら「売り手市場×慎重な見極め」

27年卒採用を見ていく前に、まずは26年卒の採用の特徴を振り返っていきましょう。

26年卒採用は、求人倍率が引き続き高水準で推移する売り手市場でした。一方、学生側は「多くの内定を確保する」のではなく、自分に本当に合う1社を慎重に選ぶスタイルへと変化しています。

この変化を象徴するのが「ピンポイント就活」と呼ばれる動きです。

ピンポイント就活は、大きく3つのステップで捉えることができます。まず「早期に絞る」段階では、インターンシップや仕事体験を通じて早期から志望企業を厳選し、エントリー行動は「広く浅く」から「狭く深く」へと変化しています。

次の「深く関わる」段階では、絞り込んだ数社と深く接触し、企業理解に加えてカルチャーフィットも重視します。そして「最後の1社を決める」段階では、複数内定した上での比較よりも、納得感を重視し、志望度の高い企業からの内々定が出た時点で就職活動を終了するスタイルが広がっています。

こうした変化はデータにも明確に表れています。26年卒では内々定「1社」で就職活動を終える学生が62.2%と、前年(41.0%)から大幅に増加しました。

もう一つ注目すべきは、内々定が1社の学生と、5社以上の学生の「十分満足している」割合がほぼ同水準であるという点です。

内定の数よりも「この会社でいい」という納得感こそが、学生の満足度を左右しているといえます。こうした変化を踏まえると、従来の「広く集めて、選考で選ぶ」採用手法は通用しにくくなりつつあると言えます。

採用市場環境の全体像――学生数は横ばい、企業数は増加の一途

ここからは、本題の27年卒の採用市場を見ていきましょう。

まずは、全体の有効求人倍率(パート除く・季節調整値)です。21年以降回復傾向にあるものの、直近では伸びが鈍化しています。

大学卒業者数については横ばいで推移していますが、26年以降は18歳人口の減少に伴い、大学進学者数が減少局面に入ると予測されています。

一方、マイナビ2027の掲載社数は前年比102%と過去最大水準に達しました。学生数が横ばいの中企業数だけが増えているため、1社当たりが接触できる学生の分配率は低下しています。

将来的に出会える学生数がさらに減っていくことを見据えると、母集団形成の重要性はこれまで以上に高まります。限られた母集団の中で、「どの学生と、どのように接点を持ち、どう理解を深めてもらうか」という採用戦略の精度が、今後の成果を大きく左右することになるでしょう。

2027年卒 企業動向

採用環境の厳しさは続く、難易度は「出会いの段階」に拡大

27年卒の採用環境について、74.3%の企業が「非常に厳しくなる」「厳しくなる」と回答しており、文系・理系ともに厳しい状況が続いています。採用予定数は「増やす」が前年より減少し、「前年並み」が増加したものの、依然として採用ニーズは高水準で「高止まり」の状態が続いています。

採用活動の前倒し化

採用スケジュールについては、「前年と同時期」の企業が最多(58.1%)である一方、「早める(早めた)」と回答した企業も約4割に上ります。

早める理由として最も多く挙げられたのは「学生の動き出しに合わせるため」(69.1%)で、次いで「より多くの学生と接点を持ちたいため」(62.1%)と続きます。

実際に個別企業説明会・面接ともにピーク時期が前年より前倒しになっており、各社が学生の動きに合わせたスケジューリングでコミュニケーションを行っていると見受けられます。

難易度が最も高いフェーズは「応募者を説明会につなげる」

以前は「説明会から選考へのつなぎ」が最大の課題でしたが、現在はその一歩手前、集客段階に難しさが移行しています。

40.0%の企業がこのフェーズを最も難易度が高いと回答しており、説明会を実施する前に参加者をいかに集めるかが最大の課題となっています。

企業各社は説明会の実施回数を増やす、配信型に変更する、SNSを強化するといった対策を講じており、接点の数と参加のしやすさの両面から改善を図っています。

待遇・制度面の工夫も多様化

初任給の引き上げ予定がある企業は48.7%と前年より増加し、27年卒の初任給平均額は23万4,223円(前年比+8,437円)となりました。

初任給以外のアピールポイントとしては、諸手当(49.8%)、住宅手当・社宅(46.1%)、休暇制度(44.6%)が上位に挙がっており、直接的な賃金改善に加えて、各種制度を活用した間接的な施策も広がっています。

