
※前回調査は、2005年(2006年卒)に行っております。本文中には前回調査との比較を行っている部分があります。
■ポストドクターの就職難が顕著に
ここ5年間の新卒採用における「理工系人材」の学位別採用実績について聞いたところ、「毎年必ず採用実績がある」+「ほぼ毎年採用実績がある」が学部卒[全体]で64.6%、大学院(修士)で29.2%となった。一方、大学院(博士)、ポストドクターにおいては、採用実績がない([全体]で博士69.0%、ポストドクター86.5%)と回答する割合が強く出た。90年代に国が主導した大学院重点政策により、博士課程修了者数は増えたが、数に見合うだけの受け入れ先がないのも事実であり、結果的に就職難の傾向が窺える。
■理工系人材に占める女性の割合は1割未満が最も高い
ここ5年間の女性の採用実績について聞いたところ、564社から回答を得た。「年によっては採用実績がある」が、[全体]の30.5%と最も多くなった。また、理工系採用数における女性の割合について聞いたところ、1割未満と回答した企業が[全体]で35.7%。[上場区分]137社においては、1割程度が31.4%と他のカテゴリーより若干数値が高くなっている。近年、社会的に女性の雇用が拡大している一方、理工系への進学者数にいまだ男女差(※)があるため、女性の理工系就職は目立っていない。
※文部科学省 平成19年度学校基本調査 関係学科別入学者数
人文学科学・社会科学…合計314,584 男子179,924(57.2%) 女子134,660(42.8%)
工学・理学・農学 …合計134,153 男子111,268(82.9%) 女子22,885(17.1%)
■機械系、電気・電子系の採用予定数の増加
2009年卒の理工系採用予定数を聞いたところ、157社からの企業から回答を得た。トップは機械系、次いで電気・電子系、情報工学系と続いた。2006年卒の170社と比較すると機械系、電子系で採用予定数の増加が見られる。機械系、電気・電子系に限定されることではないが、2007年問題の一貫として、団塊世代の定年退職に伴う技術の継承などが背景に見られる。
■ニーズの高い学科系統上位は電気・電子系、機械系、情報工学系
理工系人材としてニーズの高い学科系統を上位5つ聞き、1位を5ポイント、2位を4ポイント、3位を3ポイント、4位を2ポイント、5位を1ポイントとして集計したところ、電気・電子系が1,062ポイントでトップ、次いで機械系で1,003ポイント、情報工学系が699ポイントと続いた。2006年卒データと比較しても、同様の順位であった。上位3分野に限らず、理工系人材の獲得競争が激化する中、すべてのカテゴリーでニーズが高まってくることは間違いないだろう。
■理工系採用予定数は高止まり。学部卒で「昨年並み」と回答する企業が43.1%
2009年卒理工系人材の採用予定数の増減について聞いたところ、学部卒において「増やす」と回答した企業が[全体]で28.5%、一方「今年度並み」と回答した企業が[全体]で43.1%となった。2007年7月に調査を行った「2007年度 内定状況調査及び採用活動に関するアンケート」の中で、次年度(2009年卒)の採用予定数を聞いたところ、「増やす(予定)」が11.5%(2008年卒12.9%)、「今年度並み」81.0%(2008年卒80.3%)という結果となった。理工系人材に限らず、全体的に「売り手市場」は高止まりしている。
また、採用方針について聞いたところ、すべての学位において「質」を重視する傾向が強く、前回2006年卒に調査した「理工系人材ニーズ調査」と比較しても大きな変化はみられない。しかし、2006年卒と比較すると「質」よりも「量」を重視する割合が[全体](大学院博士、大学院修士、学部卒)で上昇している。基本的に「質」を求めつつも、「量」も確保したいと考える企業が増えているようだ。
■博士、ポストドクターにとっては厳しい就職環境
新卒採用における「研究・開発職」の学位別採用実績について聞いたところ、学部卒で「毎年必ず採用実績がある」+「ほぼ毎年採用実績がある」が39.6%、大学院(修士)で22.6%、大学院(博士)が2.9%、ポストドクターが0.2%となった。大学院(博士)から極端に企業の採用ニーズが狭まることや【1】の調査結果からも、大学院(博士)、ポストドクターにとっては、研究・開発職に関わらず厳しい就職環境であることがわかる。
■技術者に求める資質は「コミュニケーション能力」がトップ、次に高い項目は学位別に変化
理工系人材を採用するにあたり技術者に求める資質について聞いたところ、全カテゴリーで「コミュニケーション能力」がトップとなった。次いで、学部卒、大学院(修士)では「チャレンジ精神」「行動力・実行力」が高い割合となった。年齢が若い学位には、「チャレンジ精神、行動力、実行力」といった「主体性」を重視する傾向が窺える。一方、大学院(博士)、ポストドクターについては、「コミュニケーション能力」に次いで「問題発見・解決能力」が高い項目となった。経験や学識が高い分、学部・大学院(修士)より、専門性や即戦力となる能力を重視する傾向が窺える。
■地球環境、エネルギー問題に対する関心が高い
今後10年間の技術分野に関する重要性の変化について聞いたところ、「地球問題に関する技術分野」、「低コスト化・高品質化に関する技術分野」「エネルギー資源開発と効率化の重要性」が上位3項目に挙げられた。中でも、2006年卒と比較した場合、顕著に上昇したのは「エネルギー資源開発と効率化の重要性」であった。ここ数年、温室効果ガスの削減、枯渇性エネルギーに次ぐ代替エネルギーの開発などが注目される中、「エネルギー資源開発と効率化の重要性」は急務に進めなければならない項目のひとつと考えられる。
| 調査名 | 「2009年者卒新卒採用における人材ニーズ調査アンケート」 |
| 調査方法 | Webアンケート、回答用紙を郵送・Faxにて返送 |
| 調査期間 | 2007年12月7日(金)発送、1月21日(月)受付締切り |
| アンケート 送付対象 | 新卒採用実績のある国内優良企業 8,000社 |
| 回答 | 592件 回答の内訳 (1)『上場企業 』138社:『未上場企業』454社 (2)『製造業』254社:『非製造業』338社 |