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生成AIの導入と利用におけるギャップに関する調査【調査報告】総合研究所推進室

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日本の労働環境は、人口動態等の全体的な変容を含め大きな過渡期にあります。総合研究所推進室として、これからの日本の「働きかた」について皆様に情報をお届けするにあたり、近年労働環境への導入が進む「生成AI」について、「導入する企業(導入担当者)」と「導入された後、活用する側(従業員)」に関する調査を行うことにいたしました。回答者が導入担当者1,000名、従業員4,000名への比較的大規模な調査です。
私生活でも活用の進む「生成AI」が、これからの働き方にどのような影響をもたらすのか、また企業の導入部門として、または活用する「従業員」としてどのようにあるべきなのか。
結果は「調査報告」(今回)と「分析報告」(次回以降)の複数回に分けてご報告申し上げます。

調査目的 企業における生成的AIの導入と活用における「導入側」と「利用側」における利活用度や認識のギャップについて実態を把握すること。
調査方法 インターネットリサーチ
調査回収期間 2025年12月~2026年1月
調査領域 全国
調査対象者 調査対象①:【導入する企業側として】日系民間企業において生成AIツールの導入や利用に関与する部門に所属する正社員
調査対象②:【従業員(AIの実質利用者)側として】日系民間企業において働く①以外の正社員
有効回答者数 企業側回答者:1,000名
従業員側回答者:4,000名

今回の調査では、企業における生成AIの導入状況と、現場での利用実態・認識の差異について実態を調査いたしました。結果、企業(導入担当者)側は、導入目的やルールは浸透していると認識する一方、従業員側では方針等について十分に伝達されていない、利用環境が整っていないと感じる層が厚く存在し、導入担当者と利用者の間に構造的なギャップの存在を認める結果となりました。

以下に、特に特徴的だった設問に関して示します。

※以下の数値に関しては有効回答者のうち①導入担当者は1,000人すべて、②従業員は業務で生成AIを活用している方の有効回答のみを抽出して分析しています。各設問に回答数をn=◎◎として掲載します。

生成AIの活用実態

企業向け設問 自社内生成AI活用度合の図
  • 企業向け設問 生成AI導入に期待している価値の図
  • 従業員向け設問 生成AIを活用していると感じる割合の図

企業の生成AI導入担当者に生成AIの導入に期待する価値と活用度合いについて尋ねたところ、期待する価値として「業務効率化」「業務高度化」が回答者の過半数から選択された。

活用度合いについては中央値、最頻値ともに7であった。活用度が8以上の割合は30.0%、3以下の割合は9.7%であり、導入している企業の活用度合いは比較的高いといえる。ただし、「これ以上ないくらい活用している」と回答している割合は3.6%に留まっており、今後も継続的に活用度合いの高まる余地のあることをうかがわせる結果となった。

一方、従業員向けに生成AIの活用の主体性について聞いたところ、およそ半数が「判断が難しい」と回答し、「主体的に活用している」と回答したのは34.2%に留まった。

生成AIの導入目的の伝達状況

  • 企業向け設問 生成AI導入の目的が伝わっていると思う割合の図
  • 従業員向け設問 生成AIを導入し目的を理解している割合の図

生成AIを企業に導入する目的について、企業(導入担当者)側では72.7%が「(十分に+おおよそ)理解されていると思う」と回答しているが、実際に利用する従業員側で「(明確に+やや)理解できている」と回答した割合は46.2%とはっきりとした差がある。

生成AIの利用方針やルールの浸透状況

  • 企業向け設問 活用のルールを説明できていると感じる割合の図
  • 従業員向け設問 生成AI活用方針が下りてきていると感じる割合の図

生成AI活用の方針やルールについての説明ができているかについても、企業の導入担当者側は69.7%が「(詳細に+おおよそ)説明できている」と回答したが、従業員側で方針や説明が示されている (設問では「(十分に+一部)降りてきている」)と回答した割合は33.6%にとどまる結果となった。方針説明の浸透には大きな認識差が生じている。

現場責任者に対する活用積極意向の評価

  • 企業向け設問 生成AI導入に現場責任者が前向きだと思う割合の図
  • 従業員向け設問 自部署の責任者が活用に積極的だと感じる割合の図

企業の導入担当者から見た「利用現場の責任者(部長や課長等)」の活用意向(活用に前向きか)と従業員側から見た「自部署の責任者」の活用に対する積極度を比較してみると、導入側では「(非常に+やや)当てはまる」の割合は6割(60.3%)、従業員側から見た自部署責任者の活用積極度は39.0%となり、従業員側から見た上司の積極度は企業の導入担当者が感じる現場責任者の積極度よりも低い結果となった。

