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大学生低学年に広がるキャリア形成活動 ~学生・企業・大学の取り組みから考えるその意味~

/news/news_file/file/Z00000_【コラム】サムネイル画像の作成依頼_2校.png 1
近年、大学生のキャリア形成活動は、従来の就職活動の枠にとどまらず、より多様なかたちで広がりを見せています。とりわけ、大学1・2年生といった低学年の段階から、インターンシップや仕事体験、オープンカンパニーなどに参加する学生が増えていることが特徴的です。

こうした動きは、単に進路を具体的に定めるためのものというよりも、将来や働くことについて考えるきっかけとしての役割を持っていると考えられます。低学年の段階では、自身の関心や価値観を整理し、社会や仕事に対する理解を深めていく過程にある学生が多く、キャリア形成活動もその一環として位置づけられます。

また、このような機会の広がりは、学生の行動変化だけによって生まれているものではありません。企業による低学年向けのプログラム提供や、大学におけるキャリア教育の体系化など、複数の主体の取り組みが重なり合うことで、低学年におけるキャリア形成活動は広がりを見せています。

本稿では、大学生低学年のキャリア形成活動について、学生・企業・大学それぞれの取り組みを整理しながら、その意味をどのように捉えるべきかを考えていきます。

低学年次(大学1・2年生)における学生の活動について


低学年(大学1・2年生)の段階からキャリア形成活動に触れる学生は着実に増えています。『大学生低学年のキャリア意識調査12月(2028・2029年卒対象)<二十歳のつどいについて>』によると、低学年次にインターンシップ・仕事体験に参加したことがある学生の割合は、24・25年卒では20.7%だったのに対し、28・29年卒では33.0%となり、5年分の比較で12.3ポイント上昇しました。現在では、低学年のうちから3人に1人程度が何らかのキャリア形成活動に参加していることになります。【図1】
【図1】低学年次のインターンシップ・仕事体験の参加経験/大学生低学年のキャリア意識調査12月(2028・2029年卒対象)<二十歳のつどいについて>

また『2026年卒 内定者意識調査』によると、低学年のときにキャリア形成活動を通して得られたこととして最も多かったのは「将来のことを真剣に考えるようになった」(39.1%)であり、次いで「『働く』ことに対して具体的なイメージが持てた」(24.9%)、「将来のために大学での勉強を頑張ろうと思えた」(19.3%)となっています。

この結果から、低学年におけるキャリア形成活動の役割が、進路をすぐに決めることよりも、将来や働くことについて考えるきっかけを得たり、自分なりの関心や方向性を探ったりすることにあると読み取れます。実際に、「その後どのようなインターンシップ・仕事体験やオープンカンパニーなどのキャリア形成活動を行うか方針が明確になった」(16.8%)という回答もみられ、低学年期の経験がその後の行動の土台になっていることがうかがえます。【図2】
【図2】低学年のときにキャリア形成活動を通して得られたこと/2026年卒 内定者意識調査

企業の取り組みについて


低学年(大学1・2年生)を対象としたキャリア教育について、企業の間でもその必要性は広く認識されつつあります。『2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査<若年層向けキャリア教育について>』によると「現時点ですでに実施している」は14.2%、「2026年以内に実施する予定」は2.0%、「時期は確定していないが、実施を検討している」は10.6%であり、実施・予定・検討中を合わせると26.8%となる。さらに、「まだ検討もしていないが、必要性を感じている」は34.5%にのぼり、全体の61.3%が少なくとも必要性を認識していることになります。現時点で実施している企業はまだ一部にとどまるものの、低学年向けの取り組みへの関心自体はすでに広がっているといえるでしょう。【図3】
【図3】大学生低学年(1,2年生)へのキャリア教育の取り組み/2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査<若年層向けキャリア教育について>

