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大学と企業の共通理解から始める新卒採用セミナーレポート

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本記事は、2026年4月にマイナビが開催した「2027年卒 市場動向報告会」にてお話しした内容をもとに構成しています。

「市場動向報告会」は、株式会社マイナビが例年4月と7月に開催している、新卒採用市場や学生動向の変化を解説するセミナーです。例年、多くの企業の人事担当の方にご視聴いただいており、採用戦略を考える上での情報収集の場としてご活用いただいています。

今回は、登壇したマイナビ編集長・高橋誠人が、新卒採用を初めて検討する企業の採用担当者に向けて語った内容を、5つのテーマに沿って解説していきます。

  • 高橋 誠人 株式会社マイナビ
    就職情報事業本部大学広報統括本部 マイナビ編集長

    2002年入社。学生向けのキャリアサポートや広報事業に長く携わり、関西圏の大学・短大・専門学校などで多くの就活支援講座を行う。その後、営業職を経て熊本支社長、鹿児島支社長、兵庫支社長を歴任し、18年より現職。日本キャリア開発協会会員。国家資格キャリアコンサルタント。中央大学非常勤講師。

新卒採用活動の現状と展望

なぜ企業は新卒を採用するのか

マイナビの「2027年 卒企業新卒採用予定調査(2月)」によると、新卒採用の主な目的として、「組織の存続と強化(活性化)」(62.0%)が圧倒的1位となっています。次いで「年齢など人員構成の適正化」「将来の幹部候補・コア人材の確保」が続きます。

共通しているのは、新卒は即戦力ではなく、将来の組織をつくる人材であるという考え方です。短期的なコストではなく、長期的な投資と捉えている企業が大多数です。

高橋は、「新卒採用をすることによって、その新卒を教育する先輩たちも成長する。人材の重要性はAI時代でも変わりません」と語ります。

AI時代でも新卒採用が必要な理由

「AI時代に新卒を採用する理由」を企業に聞いたところ、「若手人材の長期育成を重視しているため」(65.1%)がトップで、「将来の幹部候補を確保するため」(48.8%)、「組織文化や価値観の継承が必要だから」(43.7%)と続きます。

また、「AIの浸透で新卒採用数に変化があるか」との問いに対し、実に90.3%の企業が「変わらない」と回答しています(※)。一部の大手企業のAI代替報道はあるものの、やはり新卒採用の必要性は変わっていないといえるでしょう。

※出典:2027年卒 企業新卒採用予定調査(2月)

採用充足率はこれまでで最低水準に

26年卒の採用充足率は69.7%と、マイナビ調査開始以降初めて70%を割り込みました。採用母集団(応募母集団)の形成が最大の課題となっています。

「ピンポイント就活」へのシフト

学生の就職活動スタイルが大きく変わっています。以前は「多数の企業にエントリー→内々定複数獲得→1社決定」という流れでしたが、近年は低学年から長期インターンシップに参加し、早期に志望企業を絞り込む「ピンポイント就活」が主流になっています。

一方で、絞り込みすぎた反動として、26年卒では4年生の4月以降のエントリー数が大幅に増加。早期接触を逃しても、4年次の積極的なアプローチで十分に採用機会を確保できます。

就職活動スケジュールの現状

現在の就職活動は、3年生の4〜翌年2月が「準備期」となっています。自己分析・仕事研究・インターンシップエントリーは夏休み前に始まり、夏以降は各社のインターンシップ・仕事体験が本格化します。全国の大学のほぼ全てにおいて、就活準備ガイダンスは3年生の夏休み前に完了しているのが現状です。

