2027年卒の地元就職希望は58.7%で4年ぶりに増加/マイナビ 2027年卒 大学生Uターン・地元就職に関する調査
地元(Uターン含む)就職を希望する学生は58.7%で、4年ぶりに増加
2027年3月卒業予定の大学生・大学院生で地元(Uターン含む)就職*を希望する割合は58.7%となり、前年から2.3pt増と、4年ぶりに増加した。長期的には、10年卒から21年卒にかけて77.2%から54.9%へ大きく低下しており、都市部への産業・職種集中や賃金・キャリア機会の地域差といった構造的要因が背景にあったとみられる。その後、新型コロナウイルス感染症下では回復基調に転じ、移動制限や将来不安をから、家族の近くで暮らせる安心感や生活コスト面の安定、地元企業への応募のしやすさが地元志向を後押しした。26年卒では56.4%と一時的に低下したが、感染症の影響が弱まり、企業・業界志向や待遇、都市部の利便性といった要素が再び重視されたためと考えられる。27年卒では物価高や生活コスト上昇が続く中で、生活設計と就業地を結びつけて捉える視点が学生側に広がりつつあり、そのことが地元志向の持ち直しにつながっている可能性がうかがえる。
また、出身都道府県での就職希望割合も27年卒で47.0%と回復している。【図1,2】
*「地元(Uターン先含む)」だと認識する範囲は必ずしも卒業高校都道府県と一致しない
例:山形県の高校卒業学生の地元(Uターン先含む)だと認識する都道府県 山形県95.8%、宮城県22.4%
地元外に進学した学生のうち、Uターン顕在層は49.3%、潜在層は6.4%
地元外に進学している学生のUターン志向を3つのタイプに分類したところ、
「顕在層(現時点で地元就職を希望)」:49.3%(対前年4.3pt増)
「潜在層(将来的に地元就職を希望)」:6.4%(対前年0.1pt増)
「非志向層(現時点、将来ともに考えていない)」:44.3%(対前年4.3pt減)
となった。
エリア別にみると、顕在層が多いのは関西(61.4%)、東海(56.5%)、甲信越(55.9%)、潜在層が多いのは北陸(16.6%)、東北(14.1%)、北海道(12.0%)だった。
Uターン顕在層の地元就職希望理由を見ると、1位は「(自分の意思で)両親や祖父母の近くで生活したいから(47.2%)」2位は「地元の風土が好きだから(39.4%)」、3位は「実家から通えて経済的に楽だから/地元(Uターン先)での生活に慣れているから(33.8%)」だった。
Uターン潜在層に、将来、どの様な機会にUターンを考えると思うかを聞いた結果では、「両親や親族の介護が必要になったとき(43.2%)」「両親や親族が病気になったとき(42.5%)」など、将来的に家族を支えるために地元に戻る可能性を考慮する回答が多かった。【図3,4,5】
高校生までに地元企業について知る機会があったUターン潜在層71.7%
地元外に進学した学生の約5割が、地元就職に高校生までの地元企業との接点が影響する考え
Uターン志向のタイプ別に、高校生までの間に地元企業について知る機会があったかを聞くと、「顕在層(現時点で地元就職を希望)58.4%」、「非志向層(現時点、将来ともに考えていない)53.4%」と比べて、「潜在層(将来的に地元就職を希望)」が71.7%と特に多かった。
具体的にどのような機会があったかを見ると、全ての層で「学校の授業や進路指導で地元企業の話を聞いたことがある」という回答が多かった。「潜在層(将来的に地元就職を希望)」では「家族や知り合いの勤務先企業の話を聞いたことがある」が44.0%と特に多いのが特徴で、地元での仕事や働き方について、日常的な会話が潜在的なUターン志向に影響する可能性が予想される。
また、地元(Uターン含む)就職に対する考え方に、高校生までの地元企業との接点が影響するかを聞くと、地元外進学者全体では46.5%が「影響すると思う(とても影響すると思う+やや影響すると思う)」と回答した。特に「潜在層(将来的に地元就職を希望)」では50.1%と半数以上が「影響すると思う」と考えているようだ。【図6,7,8】
地元就職を希望しない学生が、地元就職を検討する条件は「給料がよい就職先が多くできる」
地元就職者を増やすアイデアには、給与待遇・金銭支援に関するものに加え、小中高からのキャリア教育をあげる声も
地元就職を希望しない学生に、「実現すれば地元就職するかもしれない」と思うものについて聞いたところ、「給料がよい就職先が多くできる(42.9%)」が最多で、次いで「働きたいと思うような企業が多くできる(40.3%)」となった。
地元就職者を増やすためのアイデアについて自由回答をみると、「都市部と比較して給与・福利厚生で劣る企業が多いと感じる」や「奨学金返済の援助、給与面など都内に出るよりも住みやすい福利厚生を作ること」など、給与や福利厚生を首都圏の企業と同程度に引き上げることを求める声があった。また、「まずは地元の魅力を高めること」や「説明会や面接をWEBで行うこと」などの街づくりや、説明会・面接の参加形式に関する意見もみられた。さらに、「小中高の生徒に社会科見学などを通して認知してもらうと良いと思う」、「小中高生に向けた仕事体験」など、大学進学で地元を離れてしまう前の小中高生を対象に、仕事体験機会があると良いという声も多数みられた。【図9,10】
調査者コメント
今回の調査では、Uターン就職を含む地元就職を希望する学生の割合が4年ぶりに増加しました。コロナ禍の収束後も、物価高や生活コスト上昇といった環境変化を背景に、就業地と生活設計をあわせて考える意識が高まっていることが、その一因と考えられます。一方で、地元就職を希望していない学生の多くは「給与水準」や「働きたい企業の選択肢」といった条件面を重視しています。また、Uターン「潜在層」では、高校生までに地元企業に触れた経験が将来の進路意識に影響している可能性もうかがえました。地元就職を一時点の意思で完結させるのではなく、学生のライフステージや価値観の変化に応じて選択肢として残し続けてもらうためには、待遇面の改善に加え、早期から地元企業の仕事や働き方を知る機会を継続的に提供していくことが重要であると考えられます。
キャリアリサーチLab主任研究員 井出翔子
- 調査・データ 更新日:2026/05/18
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