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「採用学」対談(第7回対談)

「採用学」対談、第7回目のコラムです。

前月同様、今月も株式会社マイナビにて9月12日に開催された採用学研究所の服部泰宏氏と神谷俊氏が登壇した対談プログラム「これからの時代における新卒採用との向き合い方」の報告レポートを掲載させていただきます。

セミナープログラムは、採用学研究所のお二人による基調講演と対談で構成されていますが、それぞれの内容をマイナビ編集部にて概要をまとめましたのでご一読頂ければ幸いです。

■対談者プロフィール

採用学研究所 リーダー
服部泰宏(はっとり・やすひろ)
1980年神奈川県小田原市生まれ。2009年神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了、経営学博士。現在、横浜国立大学大学院国際社会科学研究院准教授。日本企業における組織と個人の関わり合い(組織コミットメントや心理的契約)、経営学的な知識の普及の研究、シニア人材のマネジメント等、多数の研究活動に従事する。
採用学研究所 フェロー
神谷俊(かみや・しゅん)
1983年神奈川県小田原市生まれ。2013年法政大学大学院経営学研究科博士前期課程修了、経営学修士。採用学研究所にて調査・研究を推進する一方、多様な組織に在籍し、独自のキャリアを展開。株式会社エスノグラファー代表取締役、株式会社ビジネスリサーチラボ研究員、面白法人カヤック「社外」人事など兼務。幅広い領域を越境しながら地域・組織などのコンサルティングを手掛ける。

■これから事業や組織とどのように向き合うべきか?

この対談プログラムでは、冒頭に服部氏、神谷氏それぞれより「これからの新卒採用」をテーマに基調講演があり、その後に各講演内容を参照しながら対談が行われました。

今月は、2つ目の対談テーマである「これから事業や組織とどのように向き合うべきか?」についてお二人のお話を掲載してまいります。

(実際の対談では、さらにテーマの展開がありましたが、
本連載では文字量の都合から要点のみ掲載しています。ご容赦ください。)

■人事と事業・組織の「距離感」に注目する

神谷:さて、さっきの対談では「市場とどのように向き合うべきか?」というテーマについて話してきました。私たちから提示したのは、①常に人材を獲得しようとする姿勢が求められる点、②そして個々の求職者のキャリアニーズに応じた対応が求められる点などでしたね。次のテーマは、自社の事業や組織とどのように向き合うべきか。これについては、いかがでしょうか。

服部:そうですね。向き合うという姿勢を考えると、まずは人事担当者と事業や組織、ひいては現場との「距離」に注目したいなと。

神谷:なるほど。確かに、日本企業の人事部は現場との距離感が遠いとも言われますね。個人的には、「管理的側面」が強い傾向があるのかなと思いますが。この辺りを踏まえつつ、対話を展開していきますか。服部:はい、そうですね。今、「管理的側面」という言葉がでましたが、採用学研究所は反対に、どういう会社の、どのような方が、自社の採用を変革していったのかを調べてきたんです。

神谷:どのような特徴があったのでしょうか。

服部:管理的なイメージで捉えられる人事の中でも、積極的に変革を進めていた方々は皆さん現場との距離が近いんですよね。

神谷:現場と近い、ですか。その近さは、関係性的に仲良しっていうこと?それともビジネスの視点や視座を持っているということ?

服部:両方あると思います。社内研修で会った現場で活躍している人や、同期のなかでも現場で活躍している人に話をきいて、人脈をつくってキープしている方もいれば、自分自身が新規事業を開発して「鳴り物入り」で人事にきた方とか。

神谷:そうか。「キープ」という事は、関係構築してそれを維持しつつ、採用施策に反映していったり、情報収集や面談依頼時の足掛かりにしているということですかね。そもそも、現場で働いた経験や現場の従業員と話を合わせられるビジネス的な視点があるから関係構築できる。それも、単なる仲良しではなく、持続的に活用できる関係性があると。

服部:そうですね。あくまで現場の優秀な方との関係性なので、人事施策への反映も考えられるでしょうね。

神谷:つまり、ネットワーキングとビジネススキルを両方持ち合わせているんですね。それらを活用して採用を変革していっているこんなイメージか。それって、経営の発想と似ていますよね。企業を経営するということは、言うなれば保有しているリソースを活用して、ビジネスを展開して、価値を生み出していくわけですが。その変革姿勢を持った人事達も、ネットワーキングによって人脈(リソース)を構築し、それを以て採用(ビジネス)を展開していくわけですからね。