業務プロセスへの組み込み状況

  • 企業向け設問 生成AIが業務プロセスに組み込まれていると思う割合の図
  • 従業員向け設問 生成AIが業務プロセスに組み込まれていると思う割合の図

生成AIの活用は、企業の導入担当者側の認識としては65.7%が、(正式に+一部)業務に組み込んでいると回答したが、従業員側で業務プロセスに「組み込まれている(一部組み込まれている、を含む)」と感じると回答した割合は30.4%と大きく差のつく結果となった。また、従業員回答者の3割程度が「会社からの具体的な方針はおりてきていない」と回答しており、導入側が想定するよりも、現場は【どう使うべきか】の具体的な指示について認識できていない可能性がある。

利用のケース想定や支援・サポート体制について

  • 企業向け設問 生成AI導入において明確な設計がされている割合の図
  • 従業員向け設問 生成AIを活用しやすい環境が整っていると思う割合の図

生成AIを業務に「どのように使うか」「そのための支援をどうするか」については、企業の導入担当者の62.0%が「(明確に+一部)設計をしている」と回答したが、従業員側が、活用しやすい環境(利用場面の想定やAIに関するサポート体制など)が「整っていると感じる(とても+まあまあ)」割合は39.3%となりこちらも企業の導入担当者の設計や支援の状況が完全に伝わっているとは限らない様子がうかがえる。

活用における「評価」「体感」に関する項目

  • 企業向け設問 生成AI導入活用を評価や昇給に反映している割合の図
  • 従業員向け設問 生成AIを活用することが評価に正当に反映されていると思う割合の図
  • 企業向け設問 生成AIで創出した価値の活用先の図
  • 従業員向け設問 生成AI活用で生まれた価値が還元されていると感じる割合の図

生成AIを活用することが評価や昇給に反映されているか(そう感じるか)を双方に聞いてみたところ、導入側では4割以上(41.6%)が「反映している(一部を含む)」と回答したものの、従業員側として「(とても+やや)反映されていると感じる」と回答のあった割合は24.1%に留まった。

また、企業側に生成AIで創出した価値の活用先について尋ねたところ、6割以上が「コスト削減」と回答し、「活用先はない」と回答した割合は数パーセントに留まった。従業員に、生成AIを活用した価値が自分に還元されている(時間削減や生産性の向上)と感じるか聞いたところ、「(とても+やや)感じる」と回答した割合は37.0%となった。

この結果から、従業員側は『生成AIを使って業務を遂行することそのものに対しての「評価」や「価値の還元」を受けている体感については、まだあまり多く持っていない』という様子がうかがえる。

集計まとめ

本調査結果から一貫して確認できたのは、生成AIの導入・活用に関して、導入担当者(企業)と実際に利用する従業員との間に明確な認識差が存在する点である。
特に顕著であったのは、導入目的、利用方針、ルールの理解・浸透に関するギャップである。導入担当者の約7割が「理解・説明できている」と認識しているのに対し、従業員側で「理解できている、指示や方針が共有されている」と感じている割合はいずれも4割未満に留まっている。生成AIは、会社として「使ってよいツール」として位置づけられてはいるものの、「実際の業務に落とし込む」ところまで活用が進んでいない状況が想像できる。さらに、活用による評価や価値還元についても、生成AIによる成果は組織全体で回収(企業としては実感)されつつある一方で、「生成AIを活用すること自体」が個人の評価につながっている実感を従業員は企業ほど持てていない状況が明らかになった。

編集後記

本調査で印象的だったのは、多くの企業(の導入担当者)が業務での生成AI活用の目的やルール、利用場面を設計し、一定の手応えを感じている一方で、利用する従業員側の「体感」が追いついていないという点でした。このギャップは、利用する個人の特性というよりも、「生成AIをどう位置づけ、何を期待し、どう評価するのか」という組織としてのストーリーが、現場の仕事と十分に結びついていないことに起因している可能性があるように感じます。調査報告である本レポートでは、業務上の生成AI活用について導入側(企業)と利用側(従業員)に認識差が存在することを明らかにしました。これから、統計的な分析を行ってまいりますが、今後皆様にご提供予定の「分析報告」では、より、「従業員」「企業」「2者間の認識のギャップ」に踏み込んでお伝えできればと考えています。

1月26日に日本成長戦略会議 人材育成分科会で示された経済産業省の推計では、2040年(14年後)にはAIやロボットの開発・活用を担う専門人材が339万人不足することが示されています。反対に事務職人材は供給過多の推計が立っています。こうした状況から企業が継続的な人材戦略を検討する際には、今いる人材を「AIを活用できる人材に育てる」ことが重要になっていくでしょう。従業員を「AIを活用できる人材」に育てるために何をすべきか。私たちも調査や分析から皆様にお伝えし続けていければと思います。

本調査が、生成AIを業務で活用する、または導入を検討されている各企業様にとって、「次に何を検討し、どのように設計すべきか」を考えるための一助となれば幸いです。お読みいただきありがとうございました。

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  • 調査・データ 更新日:2026/02/19
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