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「採用学」対談(第8回対談)

「採用学」対談、第8回目のコラムです。

2017年5月より“「採用学」対談”として対談記事を連載してまいりました。

今回が最後の対談記事となりました。先月の対談記事に引き続きまして、今月も9月12日に株式会社マイナビにて開催された採用学研究所の報告レポートを掲載させていただきます。服部泰宏氏と神谷俊氏が登壇したセミナープログラムは、採用学研究所の2人による基調講演と対談で構成されています。それぞれの内容をマイナビ編集部にて概要をまとめたので御一読いただければ幸いです。

■対談者プロフィール

採用学研究所 リーダー
服部泰宏(はっとり・やすひろ)
1980年神奈川県小田原市生まれ。2009年神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了、経営学博士。現在、横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授。日本企業における組織と個人の関わり合い(組織コミットメントや心理的契約)、経営学的な知識の普及の研究、シニア人材のマネジメント等、多数の研究活動に従事する。
採用学研究所 フェロー
神谷俊(かみや・しゅん)
1983年神奈川県小田原市生まれ。2013年法政大学大学院経営学研究科博士前期課程修了、経営学修士。採用学研究所にて調査・研究を推進する一方、多様な組織に在籍し、独自のキャリアを展開。株式会社エスノグラファー代表取締役、株式会社ビジネスリサーチラボ研究員、面白法人カヤック「社外」人事など兼務。幅広い領域を越境しながら地域・組織などのコンサルティングを手掛ける。

この対談プログラムでは、冒頭に服部氏、神谷氏それぞれより「これからの新卒採用」をテーマに基調講演があり、その後に各講演内容を参照しながら対談が行われました。

■採用担当者が自らのキャリアを高めるために求められる姿勢は?

神谷:次の対談テーマにいきましょうか。「これから採用担当者は自身のキャリアとどのように向き合うべきか?」ですね。これからの時代、採用担当者は注目を浴びていくと思うのですが、いかにキャリアを積み上げていくべきでしょうか。

服部:アメリカでは、すでに採用担当者のキャリアというものが確立しています。採用のプロフェッショナルと呼ばれる人がいる。彼らに話を聞いてみると、大事なことは2つだと言いますね。1つは、採用における専門性を身につけること。そしてもう1つは「採用馬鹿」にならないことだと。

神谷:専門性を身につけつつも、専門領域だけに嵌(はま)らないようにする、そんな解釈ですかね。

服部:はい。やはり採用って難しいと思うんです。構造化すれば良いってものではないですし、学生によっても対応を分けたり。

神谷:ですね。戦略的なバランス感覚や経験に基づく直観、またコミュニケーションなども求められる。スキルの幅は非常に広いですし、それを使いこなす専門的な知見も必要ですね。

服部:そう、そのため専門性は必要なんでしょう。でも、それだけでは彼らの言う「採用馬鹿」になってしまう。ビジネスのリテラシーや経営の視点は持っておかなくてはいけないということですね。

神谷:「専門家」になるほど、採用のパフォーマンスは落ちていく。そういうジレンマが存在していると思います。採用って、ものすごく変容的ですよね。自社のビジネスにも影響を受けますし、市場の影響も受ける。昨年やって成功したことが、来年通用しないということも多い。採用独自の知見も必要ですが、僕は実際のところはそれを適切に「評価する」知見の方が重要だと思っている。

服部:おもしろいですね。その「評価する」知見がビジネスリテラシーになるんですかね。

神谷:はい。状況に応じて、市場や社内のニーズを見定めて、自社の採用を評価し、改変していく視点。それはビジネスを良くしようという姿勢だと感じています。そこにおいて求められるのは、採用の知見ではなくビジネスの知見。

服部:採用担当者がそういう知見を身につけるために、どういうことを意識するといいんでしょうね。

神谷:僕は1つお勧めするのは、マーケティングですね。人事部は、管理や運用を意識する傾向が強いと感じています。労務管理の機能がメインであった時代の名残だと思いますが。前年の計画を「いかに効率的に運用するか?」に意識がいきがち。だから、学生の動向やニーズをくみ取り、採用戦略を評価し、戦略を見直す必要がある。それって、消費者の行動や心理を踏まえて、販促を展開するマーケティングと似ていると思います。まずは、その知見を獲得することから始めてみてはいかがでしょうか。