大学生の就職観・キャリア観

コロナ世代が抱える「不安」を理解する

現在の大学生は、中高生でコロナ禍を経験した世代です。将来への不安感が強く、すぐに答えを求めてSNSやAIを活用するのが特徴です。

大学生の不安の内訳を見ると、「働くことへの不安」「就職活動への不安」は減少している一方、「お金に対する不安」が35.3%と大幅に増加しています。

この結果から、就職できるかどうかへの不安よりも、就職後の生活や将来の経済的安定への不安が高まっているといえるでしょう。

高橋は、「2005年生まれの学生の約半数が、107歳まで生き、80歳くらいまで仕事をしなければならないといわれています。就職できるかの不安よりも、その後どう生きるかへの不安が強くなっていると言えるでしょう」と強調します。

学生の不安に対して、企業がどのようなアンサーを出していくかが、採用活動において重要になりつつあります。

企業選択のポイント:「安定」と「給与」が上昇傾向

以前は「自分のやりたい仕事ができる会社」が1位でしたが、近年は「安定している会社」「給料の良い会社」が急上昇しています。

学生が言う「安定」は、単に倒産しない企業ではなく、「先行き不透明な時代でも成長できそうな企業」「社会貢献をしている企業」「スピーディーに変化できる企業」を意味しています。

「配属ガチャ」不安への対応が採用の鍵

近年の学生にとって、入社後の働くイメージが描けないことが不安につながっています。26年卒への調査では、「応募時に勤務地が限定されていると応募意欲が高まるか」という質問には、80.8%が高まると回答。そして、「配属職種が限定されていると応募意欲が高まるか」という質問には、77.0%が高まると回答しています。

採用広報や学生とのコミュニケーションにおいては、入社後の配属職種や、勤務地についての具体的な情報提供が有効でしょう。

内定承諾の決め手として挙がっているのは、1位:福利厚生制度(37.9%)、2位:希望する勤務地(31.1%)、3位:給与・賞与(29.1%)です(26年卒)。

福利厚生では、交通費などの手当や休暇取得のしやすさに加え、資格取得支援など成長・キャリアアップができる環境かどうかが見られています。

面接は「1次:WEB、最終:対面」が学生の希望

選べるなら1次面接は79.3%がWEBを希望しますが、最終面接は逆転して85.0%が対面を希望します。

学生が対面最終面接を希望するのは、企業の雰囲気・立地・社員を自分の目で確かめたいからです。

なお、学生の89.9%はオンライン授業の経験があるものの、「遠隔コミュニケーションに自信がある」と答えたのは30.7%のみ。

WEB面接では萎縮している学生も多いため、評価観点をフラットに保つ工夫が必要です。

副業・複業志向とキャリア意識の高まり

就職先の給与のみで「満足できる生活が続けられそう」と答えた学生は36.7%にとどまり、48.3%は「最低限の生活はできる程度」と感じています。

その結果、全体の58.8%が副業を希望しています。

副業をしたい理由として挙がったのは、「貯蓄や自由に使えるお金の確保」以外にも、「新たな知識や経験を得るため」と、将来を見据えたキャリアアップ志向が読み取れます。

若者はワーク重視、長く働きたいと考えている

一般に「若者はライフ優先」と思われがちですが、20代のワーク重視は57.7%と半数を超えています。

また、就活生に「新卒で入社する会社で何年くらい働きたいか」を聞くと、10年以上・定年まで働きたいと回答したのが約40%。

入社後3年で約3割が退職するという現実はありますが、学生自身は長く勤めたいと考えています。

さらに、62.3%の学生が「同じ会社で働き続けたい」と回答。転職よりも、同じ会社でキャリアアップすることを望んでいます。

入社後3年・5年・10年のキャリアモデルをなるべく具体的に提示することが、採用広報の重要な要素といえるでしょう。

インターンシップ・仕事体験

参加率85%超、入社先での経験が入社後満足度を高める

27年卒の学生インターンシップ・仕事体験(5日未満のキャリア形成プログラムを含む)の参加率は85.6%。参加社数も平均5社前後で推移しています。

「入社した企業のインターンシップ・仕事体験に学生時代に参加していたか」を聞くと、25年卒では53.9%が参加。経験者の仕事満足度(4・5の高評価)は82.3%と、未経験者の72.8%を大きく上回ります。