■人事が現場に「近づく」ためにできることは

服部:一方で、そうではない人事も増えていると思うんです。特に採用に関しては、若手の方が多いと思う。年齢的なものやその人のパーソナリティが社内で妥当と判断されてアサインされているのだと思います。これは仕方がないことなのですが、現場のことを知らないと色々と不具合が出てくる。

神谷:確かに若年化の傾向がありますね。人事領域で中核となる人材を長期的に育てたい、そのために人事部に新卒や若手を配属するという考えだと思うんです。新卒領域ならば、就活経験があればイメージが付きやすいし、業務が修得できるという意味で「戦力化」しやすい。そういう前提なのかなと。

服部:しかし、そこで不具合がある。例えば、うちの学生達に「印象の良くない企業」ヒアリングしてみると、事業やビジネスについて質問した時に、クリアな回答が来なかったというケースが結構多いんですよね。経営学部の学生なんかは、自分なりに知識武装して、受験するわけです。アニュアルレポートなどを読んで、企業に訪問する。そのようにして自分なりに考えて質問をしたときに「いい質問だね、ちょっと事業部長に聞いておくよ」と返答される。そうすると、もうガクッときちゃうんですよね。

神谷:それは、そうですよね。自分で調べて分からないから、実際にその会社の人に聞いたら即答できなかった。これは、信用なくなりますよ。例えば、レストランでメニューを見て、この料理は何の食材を使っているのか?って聞いたら、「分かりません、ちょっと聞いて来ます」と言われるような(笑)。味は期待できないだろうなと思っちゃう。

服部:人事は万能を求めるわけじゃないが、ビジネスのリテラシーは持つべきだなと思いますね。

神谷:ビジネスの話が自分の言葉で話せるかどうか、自分の考えを提示できるか、まずはそこが重要な気がしています。とにかく社風、人間関係、理念の話をプッシュする傾向がありますが、それだけじゃダメなんでしょうね。自社のビジネスや戦略がこれからの時代、どのように特殊性を発揮していくのか?これを語れる担当者は限られている印象があります。学生だって、人事担当者がプレゼンスライドを読み上げるだけの知識レベルなのか、深く自社のビジネスにコミットしているのかは見極められますから。インターネットの影響で、学生側の知識武装も強化されている。人事担当者がビジネスのリテラシーを身につけるのは、必須かなと。服部:では、どのようにして身に着けていくべきか?ですが、これについては神谷さんどう思いますか?

神谷:僕は、2つだと思っています。1つは、すでにある知識を身に着けていく。これは、自社の経営戦略や事業戦略、外部環境などを調べて把握していったり、さっき服部先生の言ったように経営学やアニュアルレポートを読み込んだり、地味ながら地道に蓄積していく感じですかね。

服部:マーケティングとか、戦略論とかもいっぱい本がでていますよね。

神谷:「採用学」も参考になります(笑)。2つ目は、情報を「見える化」して身に着けていく。既存の知識を収集するだけでは、自社の採用活動のどのようにすべきか?これは見えてこない。何が問題なのか?を把握するためには、現状を「見える化」する。ある程度の情報量がなければ合理的に推論することはできませんからね。

服部:事業や理論的側面の知識と、実践的な情報の収集ですね。

神谷:マーケティングと近いですよね。自社の商品を開発するために、情報取集するプロセスとかなり似ていると思います。自社らしさや、ブランドも意識しなければいけませんし、そういうところも共通している。1つ目の対談テーマに引き続き、非常に厳しいことを言ってしまうんですが、これらの時代においては事業や組織との連携・連動はさらに求められてくると思うんです。

服部:市場における競争が激化するなかで、いかに社内のリソースを利用できるかがカギになるでしょう。「全員野球」とでもいうような、自社内のタレントをフル活用した人材獲得が求められてくるかもしれません。
今から、徐々に「距離」を詰めていく。これが必要だと思っています。

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次回の連載記事では、引き続き下記のテーマに関する対談について掲載してまいります。

対談テーマ③これから採用担当者は自身のキャリアとどのように向き合うべきか?

来月初旬に更新を行いますので、引き続きお楽しみください。