服部:なるほど、親和性は高いでしょうね。私は、もっと大局観をもって自社を眺めてみるということをお勧めしたい。神谷さんのおっしゃったように、オペレーショナルな動きにとらわれてしまって視野が狭くなってしまうというケースが少しあるのかなと。予算や人的なリソースなど、制約に縛られていてはビジネスの視点は身につかない。そういう制約を全て取っ払って、10年くらいのスパンで自社の採用をどう展開すべきかを考える。あるいは、自分が人事部長だったらどうするか、そういう視点で考えてみる。そんな高い視座で向き合ってもいいと思っています。

■採用担当者が自らのキャリアを高めるために必要なこと

神谷:さて、ここまで採用担当者に求められるものについて話してきました。話の内容として、「姿勢」に関する話がメインであったと思いますが、ここからは少し具体的に「アクション」について話を展開していきたいと思います。まず、何をしていくことが良さそうか。このあたりはいかがですか?

服部:そうですね、私はボキャブラリーの獲得が重要かなと思います。採用担当者であれば、自社の事業や経営について学生に話すこともありますし、文化などについても話す機会が多いと思います。その際に、自社なりの、あるいは採用担当者なりの言語を使えるようにしていくことが大切なのかなと思っています。

神谷:言語の獲得をしていくということは、対象を理解していくことですからね。経営を語れるようになっていく。あるいは、自社の特殊性をきちんと語れるようになっていく。ハードルが高いですが、そこが最初の一歩ということですね。

服部:はい、おっしゃる通りですね。自社や自社のターゲットを理解していくことと、言語を獲得していくことは同じプロセスで行われます。理解が進んでこそ、新たに仕掛けられることが増えたり、抜本的な変革ができたりする。そのためには、まずは自社について語れるようになる。そこですね。

神谷:そういう観点で考えると、今の採用市場には「一般言語」が浸透し過ぎている印象がありますね。一般論をそのまま受け入れて、自社の採用の前提にすえて展開しているケースが多いような気がします。

服部:一般論というと、どのようなものでしょうか。

神谷:複数の企業と話をしていてもオリジナリティが伝わらない。皆同じこと言う。例えば、「母集団」「辞退」「社風」「リクルーター」「インターンシップ」……みたいな。前提として「母集団を集める」ことを重視するとか、あるいはプロモーションの側面などでは社員(リクルーター)との接触を踏まえて「社風の良さ」を伝えましょう、といったことなどですね。そういう採用の「セオリー」のようなものが出来上がってしまっている気がする。そういう採用の「パッケージ化」現象ですね。
服部:それは確かにあるかもしれませんね。どうやればうまくいくのか、何を伝えるべきなのか。そこに自社の言語が介在せずに、一般論で議論が展開されていたりする。

神谷:そう。僕は、そういう一般的な前提について距離をとっていただくのが良さそうかなと思います。それは、一般論を拒否することではなく、自社の現状と照らし合わせて冷静に評価するという意味で。情報は戦略を組むうえで非常に重要ですし、市場の動向は一般的なデータによって把握するべきです。しかし、それを自社の戦略にまで組み入れてしまうと、自社の個性が埋没してしまうし、採用担当者のキャリアやスキルは開発されないでしょう。

服部:なるほど、外部を俯瞰しつつ、内部への理解を深める。このバランスが重要なのかもしれませんね。

・・・・・

「採用学対談」として5月より連載をしてきましたが、
最終回となる今回は「採用担当者のキャリア」に関するお話を掲載させていただきました。

採用学研究所による8回の対談ですが、
皆さまの会社で展開されている採用やご自身のキャリアを改めて考える機会となっていたら
事務局として非常に嬉しく思います。

引き続き、マイナビ採用サポネットを宜しくお願いします。