また、参加日数が長いほど満足度は上昇し、5日間以上の経験者では満足度4・5が92.4%に達しています。

初めての企業は「小規模・短期間」からでOK

インターンシップには「就業体験型」「グループワーク型」「講義・レクチャー型」があり、半日〜1日の「オープン・カンパニー」から始めることも可能です。

いきなり長期・大規模なプログラムを実施する必要はありません。初年度は短期間・少人数から始め、2〜3年かけて日数・規模を拡大していく方針が現実的です。

大学のキャリアセンターは、授業・課外活動と両立できるよう、土日開催や長期休暇中の実施を歓迎しています。学事日程(試験・夏期休暇など)を考慮したスケジュール設定が好印象につながります。

高橋は、「まず半日~1日のオープン・カンパニーや仕事体験から始め、そこで経験を積みながら少しずつ日数を増やしていく。『リソースが足りないから』と最初からインターンシップを諦めるのではなく、無理のないところからチャレンジしてみてください」と呼び掛けています。

大学のキャリアセンターとの連携

キャリアセンターの役割が大きく変わっている

かつては「就職活動解禁後に窓口相談」が中心でしたが、現在は多くの大学で低学年から体系的なキャリア支援が行われています。

例えば立教大学では、1年次から参加できる多彩な支援プログラムを提供しています。3年生に進級する直前の、3月の第1回就職ガイダンスは、1,000名超の学生が視聴。「学部によって就職できる業界が限られる」といった誤った先入観を取り除く情報提供や、企業の実際の採用スケジュールに基づいたリアルな情報を発信しています。

学内企業説明会への参加方法

学内合同企業説明会への参加や求人票の送付は、各大学のキャリアセンターのWEBサイトから申し込み可能です。急な飛び込み訪問は対応困難なケースが多いため、事前に連絡の上でアポイントを取ることが重要です。

低学年向けプログラムへの企業参加を募っている大学もあります。キャリアセンターと密に連携することで、学生との早期接点を持つことができるでしょう。

まとめ:初めての新卒採用を成功させるために

以上を踏まえて、初めての新卒採用を成功に導くポイントをまとめると、以下の5つに集約されます。

1. 中長期の投資として捉える
新卒採用は即戦力ではなく、将来のコア人材育成・組織活性化のための長期投資です。スモールスタートで構いませんので、まず採用活動を始めてみることで、来年度以降に生かせる経験値が積まれます。

2. 学生の不安に応える採用広報を
「どこで」「何を」するのかを明確に伝えましょう。入社後の勤務地・職種・キャリアモデルを具体的に示すことで、不安感を解消し応募意欲を高められます。

3. 短期・小規模のインターンシップから始める
最初は半日・1日のオープン・カンパニーや仕事体験で十分です。学事日程に配慮した開催時期の設定も大切です。

4. キャリアセンターとの連携を積極的に
学内企業説明会や求人票の送付は、WEBから申し込み可能になっている大学が多いようです。低学年向けプログラムと組み合わせることで、早期の学生との接点が生まれます。

5. 4年次の後半も諦めない
ピンポイント就活の反動で、4年生4月以降のエントリーが増加傾向。早期接触を逃しても、4年次の接触で採用につなげることも可能です。

本記事で述べたのは総論であり、企業によって、取るべきアプローチはさまざまです。マイナビでは、専任担当者が採用戦略の立案からお手伝いいたしますので、新卒採用を始める際には、ぜひお気軽にお問い合わせください。

本レポートでは、セミナー内容のポイントを抜粋してご紹介しています。

より詳しいデータや解説をご覧になりたい方は、当日使用した講演資料をダウンロードいただけます。採用活動の振り返りや今後の施策検討にぜひお役立てください。

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  • 人材採用・育成 更新日:2026/07/03
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