2026年卒内々定者からみる低学年次からのキャリア形成活動
2026年卒の内々定状況 内々定率と保有社数の変化
「2026年卒 大学生キャリア意向調査6月<就職活動・進路決定>」によると2026年卒の内々定率は82.8% と、前年から1.1pt増加し、前年同程度の結果でした。一方で、「マイナビ2026年卒内定者意識調査」によると内々定者の平均内々定保有社数は1.73社と前年から0.55pt減少し、2社を下回る結果となっています。【図1】
また、同調査にて内々定保有社数の分布をみると内々定社数が1社の学生は62.2%と前年から21.2ptも増えている状態です。反対に、3社以上の内々定を持つ学生は17.6%と前年よりも15.9pt減少した結果となりました。【図2】そのため、内々定保有社数の平均の減少は「内々定社数1社」の学生の増加によるものであるといえます。
このように、内々定率自体は大きく変化していないにもかかわらず、保有社数が減少しているということは、今年の学生は複数の企業から内々定を得ることが難しく、1社しか内々定を得られずに就職活動を終えているのではないか、と思われるかもしれません。実際の状況を内定者意識調査の結果から探っていきます。
内々定保有社数による行動の違い
内々定を1社のみ保有している学生(以降、1社内々定者)と複数社保有している学生(以降、複数内々定者)を比較すると、就職情報に対する行動に違いが見られます。
まず、就職活動の終了率を見ると、1社内々定者は76.3%、複数内々定者は67.4%と1社内々定者の方が高い結果でした。【図3】さらに、入社予定先の企業に対する就職活動開始時の志望度を比較すると、1社内々定者は52.9%、複数内々定者は40.7%と1社内々定者の方が就職活動開始時からの第一志望企業に入社を決めている割合が高いことがわかります。【図4】
これらの結果から、今年の学生は志望度の高い企業から内々定を得た時点で迷いなく就職活動を終了する傾向がみえてきました。では、なぜ学生は1社からの内々定で迷わずに就職先を決定できたのでしょうか。その背景には、就職活動前のキャリア形成活動の影響があると考えられます。
キャリア形成活動の影響 低学年次のキャリア形成活動経験
内定者意識調査によると、大学3年次にキャリア形成活動を行った学生は79.1%と多く、就職活動の前年に多くの学生がキャリアに関する取り組みをしていることがわかります。さらに、大学1年次は35.3%、大学2年次は44.5%の学生がすでにキャリア形成活動を経験しており、早期から進路を意識した行動が始まっていることが見て取れます。 【図5】
大学1年次に行われた活動としては、「大学が主催するキャリアガイダンス(20.6%)」、「キャリア教育の授業(13.7%)」が多く、大学の取り組みによってキャリア形成の機会が提供されていることがわかります。また、割合は低いものの企業による説明会やイベントといった企業が主催するオープン・カンパニー型プログラムに参加している学生も存在し、自発的にキャリア形成に取り組む学生も一定数いることが示されています。大学2年次になると、大学主催の活動に加えて、企業によるプログラムへの参加率が高まり、就業体験型のプログラムを経験する学生も増加しています。これにより、より実践的なキャリア形成が進んでいるといえるでしょう。【図6 】
低学年次のキャリア形成活動の効果
低学年次のキャリア形成活動を行った学生にその効果を尋ねたところ、最も多かった回答は「将来のことを真剣に考えるようになった(39.1%)」でした。【図7】これは、キャリア形成活動が学生の意識面に大きな影響を与えていることを示しています。その他にも「『働く』ことに対して具体的なイメージが持てた(24.9%)」、「その後どのようなキャリア形成活動を行うか方針が明確になった(16.8%)」という回答があり、キャリア形成活動が就職活動に向けた準備としても有効であることがわかります。
大学生活への影響
キャリア形成活動が大学生活にどのように活かせたについては、「将来の進路を考えるとき(55.9%)」や「アルバイト(36.8%)」といった社会との接点において効果を感じている学生が多いようです。【図8】さらに、「授業を受けているとき・研究/ゼミ活動を行っているとき(24.8%)」、「研究室・ゼミを選ぶとき(18.7%)」、「履修する授業を選ぶとき(14.7%)」など、学びの場においてもキャリア形成活動が活かされていることがわかります。こうした経験を通じて、学生は自分に必要な学びを主体的に選択し、将来に向けた準備を進めていると考えられます。
2026年卒の傾向からみるキャリア形成活動
今年の就職活動は、1社から内々定を得た時点で活動を終了する傾向が強く見られました。これは就職活動前からキャリア形成活動を通じて自身の進路をある程度定めていた学生が、志望度の高い企業から内々定を得たことで迷うことなく決断できた結果といえるでしょう。こうした傾向は、学生が早期からキャリアについて考え、情報収集や体験を重ねてきた成果とも言えます。また、キャリア形成活動による効果はゼミ選択やアルバイトなど大学生活にも影響を及ぼしていました。これらが総合的に学生の実となり、就職活動における意思決定をスムーズにしていることが考えられます。
学生が自分に合った企業と出会い、納得のいく選択を行うためには、キャリア形成活動の充実を図ることが重要です。しかし、そのためには大学のみの取り組みだけではなく、大学・企業・行政の連携も必要となってくるかと思います。今後も、学生一人ひとりが自分らしいキャリアを描けるよう、産学が協力して支援を行っていくことが期待されます。
- 調査・データ 更新日:2025/08/29
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