では、企業は低学年向けキャリア教育にどのような意義を見出しているのでしょうか。同調査によると最も多かったのは「自社や業界の魅力を早い段階で学生に知ってもらえる」(50.6%)で、次いで「学生の自社や業界への認知度が上がる」(49.3%)、「学生の自社や業界への理解度が上がる」(44.7%)となった。これらの結果から、企業が低学年との接点を、採用の前段階において自社や業界を知ってもらうための機会として捉えていることがうかがえます。【図4】
【図4】 大学生低学年(大学1・2年生)へのキャリア教育に取り組むことでどのようなメリットがあると考えているか/2027年卒 インターンシップ・キャリア形成支援活動に関する企業調査<若年層向けキャリア教育について>

低学年向けのキャリア形成プログラムについては、必要性が認識されている一方で実施に踏み切れていない企業も多いです。低学年向けの取り組みは、採用広報の延長ではなく、学生にとって学びや気づきのある機会として設計されてこそ意義を持ちます。企業に求められているのは、早い段階で接点を持つことそのものではなく、学生が社会や仕事に対する理解を深められるような質の高い機会を提供することであると考えられます。

大学の取り組みについて


低学年段階でのキャリア形成を支えているのは、企業が提供する機会だけではありません。大学においても、キャリア教育はすでに広く正課の中に組み込まれています。『2025年度<2026年卒>キャリア・就職支援への取り組み調査』によると、キャリアに関する授業(正課)を「実施している」と回答した大学は81.6%にのぼり、8割を超える大学がキャリア教育を教育課程の一部として位置づけていることが分かります。これは、キャリア形成支援が一部の大学だけの特別な取り組みではなく、多くの大学で一般化していることを示しています。【図5】
【図5】 キャリアに関する授業(正課)を実施しているか/2025年度<2026年卒>キャリア・就職支援への取り組み調査

また、同調査にてキャリアに関する授業の開始時期として最も多かったのは「学部1年生4月」の64.7%であり、「学部1年生7月」(3.5%)、「学部1年生9月」(6.5%)、「学部1年生10月」(5.4%)などを合わせると、学部1年生のうちに開始する大学は80.5%に達する。学部2年生から開始する大学は19.4%であり、多くの大学が入学初期の段階からキャリア教育に取り組んでいることがうかがえます。

このことから、大学がキャリア教育を大学生活の早い段階から行う基礎的な教育として捉えていることを示しています。実際に、低学年次のキャリア形成活動を通じて将来のことを真剣に考えるようになった学生や、将来のために大学での勉強を頑張ろうと思えた学生が一定数存在していることを踏まえると、大学でのキャリア教育は将来の進路を考えるきっかけを提供するだけでなく、大学での学びと将来をつなぐ土台づくりとして捉えるのが適切だと考えられます。
【図6】キャリアに関する授業(正課)開始時期/2025年度<2026年卒>キャリア・就職支援への取り組み調査

おわりに


本稿では、大学生低学年に広がるキャリア形成活動について、学生・企業・大学の三つの視点から整理してきました。そこから見えてきたのは、低学年のキャリア形成活動が、将来や働くことに対する理解を深め、自分なりの関心や方向性を見いだしていく過程と密接に関わっているという点です。

学生は活動を通じて、将来の選択に向けた手がかりを得ながら、自身の価値観や興味を少しずつ言語化していきます。一方で企業は、自社や業界を知ってもらう機会を提供すると同時に、学生の志向に触れる接点を持っています。また大学は、キャリア教育を正課として展開することで、学びと将来を結びつけて考えるための基盤を整えています。

これらの取り組みは、低学年の学生が将来を見据えながら理解を深めていくプロセスを、多面的に支えているといえるでしょう。キャリア形成活動において重要なのは、行動そのものの量や時期ではなく、その中でどのような気づきや学びを得るかという点にあります。

低学年の段階は、自分の可能性や関心を広げていくための重要な時期です。さまざまな経験を通じて視野を広げ、自分なりの軸を形成していくことが、その後の進路選択における納得感にもつながっていくと考えられます。

  • Organization 株式会社マイナビ 社長室 キャリアリサーチ統括部

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  • 調査・データ 更新日:2026/06/30
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