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どのように学生は内々定を承諾するのか~就職活動終盤の企業選択からみる「納得」の重要性~

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就職活動において、学生はどのような基準で企業を選んでいるのだろうか。

近年、新卒採用市場では売り手市場が続いており、企業は初任給の引き上げや福利厚生制度の拡充、勤務地制度の見直しなど、学生に選ばれるための施策を積極的に進めている。一方で、学生側もインターンシップ・仕事体験などのキャリア形成活動を通じて、多くの企業と接点を持ちながら、自身に合った企業を探求し、就職活動を進めている。

しかし、学生が企業を選ぶ際に重視するポイントと、最終的に入社を決断する際の決め手は必ずしも同じなのだろうか。就職活動の初期段階では、「給与が高い企業がよい」「希望する勤務地で働きたい」と考えていた学生が、実際の選考や面談などを通じて企業理解を深めるなかで、別の要素を重視するようになることもあるかもしれない。

そこで今回は、27年卒学生を対象に、就職活動初期における企業選択のポイントと、実際に内々定を承諾した際の決め手を比較しながら、学生の企業選択プロセスを探っていく。あわせて、入社予定先への満足度との関係や、学生自身が語る「その企業を選んだ決め手」から、納得感のある意思決定に必要な要素について考えてみたい。

就職活動スタート時点での企業選択ポイント


まず、広報活動開始の3月時点で学生に企業選択のポイントを尋ねたところ、「給与や賞与が高い(40.9%)」「希望する勤務地で働ける(38.3%)」「福利厚生制度が充実している(36.4%)」が上位となった。待遇面や働く環境に関する項目が並んでおり、学生にとってこれらが企業選択の重要な条件となっていることがわかる。また、「社員の人間関係が良い(31.8%)」「自分が成長できる環境がある(24.2%)」といった項目も上位にみられ、安心して働ける環境や成長機会も重視されていることがうかがえた。【図1】

では、実際に就職活動を終え、入社予定先を決定した学生はどのような理由で内々定を承諾したのだろうか。
【図1】企業を選ぶときに注目するポイント(3つ選択)/マイナビ 2027年卒 大学生キャリア意向調査3月<就職活動・進路決定>

入社予定先の満足度


まず、入社予定先への満足度を測るため、「理想の就職先を100点とした場合、入社予定先は何点か」を尋ねた。その結果、平均点は84.9点となり、100点を付けた学生も16.7%いた。入社予定先として選択した企業に対しては、全体として高い評価をしていることがわかる。【図2】

そこで学生を満足度「低群(0~79点)」・「高群(80~99点)」・「満点群(100点)」の3群に分け、内々定承諾の決め手を比較した。すると、どの群でも「希望する勤務地で働ける」が上位となっており、勤務地は企業選択だけでなく、最終的な意思決定においても重要な要素であることが確認された。【図3】
【図2】理想の就職先を100点として、入社予定先は何点か/マイナビ 2027年卒 大学生キャリア意向調査7月<就職活動・進路決定>

【図3】入社予定先の内々定を承諾した決め手/マイナビ 2027年卒 大学生キャリア意向調査7月<就職活動・進路決定>

一方で、満足度が高い学生に共通する“絶対的な決め手”は見当たらなかった。満点群では「給与や賞与が高い(15.1%)」がやや高かったものの、回答割合は1割台半ば程度にとどまり、特定の項目に集中しているわけではない。企業経営の安定性や社員の人間関係、自身の成長環境など、学生によって重視するポイントはさまざまであった。
また、得点が低い群では「なんとなく/わからない(5.2%)」という回答が他の群よりやや高くみられた。割合としては大きくないものの、一部には内々定を承諾した理由を十分に整理できていない学生もいるのかもしれない。

しかし、ここで注目したいのは、学生が具体的に語った「その企業を選んだ決め手」である。

入社の決め手になった企業の魅力


自由回答をみると、「給与に加えて家賃補助が手厚かった」「転居を伴う異動がなくライフプランを描きやすかった」といった待遇面への評価もみられた。一方で、それ以上に目立ったのは、企業との関わり方やコミュニケーションに関する回答であった。【表1】

例えば、「インターンから最終面接まで私という人間に一番向き合ってくれた」「企業としての相性や仕事の適性をしっかり見極めてくれた」「質問に対してNGなしで答えてくれた」といった声が寄せられた。また、「面接前に人事担当以外の社員も積極的に話しかけてくれた」「良い面も悪い面も包み隠さず話してくれた」といった回答もみられた。

興味深いのは、学生が企業の魅力を語りながらも、その背景には「自分との相性」や「納得感」が語られている点である。「内々定者の雰囲気が自分に合っていた」「社員の方々が一緒に働きたいと思える人だった」「自分だからこそ採用してくれたと感じた」など、多くの学生が企業そのものの魅力だけでなく、自身との適合性を評価していることがわかる。つまり、学生は「どの企業が優れているか」を探しているのではなく、「自分にとって納得できる企業はどこか」を探しているのではないだろうか。
学生が求めているのは、単に魅力的な条件だけではない。「どのような仕事ができるのか」「どのような人と働くのか」「自分らしく働けるのか」といった、自身の将来像と企業との接点を見出せるかどうかが重要になっているようだ。
【表1】入社予定先の決め手/マイナビ 2027年卒 内定者意識調査

おわりに


採用活動において企業は、自社の魅力を伝えることに注力しがちである。しかしこれからは、一方的に魅力を訴求するだけでなく、学生が自分自身の価値観を整理し、「なぜこの会社を選ぶのか」を言語化できるよう支援することも求められるだろう。

内々定承諾は採用活動のゴールの一つである。しかし、本当の意味での採用成功とは、学生が納得して入社を決断できることではないだろうか。企業と学生がお互いを理解し、すり合わせを行うプロセスこそが、「納得」を求める学生の採用において重要になっていくのかもしれない。
  • Organization 株式会社マイナビ 社長室 キャリアリサーチ統括部

    株式会社マイナビ 社長室 キャリアリサーチ統括部

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  • 調査・データ 更新日:2026/08/31
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