また、職種別コースの導入を実施している企業は43.4%(前年比+2.5ポイント)、勤務地・地域限定採用を実施している企業は38.0%(前年比+2.1ポイント)といずれも増加傾向にあります。

背景には「配属ガチャ」という言葉に代表されるような、配属・勤務地への学生の不安の高まりがあります。

学生調査では、最初の配属職種が限定されていると76.0%、最初の勤務地が限定されていると78.1%の学生が応募意欲の高まりを示しており、初期配属の不確実性を減らすことが応募意欲向上に直結することが分かります。

2027年卒 学生動向

インターンシップなどの参加率は85.6%で高水準を維持

インターンシップなどのキャリア形成プログラムへの参加率は、85.6%と引き続き高い水準を維持しています。プログラム別の平均参加社数はオープン・カンパニー&キャリア教育が最も多く、5.7社となっています。

インターンシップは選考や人数制限がある場合も多いため、より気軽に参加できるオープン・カンパニーなどの活用が進んでいると考えられます。

参加目的としては、「特定の企業をよく知るため」(63.7%)が最も多く、次いで「自分に合うかを確かめるため」(45.5%)、「視野を広げるため」(43.5%)と続きます。

最も良い印象を持った企業で働きたいと思う学生は89.6%に上り、その理由として「やりたいことができるから」(50.4%)、「社風が自分に合っているから」(45.5%)などが上位に挙がっています。

インターンシップは企業理解の場にとどまらず、志望度形成にもつながるものとなっていると言えるでしょう。

活動量は前年とおおむね同水準、セミナー参加だけが微減

エントリー社数は前年同時期比+0.6社、面接参加数は+0.1社とほぼ横ばいで推移しています。一方で企業セミナーへの参加だけが前年同時期比-1.3社と減少しており、学生が志望度の高い企業を見極めた上で、より効率的に活動している傾向がうかがえます。

3月末の内々定保有率は58.7%と、過去最高を記録

3月末時点の内々定保有率は前年から4.1ポイント増加して、58.7%と過去最高水準を記録しました。

文系は内々定獲得時期がやや前倒し傾向にあり、理系は引き続き高い水準で「高止まり」の傾向が続いています。

ただし、活動継続率は76.2%と前年と同水準を維持しており、内々定獲得後も活動を続ける学生の割合は前年比5.1ポイントの増加となっています。

就職活動継続の区切りとして「6月」を目安にしている学生が多く、文系を中心に6月以降も活動を続ける学生が一定数いることから、採用活動は6月を一つの山場としながらも、その後の期間も含めて継続的に接点を持つことが重要です。

入社意志の最も高い企業を見つけたツールとしては、就職情報サイト(15.7%)が最多で、仕事体験(14.9%)、インターンシップ(13.2%)と続きます。

就職情報サイトは引き続き最重要チャネルである一方、設定や見せ方によって接点数に大きな差が生じます。情報の正確性や運用状況を改めて見直すことが求められます。

これからの採用活動の考え方

採用の「本来の目的」を再確認する

採用活動において「内々定承諾=ゴール」「充足=ゴール」と捉えてしまうことは、よくある誤解の一つです。本来の採用の目的は「入社後に活躍し、定着してもらうこと」にあります。早期離職は採用コスト・教育コストの損失につながるだけでなく、現場の疲弊や組織全体の士気低下にも直結します。

これからの採用は、従来の「接点を最大化し、母集団を形成した上で選抜する」アプローチから、学生との相互理解を深め働くイメージを具体化することを起点とした「入社後の活躍と定着を見据えた採用」へと捉え直すことが重要です。言い換えれば、接点の「量」から「質」への転換であり、選抜視点から育成視点へのシフトでもあります。

入社後活躍まで見据えた採用設計の3STEP

採用活動の成果は、「誰を採りたいのか(ターゲット)」「どこで出会うのか(接点)」「何をどう伝えるのか(メッセージ)」という3つを一貫して設計できているかどうかで大きく変わります。それぞれを個別に考えるのではなく、3つをセットで設計することが重要です。

STEP① ターゲット:誰を採りたいのか
採用設計の起点は、求める人物像を明確にすることです。アプローチは主に3つあります。1つ目は事業戦略からひも解く方法で、中長期戦略と照らし合わせながら活躍が期待される人物像を言語化します。2つ目は応募者データからひも解く方法で、過去の合格者・辞退者データを見ることで「相性の良い学生像」の傾向を発見できます。3つ目は活躍人材からひも解く方法で、現在活躍している社員の共通点を整理することで、求める人物像の解像度を高めます。

また、学生の能力を「先天的要素(採用で見極めるべき志向・価値観・性格)」と、「後天的要素(入社後に育成できるスキル・知識・業務能力)」に分けて考えることも重要です。全てを採用時点で満たそうとするとターゲットはどんどん狭くなってしまいます。採用が難しい今だからこそ、採用と育成をセットで設計する視点を持つことが求められます。

STEP② 接点:どこで出会うのか
求める学生像によって、価値観・行動特性・情報収集の場所は大きく異なります。「どのチャネルが良いか」だけを考えるのではなく、ターゲット学生がいつ・どこで動いているかを起点にチャネルを選定することが重要です。例えば、早期に動く成長志向の学生を採りたい場合、大学4年になってから接触しようとしてもすでに行き先が決まっていることが多いため、大学3年春頃のインターンシップや低学年向けメディアから接点を設計することが効果的です。

主なチャネルの特性としては、低学年向けメディアは大学1〜3年春の早期層への認知形成に、就職情報サイトは大学3年3月以降の広い層へのリーチに、インターンシップ(職場体験型)は相互の適性把握精度が高いチャネルとして機能します。

仕事体験、オープン・カンパニーは、全学年・通年で参加ハードルが低いため、入口として機能する一方、SNSは社風やカルチャーのリアルを伝えるのに適しています。どのチャネルが優れているかではなく、求める学生の行動と意思決定の段階に合っているかという視点で選択・組み合わせることが大切です。

STEP③ メッセージ:何を、どう伝えるのか
チャネルを適切に選んでも、学生に響く内容でなければ成果につながりません。メッセージを設計する際には、「学生の状態(置かれている状況・就活フェーズでの不安)」「学生の志向(価値観・意思決定軸)」「自社の訴求ポイント(自社らしさ・強み・働くリアル)」という3点を重ね合わせることが重要です。

伝え方においても、2つのポイントがあります。1つ目は、どの接点でも一貫したメッセージを届けることです。学生は就職情報サイト・説明会・SNS・口コミなど複数の接点から情報を照らし合わせており、接点ごとにメッセージがブレると信頼を損ないます。

2つ目は、具体的な仕事や経験・エピソードで伝えることです。「成長できる」「やりがいがある」といった抽象的な表現では企業ごとの違いが伝わりません。「入社1年目から○○を担当できる」など、社員の実体験を通じて働くイメージを具体化することが、学生の志望度を高めることにつながります。

メッセージのズレが起きると何が起こるか

3つの要素に一貫性がないと、個別の要素が良くても、採用成果や入社後の定着・活躍につながりにくくなります。例えば、成長志向の学生をターゲットとしながら、発信するメッセージが「安定・福利厚生の充実」に偏っているケースがあります。

この場合、インターンシップや就職情報サイトで接点は持てても、辞退理由として「成長環境がなさそう」「挑戦・やりがいの話が出てこなかった」「裁量権が少なそう」といった声が多発することになります。学生が求めている情報と企業側のメッセージがズレると、いくら接点を増やしても志望度の向上にはつながりにくくなってしまいます。

まとめ――一つひとつ、施策の見直しを丁寧に

新卒採用を取り巻く環境は、年々複雑性を増しています。ただ、その中でも成果を出している企業に共通するのは、特別なことをしているのではなく、できることから一つずつ見直し、積み重ねているという点です。

まずは自社の採用を振り返り、「誰を採りたいのか」「どこで出会うか」「何をどう伝えるか」の3つが一貫しているかを確認するところから、始めてみてはいかがでしょうか。

本レポートでは、セミナー内容のポイントを抜粋してご紹介しています。

より詳しいデータや解説をご覧になりたい方は、当日使用した講演資料をダウンロードいただけます。採用活動の振り返りや今後の施策検討にぜひお役立てください。

\講演資料のダウンロードはこちら(会員限定・無料)/

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  • 人材採用・育成 更新日:2026/07/07
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